第70回カンヌ国際映画祭便り【CANNES2017】1
本日は、第70回カンヌ国際映画祭の開催を明日に控えた5月16日の火曜日(現地時間)。
今年のカンヌはフランス大統領選挙の関係で例年よりも一週間遅い幕開けとなったが、今回も時間を有効に使える15日の夜便で日本を発ち(パリ滞在は空港でのトランジットのみ)、ニース空港に16日の朝(8:45am)に到着する便を選択。到着後、タクシーでカンヌ駅近くにある宿へと向い、荷ほどきもソコソコに映画祭会場のパレ・デ・フェスティバルへと向う。
一昨年の連続テロに続き、昨年の7月14日に起きてフランス中を震撼させたニースのテロ事件の影響でセキュリティ・チェックが一段と厳しくなるだろうとは予想はしていたが、今年はまさに厳戒体制!
映画祭会場付近には、バリケード代わりの巨大な植木鉢が多数並べられ、機関銃を手にしたフランス共和国保安機動隊が警備にあたるという物々しさで、諸々の映画祭資料とIDバッジ(カテゴリー別にランク付けされ、コレがないと何処にも出入りできない)の受け取り所の入り口には、何と空港並の金属探知機が新たに設置されており、午前中から大混雑&長蛇の列。路上で真夏のような暑い日差しを浴びながら1時間近く待った末に、やっとのこと諸々を受け取ることが出来た。
◆節目の年となる今年の映画祭公式ポスターの図柄は、イタリアの大女優クラウディア・カルディナーレの若き日の姿をフィーチャー!
毎年、注目されるカンヌ映画祭の公式ポスターの洗練された図柄だが、70回目というアニバーサリーイヤーを迎えた今年のモデルは、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』や『ブーベの恋人』など数々の名作映画に主演し、国際的にも活躍したイタリアの往年の大女優クラウディア・カルディナーレ!
若き日の彼女がスカートを翻す姿を捉えた白黒のショット(1959年にローマのビルの屋上で撮影)に着色加工を施したをモノで、弾けるような躍動感が伝わるポスターに仕上がっている。
◆ミヒャエル・ハネケを始めとするビッグネームから新顔まで、多彩な顔ぶれが並んだ長編コンペティション部門のラインナップ!
さて、映画祭の華といえば、何といっても“長編コンペティション”部門。今年の出品数は19本で、2009年の『ホワイト・リボン』と2012年の『愛、アムール』で2度、最高賞のパルムドールを制した名匠ミヒャエル・ハネケを筆頭に、過去に主要賞を受賞した監督や名だたる実力派監督が名前を連ね、さらには“ある視点”部門から昇格した初参戦監督らがひしめきあっている。
日本からは河瀨直美監督(昨年、“短編コンペティション”部門&“シネフォンダシオン”部門で、日本人初の審査員長に就任)の『光』が選出され、賞の行方が大いに注目されるところだが、他部門に出品された邦画は4本で、三池崇史監督の『無限の住人』はコンペ外の特別招待部門で、黒沢清監督の『散歩する侵略者』はある視点部門で、平柳敦子監督の『オー・ルーシー!』は批評家週間部門で、井樫彩監督の『溶ける』は学生映画対象のシネフォンダシヨン部門での上映となる。
また、邦画の旧作では大島渚監督の『愛のコリーダ』(1976年製作)と今村昌平監督の『楢山節考』(1983年製作)が“カンヌ・クラシック”部門で上映される予定だ。
(Text & Photo:Yoko KIKKA)