『万引き家族』祝・アカデミー賞外国語映画賞ノミネート!! アカデミー賞受賞式直前、是枝裕和監督が登壇! その胸中を語る!
既に公開スタートから8ヶ月目を迎え動員数370万人、興行収入45億円突破という、是枝監督作品最大の興行収入を記録し、現在も全国で大ヒット公開中の『万引き家族』。
昨年開催された第71回カンヌ国際映画祭【コンペティション部門】にて最高賞<パルム・ドール>受賞をきっかけに、国内外の映画賞でノミネーション、受賞を果たしている本作。先日発表された第91回アカデミー賞では、外国語映画賞にて見事ノミネーションを果たし、受賞の行方に期待が高まっています。また、今回のノミネートを祝して、2月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他、全国100館規模での凱旋上映が決定!まだまだ世界中での『万引き家族』旋風は留まることを知りません。
この度、凱旋上映を記念して2月8日(金)に、是枝裕和監督登壇のティーチインイベントを実施いたしました。
この日は、新作映画『La Vérité(仮)』の編集作業をしてから劇場に来たという是枝監督ですが、なんと翌日からは、イギリスのアカデミー賞とされるBAFTAの授賞式に出席の為、ロンドンに発つというハードスケジュールの中行われた本イベント。公開8カ月目を迎えたにも関わらず、多くの観客が詰めかけ多くの質問が飛び交うなど盛り上がり、アカデミー賞授賞式を前にしての心境なども語られました。
<『万引き家族』ティーチインイベント 概要>
【日時】2月8日(金)
【会場】TOHOシネマズ日比谷 スクリーン9
(東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷4F)
【登壇者(予定者)※敬称略】:是枝裕和監督
<イベントレポート>
Q,松岡茉優さんのファンです。是枝監督からみて、彼女はいかがでしたか?
他作品などでみていて、ずっと注目していました。作品全体の為に自分がどう演じるのかを考えていて、作品世界の住人になることのできる女優さん。相手によって柔軟な演技をすることができる。あの年齢で、樹木さん相手にそんなことができるひとはそうはいないと思う。僕も今回でファンになりました(笑)
Q,印象に残っている海外の方の反応は?
ひけらかすわけではないけど、お陰様で、海外で多くの賞をいただいています。自国と比べてみても、どこにでもある問題だと感じたようで、だからこそ、世界で広がっているのかなと感じています。役者についても良い評価をいただいていて、役者のアンサブル賞というのもいくつかいただいているのですが、それがすごく嬉しいですね。
Q,じゅりが母親に強く当たられるシーンが印象的でした。子役の表情をどう引き出すのですか?
あれは、母親役を演じた片山(萌美)さんが素晴らしいんですけど、朝、リハーサルに入る前から(佐々木)みゆに怒ったんですね。そしたら、「このシーン、撮りたくない…」と怖がってしまい、午前中は撮影ができなくなってしまったんです。ですが、母親と散歩に行って戻ってきたら、多少はリフレッシュできたみたいで、片山さんも「本当は恐くないよ!」となだめて、再び撮影に入ることができました(笑)
あの子は、全体の物語の流れを知らないですし、役と自分の感情が混ざるんですね。なので、そういったことを受け止めながら撮影をしていました。
Q,安藤さんの涙の演技が心に残りました。あのシーンは、どのように撮影したのですか?
前半は脚本がありますが、後半は書いておらず、その場でスケッチブックに質問を書き、それを池脇(千鶴)さんに読んでもらいました。本来は、泣き顔を撮りたかったわけではないですが、あのシーンの撮影中、すごいシーンが撮れたぞ、(本作はフィルム撮影の為)どうかこのままフィルムが落ちないで!と祈りながら撮影していましたね。
Q,カンヌ映画祭でケイト・ブランシェットが、映画祭の総括として「目に見えない人々」がテーマだと語っていましたが、作品をつくる上で意識はされていましたか?
撮りながら、目には見えないけど、存在している声はある、というのは作品の中に沢山残そうというのはありました。でもそれは、カメラマンの近藤さんが、フレームの先に“それ”を撮ってくれた、ということが大きかったと思います。
Q,音楽の使い方についてこだわりがありましたら教えてください。
作品毎に試しているけれど、今回は細野(晴臣)さんに基本お任せしました。脚本を読んでいただいて、ピエトロ・ジェルミの「刑事」が浮かんだと言われたのですが、その時代の音楽を意識してつくってくださったようです。一方で僕は、レオ・レオニの「スイミー」をイメージしていたこともあったので、それを(カメラマンの)近藤さんが詩的に表現してくれたお陰で、細野さんと音楽とが合わさって、幻想的なシーンがいくつも生まれた気がします。
Q,登場人物の感情表現がとてもリアルで驚きました。リサーチは綿密にされたのでしょうか?
作品よっては丁寧に行いますが、今回に関しては、していないわけではないけれど、ディティールはほとんど想像です。それでも、児童相談所や養護施設には足を運びました。そこで僕らの前で突然「スイミー」を朗読してくれた女の子がいて。それがとても印象に残って、シーンに取り入れました。そのように受け取ったものを作品の中に返していく、という作業をしています。
Q,観客に投げかけたいテーマなどがある上で、作品つくりをされるのですか?
観客の方に観ていただく以上、そういったことを考えないわけではないけど、ドキュメンタリーを撮り続けていた自分の根底にあるのは、もう少しそのテーマについて掘り下げてみたい、ということです。そのモチーフに対して、切実なものとして向き合えるのか、そういったことで作品に強度が出ると思います。
<ティーインを終えて、最後の挨拶>
今回は「凱旋上映」ということですが、「凱旋」とつけるのは早いだろって思うんだけど(笑)だけど、こうやって長く公開をしていただけることはとても有難いです。(アカデミー賞)ノミネートしたことについては、特別な想いはないのですが、これまでヨーロッパとは接点はあったけど、今回はこれまで自分がタッチしてこなかったところなので、ここにいていいのかなという想いはあります。先日、アカデミー賞の昼食会というものがあったのですが、レディ・ガガと写真を撮っているんだから不思議ですよね(笑)でも、英語を話すことができないので、話せたらもっと相手の映画についても語ることができるのにな、なんて残念に思ったりもしました。ですが、やはり光栄ですし、この経験を踏まえて、今後誰と映画をつくっていくか、役者さんも含め漠然と思っています。今、カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークが主要キャストを務める新作をつくっていて、海外から戻っては編集、という作業を繰り返していますが、倒れないように体調には気を付けます(笑)是非、次は新作でお会い出きればと思います。
以上。
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
コピーライト: (C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
公開表記:凱旋上映中!
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