今年2017年に没後50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。革命家、反帝国主義のカリスマとして、また、革新を想起させるシンボルとして今もなお世界中でゲバラの存在は明確に息づいている。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権との戦いで、1967年8月に25歳の若さで散った実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を描く映画『エルネスト』が10月6日(金)に公開されます。

■日時:9月19日(火)20:55~21:30
■場所:日本外国特派員協会 【正式名称:公益社団法人 日本外国特派員協会】
■登壇者(敬称略):オダギリジョー、阪本順治監督

この度、9月19日(火)に日本外国特派員協会にて記者会見が行われた。作品を鑑賞した記者達は上映終了後に登壇した、主演のオダギリジョーと本作のメガホンをとった阪本順治監督を温かい拍手で迎え入れた。本作は48年ぶりとなる、日本とキューバ合作映画となり、これは黒木和雄監督『キューバの恋人』(69)以来とのことで、なぜ今キューバとの合作映画を撮ったのかについて阪本監督は「映画の題名である、〈エルネスト〉は“真剣”という意味ですが、もっと詳しく調べると”目的を決めた上での真剣”という意味。目的というものを決め、誰かに与えられることなく、希望を持って今こそ生きなければいけないのではないかというメッセージが込められている。この作品はフレディ前村ウルタードという人物を発見したことから始まりました。チェ・ゲバラと共に戦い、日本人の血を引いた方でもある彼の生き方がまさに〈エルネスト〉であったと感じます。彼を描くには、キューバとの合作で作るという選択肢しかなかった。」と語り、「現地の方に、日本人の監督が、日本人を主演に置き、あの時代を描くことに違和感があるか聞いたら、『全く無い』と言ってくださった。」とキューバとの合作を撮った経緯について説明した。

また本作で、チェ・ゲバラが広島に訪れたシーンを象徴的に描いた理由について「広島にチェが献花をし、それから数年が経ち、フレディ前村がキューバを訪れ、すぐにキューバ危機が起きた。この2つの出来事は、この映画が、核に対する想いを繋げて描けると思った。キューバ危機の時、チェはきっと広島で見た光景が脳裏によぎったと思います。」と語った。また、オダギリ自身チェとの共通点はあるかとの質問に対し「この作品について、友達にこういう作品をやるんだと話すと、ゲバラやるの!?と何人かに驚かれました。(笑)」と笑いながら語り、「僕自身、ゲバラが好きでポスターを飾ったり、Tシャツを持っていたりします。」と話し、会場を驚かせていた。本作で全編スペイン語の演技に挑んだオダギリ。役を演じた苦労について聞かれ「台詞を覚えるのは大変でしたが、それ以上に芝居を成立させるのが難しかった。そんな中、共演者の何人かが、何時間も付き合ってくれて色んなパターンのフレディ前村の演技について話し合いながら、僕が思い描くフレディ前村を模索しました。キューバの俳優に力を貸してもらえて、ありがたかったです。」と撮影当時を振り返った。会見が終わり、会場を後にするオダギリと阪本監督に、記者達からは割れんばかりの拍手が響き渡り、会場を後にした。