9月15日(金)より全国公開いたしますエミール・クストリッツァ監督の、9年ぶりの最新作『オン・ザ・ミルキー・ロード』。カンヌ国際映画祭の最高賞・パルム・ドールを2回、ベルリン国際映画祭銀熊賞、ベネチア国際映画祭・銀獅子賞を受賞と、世界三大映画祭を制した鬼才エミール・クストリッツァ監督。この度、日本での公開を記念し、彼が率いる世界中でカリスマ的な人気を集めるバンド”エミール・クストリッツァ&ザ・ノー・スモーキング・オーケストラ”と共に来日いたしました。
本作は、ヒロインに『007 スペクター』でボンドガールに抜擢されたモニカ・ベルッチを迎え、圧倒的なエネルギーと、予測できないストーリーで描かれる、戦争が終わらない国を舞台に、運命の出会いを果たしたミルク運びの男と美しい花嫁の壮大な愛の逃避行の物語。戦争の悲しさ・愚かさを描きながらも、その中に情熱的な恋、狂騒のダンス、温かいユーモアが詰め込まれた、『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』などで世界中を熱狂させた、エミール・クストリッツァのエッセンスが詰め込まれた到達点といえる作品になっております。
本作の公開を記念して、エミール・クストリッツァ監督をお迎えし、舞台挨拶付き試写会を実施いたしました。

[トークイベント付き試写会詳細]
・日時:2017年9月3日(日)20:45~
・会場:ユーロライブ (渋谷区円山町1-5 KINOHAUS2F)
・イベント登壇者:エミール・クストリッツァ監督(62)

9月3日(日)に東京・ユーロライブにて開催された『オン・ザ・ミルキー・ロード』の舞台挨拶付き上映会に、本作の監督・脚本・主演を務めたエミール・クストリッツァ監督が登壇。監督のファンや映画ファンが多く駆けつけ、会場は大熱狂した。
登壇したクストリッツァ監督は「映画というものはお見せすることが挨拶になるので、それに付け加えることはないのですが、本作を日本で初めて観ていただき、ありがとうございます。私の最新作にして最後の作品では…ないので、また次の作品も楽しみにしてもらえると嬉しいです(笑)。」と茶目っ気たっぷりに挨拶。
本編上映後の舞台挨拶ということで、鑑賞後の観客とのQ&Aを実施。自身が主人公・コスタを演じたことについて質問されると「もう二度と自分の作品では演じません。」と断言。「役者と監督を両立することがいかに難しいかということを学びました。映画監督とは観客の代表でもあります。観客でありつつ、スクリーン上に映る人物というものを両立するのは無理なんだと感じました。」と振り返った。『アンダーグラウンド』のような戦争の悲しみを描きながら、『黒猫・白猫』のようなコメディ、ラブストーリーでもある『オン・ザ・ミルキー・ロード』について、今までのフィルモグラフィーの中で、ひとつの集大成になるのか?と訊ねられると、「自分は常に世界で起こっていることと逆方向に進んでいます。戦争に関する映画をもう作らないと言ったのは、世の中に戦争映画が溢れているからです。世の中では戦争の準備をしたり、戦時中であるということが普通になってしまっていますから。」戦争がなくならない原因として、戦争利益、資本の悪循環が続いていることを挙げ、第二次世界大戦後にも多くの戦争が起きている現状について言及した。「(『アンダーグラウンド』『ライフ・イズ・ミラクル』に連なり)戦争映画を三本撮ったので、自分の役割は終わったと感じています。だからといって、自分は何も利益を得ていないんだけどね(笑)。」と答えました。
そしてクストリッツァ作品のトレードマークで、『オン・ザ・ミルキー・ロード』にもふんだんに盛り込まれている、役者のように演技をする動物たちについて、一体どう演出しているのか?という問いに対しては「人間と同じです。ちゃんと食事を与えれば、良い演技をしてくれるんです(笑)。」と冗談を言った後「現代の人々は動物に対して愛情を注いでいる人が多いと思っています。戦争で多くの人が殺されていることには無表情ですが、動物が殺されることには感情的になるんです。」と疑問を呈す一幕も。
最後の挨拶では、「映画を観てフィクションの世界に入り込めば、自分の世界や可能性を広げることができます。映画館に行くことは、精神科に行くことよりも良いことです。『オン・ザ・ミルキー・ロード』も観て、良い人生を送って貰えたら嬉しいです。」と、日本のファンに映画への愛がこもったメッセージを贈った。