第29回東京国際映画祭:ラインナップ発表記者会見
第29回東京国際映画祭開催まで残すところあと約1ヶ月。本日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて各部門の全ラインナップ・審査員、各イベントの魅力・見所を発表する記者会見を開催致しました。
冒頭、椎名保ディレクター・ジェネラルにより開催の挨拶と、映画祭の「顔」である「フェスティバル・ミューズ」に女優の黒木 華さんが任命されたことが発表されました!
本記者会見でゲストとして登壇したのは、98の国と地域から1502本もの応募があったコンペティション部門に選ばれた2作品の出演者・監督『アズミ・ハルコは行方不明』から監督の松居大悟さんと主演の蒼井優さん、同じくコンペティション部門に選ばれた『雪女』から出演の青木崇高さん、さらにアニメーション特集「映画監督 細田守の世界」から細田守監督。
会見では続けて、アニメーション特集「映画監督 細田守の世界」での細田守監督の対談相手として登場する是枝裕和監督をはじめ、会期中の多彩なゲスト陣が発表されました!※他ゲストの詳細は本リリースに添付されております。
また各部門の審査委員についても、コンペティション部門で審査委員長となるフランスの名匠・ジャン=ジャック・ベネックスに加え、平山秀幸、ヴァレリオ・マスタンドレア、ニコール・ロックリン、メイベル・チャンの就任が決定しております。
映画祭では10月25日(火)〜11月3日(木・祝)の10日間の開催期間中、200以上ものフィルムが上映され、世界中から訪れた著名なゲストが多数登場し、Q&Aやシンポジウムなど、東京国際映画祭ならではのイベントが目白押しです。
【東京国際映画祭ディレクタージェネラル 椎名保 コメント】
いよいよ東京国際映画祭まで一か月となりました。作品も出揃い、今年は提携企画も含めまして、203 作品の上映がございます。そして、コンペティション部門の審査委員も決定いたしました。
今年の映画祭は「国内外へ向けた映画の情報発信基地」「クリエーターへ陽を当て、世界へ羽ばたくステージをつくる」「未来の映像作家、映画ファンの創出」、そして「誰もが参加したくなる映画祭」このコンセプトを胸に、海外、国内の皆様をお迎えしたいと思っております。フェスティバル・ミューズは黒木華さんにお願いすることとなりました。黒木華さんは皆さんもご存知のことと思います『小さいおうち』でベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞いたしました。海外で知名度を高めている女優さんです。「一緒に映画祭を盛り上げましょう、頑張りましょう」と仰ってくれました。ぜひ、黒木さんにもご注目していただければと思います。映画祭はやはり主役は映画です。映画を愛し、尊敬する人たちが、一堂に会し映画を通し文化交流を図り、そしてまた、人的交流を図る場であると思います。どうぞこの東京国際映画祭を皆様のお力で盛り上げていただければと思います。
【コンペティション部門選出作品『アズミ・ハルコは行方不明』監督 松居大悟 コメント】
『アズミ・ハルコは行方不明』で監督をしました松居大悟です。東京国際映画祭に参加することはすごく光栄なことだと思っているので楽しみたいです。僕とプロデューサー、蒼井優さんが同い年で何か映画を作ろうかと話しているときに、ちょうど原作が発売され、主人公も同世代だった事、存在が消えるのに広がっていく事が映画的だなと思いました。(東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことが)決定した際、電話を外で受けて嬉しくて泣いてしまいました。みんなのもとに戻ったのですが、決定したことを言うなと言われていたので「なんで泣いているんだ」とみんなに言われて「いいんだよ」と答えながら伝えられない幸せな夜でした。日本の東京の舞台で戦えるのが嬉しいです。
【コンペティション部門選出作品『アズミ・ハルコは行方不明』主演 蒼井優 コメント】
『アズミ・ハルコは行方不明』でアズミ・ハルコ役を演じました蒼井優です。東京国際映画祭は初めての参加になるので楽しみです。
また松居監督が選ばれるかどうかとてもドキドキしていたのでよかったなと、実現してほっとしています。主演で映画の話が来たと事務所の方から言われたときに主演だけど行方不明なのか、とこれは楽かもしれないと思いました。でも、意外と出番が多く、そんなに甘いものではなかったです。出演しようと思ったのは原作が面白かったからです。原作者の山内マリコさんが女性だからこそ女性の感情がわかり、多くの女性に“イタタタ・・・”と思いながら見ていただけると思いました。女性の脛(すね)の傷が愛おしく感じる作品だと思います。女性が見るのと男性が見るので感想や受け止め方が異なると思うので、これは面白いと思いました。
【コンペティション部門選出作品『雪女』主演 青木崇高 コメント】
『雪女』主演の雪女を演じました、青木崇高です・・・というのは冗談で、監督はいらっしゃらないのですが、同じく主演を演じました。この場に呼んでいただいてとても光栄です。選んでいただけて嬉しいです。監督がこの場におりませんが、伝わっていると思います。日本人であれば大体知っている『雪女』なんですが、また深い解釈があり、人間の深さを知られる深い作品になっていると思います。外から見た日本を、日本人の監督が描いていて、東京国際映画祭で上映されるというのがなんだかとても感慨深いものだなと思います。
【アニメーション特集「細田守の世界」 細田守監督 コメント】
一番最初の『劇場版 デジモンアドベンチャー』という映画から17年もたってしまったという…。非常によい状態で上映していただけると聞き楽しみです。子供向けと限定して思われることも多いですが、もっと可能性があるのではないか。今までに描かれなかったことをアニメーションという技法をつかって表現することをやってきましたし、今後もしていきたいです。このようにまとまって上映される機会は初めてで、光栄だなと思っています。自分自身の過去作品を見返すことはないのであらためて見にきてくださるお客さんと一緒に未来の作品について話し合っていけたらいいなと思います。
質疑応答
Q細田監督に。画家になりたかったとプロフィールにかいてありました。これまで多くの作品を手がけた中で、影響を受けたものがいろいろあると思いますが、西洋美術から影響はありますか。
A:
細田監督:大学の油絵科で西洋美術を学んでいました。世界の美意識を学んだ中で、美の文脈をふまえて、物事をつくることに役立ちました。
Q松居監督は女性脚本家と組まれています。青木さんは女性監督の作品に出演されていますが、このようにこれからも映画に女性が進出していくと思われますか。
A:
松居監督:最初は男性が主人公の作品を作っていましたが、女性には勝てないという降参宣言をしてから作品の幅がひろがりました。いま、女性に興味があります。あ、そういう言い方だとへんですが(照れて)、女性を描くことに宇宙的な広さを感じます。
蒼井さん:男性、女性と分けるのが正しいのか今の時代はわからないですが、女性が描く女性像と、男性が描く女性像は明らかにことなっているので、演じる時にもイメージを使い分けています。
青木さん:男性、女性の違いはわかりませんが、杉野監督は監督も主演もしていて、ひとりで現場をひっぱっていました。とても貪欲な方だと思います。それは男性にはない強いパワーを女性がもっているからかもしれませんね。
Q:(ロシアメディアより質問)ロシアでも細田監督の映画は人気です。海外でも作品が知られていて多くの影響をあたえていますが、そのことを意識して作品を作っているのか。
A:
細田監督:『時をかける少女』が思いがけず海外の映画祭で上映されて、いろんな国の人に見てもらうことができました。そのことで、海外の方がどのように作品を見てくれるのかを意識するようになりました。
自分たちがいったい何をつくっているのか。日本以外の視点で考えるようになった。海外に出ることで日本人自身が、日本人のことをわかっていないということを、海外の映画祭にでて知ることができた。
次の作品から世界のいろんな人が見るのだと思いながら、作品をつくるようになりました。
Q:海外で人気がある秘密はなんだと思いますか。
A:
細田監督:僕らだけではなく、人間ならわかる共通のことを描くことにしています。その中でも僕の作品は家族のことを描いていて、そのことでどこか共感を得ているのではないでしょうか。
Q:宮崎駿監督はロシアの『雪の女王』に影響されたというのが有名ですが、細田監督の影響されたものはありますか。
A:
細田監督:僕にとっては『美女と野獣』です。