映画イベントの仕掛け人たちが一堂に集合! 「新しい映画体験」をキーワードにしたトークイベント
ショートフィルム専門のオンラインシアター「ブリリア ショートショートシアター オンライン(BSSTO)」は、2018 年 2 月のサービス開設から 1 周年を迎えたことを記念し、2 月 14 日(金)、100BANCH 3F LOFT にて「ニューシネマサミット ~オープンイノベーションで作る新しい映画体験~」を開催。野外上映やカフェなど非劇場型の映画イベントを主催している団体の主催者が一堂に会し、「新しい映画体験」をキーワードにトークしました。
登壇者:※敬称略・左から
大竹 悠介(ブリリア ショートショート シアター オンライン編集長)石原 弘之さん(「オフィス DE えいが」)、有坂 塁さん(移動映画館「キノ・イグルー」代表)長島 源さん(「逗子海岸映画祭」実行委員長)、伊藤 大地さん(「Do it Theater」代表)唐品 知浩さん(「ねぶくろシネマ」実行委員長)、祖山 裕史さん(「旅する映画館 café de cinéma」主宰)、三宅 恭平さん(「MUJINTO cinema CAMP」代表)、志津野 雷さん
(CINEMA CARAVAN 代表 ※写真には載っていません)
野外映画など特別な映画体験をプロデュースするフロントランナーが集合今回のイベントは、2018 年 2 月にローンチした「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」の 1 周年記念イベントとして企画されました。同メディアでは、キャンプ場や砂浜、カフェなどの「非劇場」空間で新しい映画体験を作っているフロントランナーへのインタビューを多数掲載。映画の新しい楽しみ方を発信しています。
今回は過去にインタビュー記事として紹介されたフロントランナーが一堂に会し、そのノウハウを共有する試み。約 6000 人を集客した人気企画「博物館で野外シネマ」(東京国立博物館)や、「ピクニックシネマ」(恵比寿ガーデンプレイス)など知名度の高い上映会をプロデュースしている「キノ・イグルー」有坂塁さんや、G.W の逗子海岸の風物詩となった「逗子海岸映画祭」実行委員長の長島源さんなど 8 団体が集合。これから上映会を始めようと考えている人を応援する趣旨もあり、遠くは京都府や宮崎県からの来場者もありました。
実践者だからこそわかる、失敗体験も!
イベントの前半では各団体からプレゼン形式で活動紹介が行われました。一口に「野外上映」と言っても運営スタイルや対象参加者は様々で、上映体験の幅の広さを知るイベントとなりました。例えば、人気ロックバンド Suchmos とタイアップしたドライブインシアターを展開する「Do it Theater」は、映画の世界観に合わせた会場の作りこみを重視。若者に人気のイベントを作っています。一方で、調布市を流れる多摩川の河川敷ではじまり、全国の公園やキャンプ場などに拡大している「ねぶくろシネマ」は、徹底してファミリー向けの上映会。親子のコミュニケーションを促進する目的で作品選定を行っています。
小休憩をはさんで後半は、トークセッションが行われました。8 団体の代表者が一堂に会する機会は初めて。トーク内容は実践を通して得られた具体的なノウハウが豊富で、試行錯誤の跡がよく見えるものでした。
「上映会を始めるにはどんな設備が必要か?」という質問に対しては、Do it Theater 伊藤大地さんが、「いま野外シアターが一番簡単にできるのはバルーンスクリーン。15 分くらいで膨らむものです。上映が大規模になればなるほどバックアップが大切で、プロジェクターと再生機はサブ機を走らせておいてトラブルがあって時に迅速に対応できるよう備えています」と回答。
都内のカフェやビストロで小規模の上映会を数多く企画する「旅する映画館 café de cinéma」の祖山裕史さんは、「もちろんスクリーンが一番いいですが、白い布でもよいし、白壁じゃなくても大体投影はできます。プロジェクターは必須ですがスペックは上映のスタイルによりけり。自分のスタイルとしてスクリーン以外は持ち運ぶので、機材を持ち運ぶカバンや各種コネクターや長さのあるケーブルなども必要」と細かい点についても言及しました。
無人島を舞台に 1 泊 2 日の泊りがけで開催される野外シネマフェス『MUJINTO cinema CAMP』を手掛ける Construct film works 代表の三宅恭平さんは「2015 年の初回開催時には風でスクリーンが破けてしまって、慌てて布で臨時のスクリーンを貼りなおすなど大変でした」と失敗談を語りました。
有坂塁さんはショートフィルムを活用して「映画ボックス」をつくる!?
「ショートフィルムを活用するとしたらどんなイベントをつくりますか?」という質問について、「キノ・イグルー」有坂さんは、「ショートフィルムでやりたいのは電話ボックスならぬ映画ボックス。例えば公園に設置して犬と一緒に映画をみるなどできたらいいですね。いつもの公園なんだけれど、そこで過ごした 5 分が特別なものになる。ショートフィルムを使うことで、映画の楽しみ方が根本から変えることができるのではないでしょうか」とコメント。
モデレーターを務めた BSSTO の大竹悠介編集長は、「世界から約 3000 作品のショートフィルムの上映権を買い付け、国内向けに配給しているビジュアルボイスと、皆さんのように新しい上映体験をプロデュースする団体、そこに公園や飲食店などの場所が掛け合わされば、唯一無二のオリジナル企画がたくさん生まれる予感がしますね」と答えました。
大竹は、「BSSTO がオープンしてから1年。20 人を超えるプレーヤーたちにインタビューをしてきて改めて思うのは、映画の価値は『自己表現ツール』と『コミュニケーションツール』としての側面。映画を語るとき人間は自分の話をするし、映画を語ることで肩書とは違うその人の素の顔が見える。2 年目の BSSTOでも、『映画体験』という新分野を編集して、世に映画の持つ可能性を提示していきたい」と、次の 1 年への抱負を語り、会を締めくくりました。
※BSSTO では、オンラインでショートフィルムを無料配信中。本イベントの登壇者のインタビュー記事もご覧いただけます。
※本イベントは 100BANCH のプロジェクトの一つで、企業向けの社内上映会「オフィス de えいが」を企画運営する(株)ポルトレとの共催によって運営されています。
Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE のウェブサイトはこちら
https://sst-online.jp/