『カサブランカ』『誰が為に鐘は鳴る』『ガス燈』『白い恐怖』『追想』『オリエント急行殺人事件』『秋のソナタ』などで知られる伝説の女優、イングリッド・バーグマン。2015年に生誕100周年を記念し、カンヌ国際映画祭にて上映されたドキュメンタリー作品『イングリッド・バーグマン〜愛に生きた女優〜』の初日舞台挨拶が行われ、スウェーデンから来日中のスティーグ・ビョークマン監督が登壇しました。

<日 程> 8 月 27 日(土)
<会 場>Bunkamura ル・シネマ(東京都渋谷区道玄坂 2-24-1)
<登壇者> スティーグ・ビョークマン監督

2015年の生誕100周年を記念し製作された、イングリッド・バーグマン波乱の生涯をたどる『イングリッド・バーグマン〜愛に生きた女優〜』の初日舞台挨拶に、監督のスティーグ・ビョークマンが登壇した。
ビョークマン監督は、「私は今回日本に来るのは初めてなのですが、こちらに来ることができてとても嬉しいです! 日本は素晴らしい映画国だと聞いているので、大変興味を持っています。」と挨拶。さらに「監督になる前に映画評論の仕事をしていました。その時に日本の映画をたくさん観た経験から、日本映画がとても好きなんです。溝口健二監督、黒澤明監督、小津安二郎監督、三船敏郎さん、京マチ子さんのファンです」と、大の親日家であることを告白。
映画製作に至るまでのいきさつを問われ、「5 年前のベルリン国際映画祭でスウェーデンの女優ハリエット・アンデルセンと食事をしていたら、その年の審査員であったイザベラ・ロッセリーニが同じテーブルに来たんです。彼女はハリエットと話すためにやって来たのですが、偶然そこにいた僕がドキュメンタリー監督だと知って『お母さんの映画を作らない?』と持ち掛けられました。もちろん「やります!」と答えましたよ。そんな嬉しい偶然から、この映画の製作は始まりました。」とにっこり。

本作ではイングリッド・バーグマンのプライベート映像や写真が数多く登場する。そのことについて監督は、「資料が山ほどあったので、映画の構成を考えることにとても苦労しました。1930 年代の終わりから彼女は、16 ㎜やスーパー8を使い自分で映像を撮っていて、それが 7〜8 時間にも及ぶホームムービーになっていて…そこから本編に使う素材を選びだすのは大変でした。編集には 6 ケ月もかかってしまいました。」と苦労した思い出を振り返る。
この映画の製作を通して、バーグマンにどんな印象を持ったかと聞かれると、「彼女は勇敢な女性でしたね。19 歳から演技の仕事を始め 24 歳でアメリカに渡りました。それから 5 か国語(スウェーデン語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語)に堪能な彼女の才能を生かし、世界中で活躍する女優となります。また、彼女の生活スタイルは、仕事が 1 番で、私生活は 2 番手。当時の男性と同じようなスタイルを持っていたから、時代の最先端を進む女性だったと思います。」と、いかにバーグマンが強い女性であったかを力説した。
また観客からの質疑応答の時間に、好きなバーグマン出演作を尋ねられると「好きな作品がたくさんあるので、これはとても難しい質問ですね…、『ストロンボリ』『イタリア旅行』『汚名』『秋のソナタ』『ヨーロッパ一九五一年』かな?」と迷いながらも5作品のタイトルを挙げた。
舞台挨拶の終わりには、「この映画を観て気に入った人は、お友達や家族に広めてください。気に入らなかった人は、とにかく黙っていてくださいね!」と呼びかけ、観客を笑わせた。

また、イングリッド・バーグマンの誕生日&命日である29日には、現在映画公開を記念して開催中の「イングリッド・バーグマン写真展」レセプションパーティーが行われました。

<日 程> 8 月 29 日(月)
<会 場>Bunkamura Gallery
<ゲスト> スティーグ・ビョークマン監督ほか

レセプションパーティーでは、初日舞台挨拶に引き続き、スティーグ・ビョークマン監督や本写真展のデザイナーらが登壇。参加者にはスウェーデン伝統のスイーツ、“プリンセスケーキ”が振る舞われた。
このケーキはベリー系のジャムをはさんだスポンジケーキがマジパンで包まれているもので、スウェーデン王女達が好んだことから、この名がつけられたのだという。
写真展では、世界各国を巡回するバーグマンのポートレートや、公開当時東和映画の宣伝デザイナーとして野口久光氏が描いたバーグマンの直筆デッサンと主演作の日本版ポスターの展示、またカンヌ国際映画祭で野口氏が撮影した貴重なバーグマンの写真が初披露されている。他にも当時の映画パンフレットやソフトなど、貴重な資料も展示中。
参加者は、美しいバーグマンの写真をじっくり眺めながら美味しいケーキを味わい、優雅なひと時を過ごした。
本写真展は9月5日(月)まで期間限定開催となっている。

THE SAGA OF INGRID BERGMAN
映画『イングリッド・バーグマン〜愛に生きた女優〜』公開記念 イングリッド・バーグマン写真展
期間:2016.8.27(土)〜9.5(月) 共催:スウェーデン大使館 東北新社
協力:NPO法人古き良き文化を継承する会 公益財団法人川喜多記念映画文化財団 細越麟太郎(映画評論家) スターチャンネル
<会場情報> Bunkamura Gallery (Bunkamura1F メインロビーフロア)
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1(東急本店横)
営業時間:10:00〜19:30 会期中無休・入場無料 お問合せ:03-3477-9174(直通)
http://www.bunkamura.co.jp

本作公開初日の 27 日(土)は悪天候にも関わらず、Bunkamura ル・シネマでは全 4 回中 3 回が満席となり、土日 2 日間で動員 862人、興収110万3700円と、好調なスタートを切った。客層の男女比は 3:7。世代別ではイングリッド・バーグマンのファンを中心とした、50〜60 代が目立ったほか、バーグマンの生き方に共感する若い年代の女性も多く見られた。 また、同写真展も上映後には作品鑑賞後のお客様で賑わいを見せていた。