したまちコメディ映画祭in台東:2017年したコメ大賞は大北栄人監督、 『Windows Updateは突然に』に決定!!
文化芸術の街「上野」と喜劇発祥の地「浅草」を舞台にコメディ映画の祭典「したまちコメディ映画祭in台東」(略称したコメ)。今年も2017年9月15日(金)~9月18日(月・祝)「第10回したまちコメディ映画祭in台東」を絶賛開催しております。
「したコメ」とは、東京随一の下町(したまち)の魅力をコメディ映画を通じて存分に味わっていただく、いとうせいこう総合プロデュースのコメディ映画祭です。「映繰り広げられる画(Cinema)」「したまち(Down town)」「笑い(Comedy)」という3つの要素を掛け合わせることで、映画人、喜劇人、地元の皆さん、映画・喜劇を愛する皆さんが一体となって盛り上がれる、他にない魅力を持った、住民参加型の映画祭となっており今年で10年目を迎えます!
そして雷5656会館・ときわホールにて今回で9回目となるコンペ部門「したまちコメディ大賞」が開催!11本の入選作品の中から、会場の皆さんと一緒に賞を決定しました。そして招待作品として、劇団ヨーロッパ企画の新作短編映画も上映!今回は観客賞と準プランプリを板垣雄亮監督『はりこみ』がW受賞!!そして栄えあるグランプリは大北栄人監督の『Windows Updateは突然に』に大決定!!
●実施日時:9月17日(日)
●場所:雷5656会館・ときわホール
●登壇者:入江悠、千葉善紀、大山卓也、堂島孝平、いとうせいこう ※敬称略
●MC:いとうせいこう
入選作品
『アサップ!』監督:Passion(岡 政樹)『アパートメントコンプレックス』監督:山村 もみ夫『Windows Updateは突然に』監督:大北 栄人『くたばれ!サムライカメン』監督:佐野 航『結婚騒選挙』監督:古新 舜『ケンダマスター』監督:新井 健市『子供座長』監督:笹木 彰人『就活Days』監督:ふれD『なめくじ劇場2017』監督:イッキ『はりこみ』監督:板垣 雄亮『目』監督:土肥 耕作 ※50音順
観客賞『はりこみ』
板垣監督のコメント:まずこうしてスクリーンで見ていただく機会を与えてくださった、したコメに感謝したいと思います。そして関わってくださった関係者の皆様に感謝します。以前から演劇や映像など、作品はお客様あってのものだと思っていたので、今回もリアルタイムに見ていただいたお客様にこうして選んでいただいて、本当にありがたいです。すみません、ちょっと泣きそうです。これから頑張っていく推進力になりました。
準グランプリ:『はりこみ』(W受賞)
板垣監督のコメント:準グランプリ:はりこみ
ダブル受賞:一人一受賞だと思っていたので、さっき締めっぽいコメントをしてしまいました・・・(笑)観客賞も準グランプリもいただけて、皆さんのおかげだと思います。ぜひ皆さん、記憶に留めていただければと思います。
グランプリ:『Windows Updateは突然に』
大北監督のコメント:去年もらえるものだとばっかり思っておりまして・・・一年越しになりましたが、その前に2回ほど今回の主演・藤原で作品を出していたんですが、箸にも棒にも掛からず(笑)長い時間をかけてグランプリをいただきました。したコメの存在を知った時になんてすばらしい映画祭ができたんだ!と思って作品を出したいと思っていて、そのしたコメ10回目でグランプリをいただくことができ、すごくうれしいです。
服部台東区長よりご挨拶:全国から応募いただきありがとうございました。どれもレベルが高く、審査員の方は皆様苦労されたと思います。ご応募いただいた皆様、審査員の皆様、そしてご協力いただきましたすべての皆様に感謝いたします。
【審査総評】
入江悠:僕自身も最近まで自主映画をやっていて、何回も落ちてやっと商業デビューができたので、今回落ちた方たちも
懲りずに続けていただきたいです。コメディは映画のジャンルの中で一番難しいだと思います。今後も果敢に挑んでほしいです。
千葉善紀:今日は本当に楽しませていただきました。
人を笑わせるのは難しいことで、ここに作品を持ってくるということも本当に素晴らしい心意気でうれしいことだと思います。なので、ぜひまた挑戦してほしいです。
大山卓也:コメディだと笑ってもらわなきゃいけないということで、ちゃんと笑える映画って完成度も高いものになっているんだなと思いました。難しさや面白さなど、コメディ映画に対する発見がたくさんありました。
堂島孝平:審査に迷ったときに、したコメらしいはどちらだろうと考えた時に、彼(『Windows Updatehaは突然に』の藤原さん)の存在なんじゃなかな、と(笑)こんなに面白いことを考える人が世の中にこんなにいるんだなと思うと、自分も励みになりました。
いとうせいこう:惜しくも落選してしまった人もいますが、入江くんの言う通りだと思います。
僕も入江くんの短い短編を落としたことがある(笑)そのあと、『サイタマノラッパー』をみて「入江悠…知ってる!」と思い、『2』はエキストラに出させてもらいました。そんなこともあったりします。今回受賞した2組の監督はもっといいものを作れると思うので、世の中を笑わせるという尊い仕事をしていってほしいです。
【映画の総評】
入江悠:アパートメントコンプレックス」は映像も奇をてらわずシンプルに使われていて、妹役のキャラクターも好きでした。「結婚騒選挙」は映像、ロケーション、衣装にもこだわっていて、映像づくりの魂が感じられました。「ケンダマスター」は、あのおじさんと電話のカットバックだけで笑わせていたことがすごかったと思います。「はりこみ」は、女性の登場の仕方もうまく、重厚な雰囲気で始まってどのようにコメディに持っていくのかと思っていたらそこもうまかったです。「アサップ!」は、恋愛系の妄想はネタが面白ければ面白いほどよくなるもので、私は好きなジャンルです。欲を言えば、主人公の「最速の男」というコンセプトが恋愛につながることがよくわかればよかったと思います。「Windows Updateは突然に」は、主役の藤原さんの「ヘタウマ」なところが良かったです。
千葉善紀:「ケンダマスター」は大雑把に見えて実は細かい作りだったと思います。「くたばれ!サムライカメン」は、夜の場面の照明をきっちり当てるなど、お客さんに見せる意識をもって工夫していただけたらと思いました。「子供座長」は、最初、タイトルが出オチかと思いましたが、見ているうちに仕掛けが出てきてなるほどと思いました。「Windows Updateは突然に」の主人公・藤原さんがとても良くて、来年のレッドカーペットに出てもいいのではないかと思いました。
大山卓也:「結婚騒選挙」は主人公の男性ミュージシャンのキャラクターがすごく良くて、彼女役もかわいらしく、感情移入して見ることができました。「はりこみ」は車の中での会話だけでストーリーが進んでいくのが面白かったです。緊張感の中での弛緩した笑いが面白かったです。「なめくじ劇場2017」は「いい年をして何をやっているんだ!」という感じで面白かったです。「子供座長」は子供のキャラクターや演技力があり、あの説得力が生まれたのだと思いました。
堂島孝平:「アパートメントコンプレックス」は全体的に脱力感があって、テーマ曲も脱力感があってとてもよかったです。「結婚騒選挙」は、ミュージシャンの男が相手の女性の父親に結婚を反対されるという、よくある話だったが、最後にほろっと来るところが良かったです。また、彼女の父親が、実はミュージシャンをあきらめたという経緯があって力強く歌っていて、お父さんの歌が一番良かったです。「くたばれ!サムライカメン」は熱量のある映画でした。登場人物の名前が地名になっていたので、そこが伏線となって後から回収されるなど、もう一工夫あればもっと良かったと思います。「はりこみ」は、上司が登場する前の若手刑事役がすごく効果的で、そのあとも見たくなるような感じにしてくれたと思います。スマートな終わり方もよかったです。「なめくじ劇場2017」は、Cm(シーマイナー)のおならというところが一番笑えました。「Windows Updateは突然に」は、藤原さんが本当に良かったです。また、途中からは自分もいかにパソコンなどに縛られているかということを感じました。「目」は、ショートコメディーとしてとても潔くて好きな作品です。
いとうせいこう:「アパートメントコンプレックス」は、テンポのいい芝居で狭い空間の中でも飽きないような工夫がされていました。「結婚騒選挙」は、大喜利のような要素も入っていましたが、そこにもう一工夫あればと思いました。「ケンダマスター」は5分の作品でしたが、テンポよく、この勢いで10分の作品を作ったらもっと笑えるだろうと思いました。「はりこみ」は最初に遠くから人が歩いてくるカットがあり、「こういうのが映画」と思いました。また、無駄な笑いを取りにいかずに、コメディの基本のような形でした。「就活Days」はもっと「就活あるある」を入れたらもっと共感を呼べるような作品になったかもしれないですね。「子供座長」は、子供ならではの芝居の指導なども含まれていたらさらに良かっただろうと思います。「アサップ!」は主人公は2“最速の男”だと言っているのだから、例えば信号待ちは早々と終わって、最速で動きながら妄想をするなどといったように、もう少し動きがあるほうが良かったのかもしれないね。妄想の中の映像はよかったです。「Windows Updateは突然に」は、ギャグだけではなくて生活の感じ、「こういう人、いるいる」という感じ。厚みのあるナンセンスで、こういうのがコメディだと思いました。「目」は、鼻から何か出てきたのが気になって仕方ないという小作品ですが、変なものが出てきたらそれをもっとエスカレートするなど何かロジックが欲しかったです。
コンペ招待作品・ヨーロッパ企画新作短編集『マスマティックな夕暮れ』『ノックは3回、クリックは2回』『CAIRN remix』
『ノックは3回、クリックは2回』より監督:大歳倫弘(ヨーロッパ企画)の舞台挨拶コメント
ヨーロッパ企画のメンバーの諏訪雅が撮った『マスマティックな夕暮れ』は年齢層の高いメンバーがしっかい学ランをきてやっています。(笑)『ノックは~』は僕の知り合いの人の実際にあった話をきいて、ほぼまんま映画にしてみました。『CAIRN remix』はうちの役者がCGも手作りでがんばってつくっているのでその努力も注目してほしいです。その監督より『魅力的な役者はダークナイト並、宇宙での孤独はインターステラー並、臨場感はダンケルク並』まあ彼はみてないと思うんですけど、平気でこういうこと言ってくるんですよ。そういうことを踏まえてみてほしいです!(笑)