NHKにて、土曜ドラマ「ハゲタカ」、大河ドラマ「龍馬伝」(10)等の演出や、映画『ハゲタカ』(09)の監督を務め、14年には、映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(14)を2作連続公開、14年度の実写邦画No.1ヒットを記録。
次回作が熱望されていた大友啓史監督の最新作・映画『秘密 THE TOP SECRET』。

この度、Apple Store,Ginzaにて行われたイベント「Meet The Filmmaker」に大友啓史監督が登場し、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介氏をモデレーターにむかえトークイベントを実施いたしました!

津田さんの鋭い切り込みに大友監督が熱く答え、大きくうなずく観客の姿が多数見られ、監督の作品への熱量と観客の作品への期待が伝わってくる、大盛り上がりなイベントとなりました!

映画『秘密 THE TOP SECRET』大友啓史登壇「Meet The Filmmaker」 概要

■日時:7月17日(日)
■場所:Apple Store,Ginza/アップルストア銀座3Fシアター
(東京都中央区銀座3-5-12 サヱグサビル本館)
■登壇者:大友啓史監督
■モデレーター:津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

<イベント内容>
第一線で活躍する映画作家の生の声が聞ける本イベント。
今回は映画『秘密 THE TOP SECRET』の公開を控えた大友啓史監督に、
津田大介さんが鋭く切り込み濃密な話が聞けるということで、会場は立ち見が出るほどの大盛況。
MCの紹介とともに登場した津田さんと大友監督は、大きな拍手で迎えられました。

まず、映画の公開を前にしての心境は?と津田さんより質問があると、大友監督は
「今日はたくさん人が集まってよかったです。毎回公開前は不安になるので、
今はたくさんアピールしていこうという気持ちです」と、イベントの意気込みを語りました。

早速、トークセッションに移ると、津田さんより監督のこれまでの変遷についての質問が。
NHK 局員からハリウッド留学を経て、長編映画を撮るまでにいたった経緯を大友監督が語ってくれました。

「もともと映画監督になろうとは思っていなかった」という大友監督。
地元岩手から上京し、弁護士を目指すために大学の法学部に入ったものの、
「自分は何かを表現することに興味がある」と気付いたそう。
それから文学やメディアといった方向に転換し、面接の際、話の盛り上ったNHKと縁があり入局することに。
地方での、ドキュメンタリー番組や高校野球中継などを経験した後、
「ドラマをやってみたい」と志望した大友監督は、小規模の作品で経験を積み
社内の留学制度でハリウッドに行くこととなります。
そして、ここで学んだことが大きなものだったと語ります。
「映画というものは、作品でもあるけど商品でもあると学んだ。
向こうの優秀な学生は完成した後、作品がどう扱われるまで考えていたんです」。

そして帰国後、「ハゲタカ」や「竜馬伝」の成功で知名度を上げ、
本格的に映画製作へ道を進めることとなります。
『ハゲタカ』でドラマと映画の両方を撮る経験をした大友監督は両者の違いについて、
「例えば音ひとつにおいても、テレビで流れるドラマでは劇中に入れたい音とセリフが
かぶってしまうと聞こえなくなってしまうことがある。それが映画の環境では問題なく出来るので、そこがいいなと思いました」と、
当時、映画で表現できることの幅の広さを感じていたようです。

続いて、本作の製作にいたるきっかけについて話が及ぶと
最初の構想が出た際、海外の連続ドラマのような形式で考えていたことを明かした大友監督。
最終的には1本の映画に収めることになったのですが、最初の構想のせいで
「最初に編集したときは3時間半になってしまい、プロデューサーが涙目になった(笑)」と、その内容の濃密さを語ります。
そして脚本を書く際、脳科学に関するリサーチをしっかりし、
「被害者の脳を、生きている者の脳を通して映像化する」という、原作とは異なる設定を映画に持ち込みました。
その設定のおかげで「ドラマ的にも深みが増した」と、映画ならではの設定の魅力を語っています。

また、キャスティングについては、主人公である薪剛の配役に強いこだわりを見せた大友監督。
容姿の美しさの中にも、タフさや男としての強さを感じさせる生田斗真さんがハマっていたことを嬉々として語り、
決して小柄ではない生田さんを役柄同様に小柄に見せるため、大柄なキャストを回りに配置したという工夫も明かしました。
撮影に関しても、今回導入した主観カメラについて解説。スクリーンに映し出される撮影風景を丁寧に説明しながら、
キャストの頭につけた主観カメラが大きな役割を果たしたことを、熱く語っています。

今回、「秘密」というテーマが大きな要素となる本作ですが、
「特に脳内映像シーンではかなりギリギリを攻めている」と、映像の印象を語る津田さん。
この感想に対し、「人の脳を見るということは、とても怖いことだと感じてほしかった」と大友監督は答えています。
自身は、脳が見られる未来を良しとしないスタンスで本作を撮ったと明かしながら、
「脳内を見られる未来になったら、あなたはどうしますか?」という問いかけのメッセージを込めていると
観客に向かって想いを伝えています。

その後は撮影秘話などで話が盛り上がり、一度落ち着いたところで一般の観客との質疑応答がスタート。

まず、本作における絹子役を演じた織田梨沙さんの大抜擢のように、
キャスティングにおける直感について聞かれた大友監督。
「確かに彼女には目力の強さという魅力がありました。でもその場ですぐ決めたわけではなくて
ほかの候補の女優さんと何度も何度も比較をし続け、最後に残ったのが彼女なんです。」と、
直感だけではなく、相対的にも導き出されたキャスティングだったと回答。
また、「オーディション会場の廊下で、悔しさからか泣いている織田さんを見て心動かされた」と、
感情の部分でも、織田さんに惹かれていたことも明かしました。

また本作の音楽について質問が及ぶと、何度もタッグを組んでいる佐藤直樹さんとの仕事について
よくありがちな「泣かせる為の音楽」といったものを排除し、効果音と一体化した環境音楽を仕込ませたそう。
この効果は津田さんも絶賛し、「音楽を意識することなく、緊張感が伝わってきてすごかった」とコメントしています。

さらに、津田さんより大友監督自身の今後の展望について聞かれると、
「やりたいことはたくさんあるが、決めないでいこうという気持ちになってきている。面白いと思ったものに
飛びつけるような状態は作っておきたい。どうやって違う刺激を自分が得ていくかということに気づいたんです。
津田さんからも是非ネタを提供いただきたいですね(笑)。」と力強く今後の展望について語りました。

そして最後に大友監督は、「8月6日に公開いたしますので、ぜひ劇場でお楽しみください!」と
観客にメッセージを送りイベントは終了。

津田さんの鋭い切り込みに、大友監督が熱く答え、大きくうなずく観客の姿が多数見られた本イベント。
監督の作品への熱量と、観客の作品への期待が伝わってくる、大盛り上がりなイベントとなりました!

以上