本日。PFFアワード2016表彰式が行われました。

9月23日(金)16:30〜 表彰式開演
【会場】東京国立近代美術館フィルムセンター(東京都中央区京橋3−7−6)
【司会進行】荒木啓子(PFFディレクター)

【受賞者のコメント】
グランプリ『食卓』監督:小松孝
(1981年6月22日生まれ/PFF応募時は34歳、現在35歳/埼玉県飯能市出身)
実は授賞式中に、他の方の受賞結果を聞いて、友人とLINEをして「あぁ、ダメだ〜」と言っていました。(これまでの受賞結果には名前が挙がらなかった)
本当にうれしいです。スタッフ、キャスト、この映画にかかわってくれたすべての人に感謝します。映画のモデルとなったアル中の私の父にも伝えたいです。撮影時は更生施設に入っていたので、映画を撮っていることも知らないのですが、後で父に報告したいです。いま私は35歳で遅咲きですが、映画界ではまだ若いほうでしょうか。これからも精進して、世界の映画祭にも羽ばたいていきたいです。

★司会から、この『食卓』は、実はすでにバンクーバー国際映画祭の招待が決定、来週に映画祭に行く予定であることが発表されました。

●最終審査員5名それぞれの総評(「PFFアワード2016」の最終審査を振り返って)
※審査員特別賞、準グランプリ、グランプリは5名の最終審査員よりそれぞれを発表。
遠藤日登思(えんどうひとし) 映画プロデューサー
今回初めて審査に参加して、5日間フィルムセンターに通って、トークやティーチインは聞かずにただ映画だけを20作品を観ました。会場で観ていると、席の周りに監督やスタッフたちがいて、そのエネルギーがこちらに伝わってきて、ぐったりするような貴重な体験でした。この後20人の監督たちとお話しできるという事なので、忌憚なくいろいろな話をしたいと思います。
 
沖田修一(おきたしゅういち)映画監督
いまは技術も進歩して、いいカメラも出てきて、今の若い作り手のほうが、僕の時代よりもプレッシャーを感じるだろうなと思いました。応募作品全て見て、閉塞感、というものは確かに感じましたが、その中で自分の居場所をみつけて、どう映画を作るか、が大事ですよね。毎年「新しいものを!」と求められてもたまったものじゃないですし(笑)。自分の身の回りで面白いものをみつけて映画を作っているなと感じる作品もありましたので、頑張ってほしいです。

荻上直子(おぎがみなおこ) 映画監督
20作品を全て観た感想としては、閉塞感がいっぱい漂っていました。今の10代20代の若者はこんなに閉塞感がいっぱいなのかと、実はちょっと不安にもなりました。
その中でも自由な風を吹かせていたのは『おーい、大石』という作品だったと思います。大好きな映画でした。私は15年前にここで賞を頂いて、15年前、本当に映画が作りたくてしょうがなかったのですが、それは現在も、15年経っても毎日映画が作りたくてしょうがなくて、きっとここにいる監督たちもずーっと映画が作りたい気持ちだと思います。

佐渡島庸平(さどしまようへい)編集者
たくさんの人を巻き込み、最後まで作り上げたことが凄いことでそれ自体が才能だと思います。あとはデビューしたり、仕事として成り立つかが問題ですが、作り続けて自分のモチベーションを保つこと、これが出来ればいつか陽のめを見ることができると思います。同じく審査員をしている監督たちに聞きましたが、完成した作品は見直すのが恥ずかしいそうです。それは、作る時に、自分のすべてをさらけ出すからです。受賞された作品は、監督が自分をさらけ出しているその度合いがほかの作品より秀でています。映画としての完成度よりも、記憶に残る、ということだと思います。

野田洋次郎(のだようじろう)アーティスト / ミュージシャン
僕自身、まだまだものを作る新人というか、、若手の気持ちとして、これから自分で何をやってやろう、何かこの世にないものを作ってやろうという気持ちで、きっとみなさんもいると思ったので、僕自身も同志として関わりたいと思って審査に参加しました。“映画はパンクだ”というキャッチフレーズが今年はありましたが、もっともっとはみ出ていいな、はみ出る作品があってもいいなというのは個人的に思いました。映画の体をなしてなくてもいい、これって映画なんでしょうかというものがあっても良かったのかなというのは思います。僕も音楽を作っていていつも思う事なのですが、楽器だったり機材が良かったりして、環境だったり設備を良くしていけば精度は上がるんですが、本当にお客さんが見たいものはそこじゃないんだな、とつくづく思わされました。映画であればスクリーンからどれだけのものがはみ出ているか、という事を僕はいつも知りたかったり、はみ出たところを見たかったりしています。自分の気持ちや思いや時間を込めれば込めるほど、絶対にそこからこぼれ落ちて届いていくものがあるんじゃないかと思っています。皆さんがこれから作る作品でも、たぎる思いがこぼれてて欲しいなと思います。グランプリ以外では『もっけのさいわい』『おーい、大石』『山村てれび氏』も大好きでした。表彰は出来なかったのですが素晴らしい作品でした。本日は参加させてもらってありがとうございました。

第38回PFF「PFFアワード2016」受賞結果

<グランプリ>
「食卓」監督:小松孝

<準グランプリ>
「花に嵐」監督:岩切一空

<審査員特別賞>
「シジフォスの地獄」監督:伊藤舜
「溶ける」監督:井樫彩
「また一緒に寝ようね」監督:首藤凜

<エンタテインメント賞(ホリプロ賞)>
「DRILL AND MESSY」監督:吉川鮎太

<ジェムストーン賞(日活賞)>
「花に嵐」監督:岩切一空

<映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)>
「また一緒に寝ようね」監督:首藤凜

<観客賞>
「ヴァニタス」監督:内山拓也

<[特別設置]日本映画ペンクラブ賞>
「花に嵐」監督:岩切一空

★今後の上映予定
<東京>
・グランプリ作品『食卓』は11/1 東京国際映画祭にて特別上映あり。同日、引き続き「PFFセミナー」も開催。
・10/29 には、受賞作品オールナイト上映実施!テアトル新宿が熱い!!
<京都>PFFin京都 10/29(土)-11/4(金)京都シネマにて。京都オリジナル映画講座も展開します。
<神戸>PFFin神戸 11/3(木・祝)-11/6(日)神戸アートビレッジセンター
<名古屋>PFFin名古屋 11/11(金)-11/13(日)愛知芸術文化センター
<福岡>PFFin福岡 2017年4月開催予定 福岡市総合図書館
★PFF初の試み。動画配信サイト「青山シアター」始動!
10/24より「PFFアワード2016」入選20作品のオンライン視聴が可能になります。全国どこでも自主映画を!