桂望実のベストセラー小説を原作に、女優・黒木瞳が初めて映画監督に挑戦した映画『嫌な女』。主演には、映画初主演となる吉田羊、木村佳乃を迎え、堅物弁護士と天才詐欺師という境遇も立場も違う対照的な二人の女性の人生のケミストリーを鮮やかに描いた話題作です。

本日6月25日(土)いよいよ全国公開を迎え、初監督を務めた黒木瞳監督をはじめ、吉田羊、木村佳乃、中村蒼、古川雄大、ラサール石井が登壇し、初日舞台挨拶を実施いたしました。

登壇者に公開初日を迎えた想いを語っていただくと共に、10月6日より開催される「第21回釜山国際映画祭」の「アジア映画の窓」部門への正式出品の決定も発表されました。
そして最後にお客様からのサプライズで「公開おめでとう!」の言葉と共に、映画を象徴する花である向日葵(うちわ)が掲げられると、劇場一杯に咲く向日葵を前に、黒木瞳監督をはじめ、キャストの方々は目を潤ませる一幕も。会場はあたたかい拍手で包まれました。

【『嫌な女』 初日舞台挨拶】
日時 6月25日 (土)  
場所 丸の内ピカデリー3
  (東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン新館5F)
登壇者(敬称略) 吉田羊、木村佳乃、中村蒼、古川雄大、ラサール石井、黒木瞳監督

<ご挨拶>
吉田羊:皆さま、おはようございます。本当に足元の悪い中、朝早くからこんなにたくさんのお客様にお越しいただき、ありがとうございます。「映画を公開初日に観ようという人に悪い人はいないよ」と死んだおばあちゃんが言っていましたけれども、本当にその通りで、皆さまの顔が天使に見えます。今回私は石田徹子という堅物な女性を演じさせていただきましたが、やっと皆さまにご覧いただけて嬉しく思います。今日は短い間ですが、どうぞ楽しんで帰ってください。

木村佳乃:詰めの甘い詐欺師・小谷夏子を演じさせていただきました木村佳乃です。今日はどうもありがとうございます。瞳さんの初監督作品に出させていただけて、本当に光栄でした。美しく第一線で活躍されている大先輩の瞳さんですが、監督としては厳しかったです。同じ女優でもあるし、今まで男性の監督には指摘されたことがない演技指導を受け、大変勉強になりました。また、羊さんともバチバチする役柄だったので、お互い刺激し合いながら、熱い夏を過ごすことができました。そして今日、初日を迎えることができ大変嬉しく思っております。最後までどうぞ楽しんでいっていただけたらと思います。

中村蒼:磯崎賢役を演じました中村蒼です。今日はお越しいただきありがとうございます。自分の演じた役はとても陽気で、羊さん演じる徹子とも自分の性格とも正反対でしたが、だからこそ、やりごたえがあって楽しい撮影をすることができました。今日は短い間ですが、よろしくお願いいたします。

古川雄大:太田俊輔役をやらせていただきました古川雄大です。本日はありがとうございます。黒木瞳監督の初監督作品に出させていただけて本当に幸せだと思っておりますし、普段ミュージカルをやらせていただいているのですが、このような素晴らしいキャストさんの中、映画に出演させていただけたことをとても嬉しく思っております。本日はよろしくお願いいたします。

ラサール石井:どうも、ラサール石井でございます。こういった初日の挨拶は、イケメンの俳優さんと美人女優さんがズラッと並んでいる中に見たことないおじさんがいて、大抵それが監督なのですが、今回は監督がお綺麗なので、素晴らしいこの並びのバランスをとるために私は呼ばれております(笑)。今、新橋演舞場で「熱海五郎一座」を上映していて、三宅(裕司)さん、渡辺(正行)さん、春風亭昇太さん、おぐちゃん(小倉久寛)という並びに慣れているので、今日はすごく新鮮です。美しいということは本当に素晴らしいことですね(笑)。現場も綺麗な女優さんばかりで非常に華やかでした。黒木監督も初監督とは思えない手練れた演出もあり、初監督らしい尖った演出もあり、とても面白いものになっております。また、キャスティングの素晴らしさとして、永島暎子さんや織本順吉さん、?田敏江さんや寺田農さんなど、短い時間の出演でも素晴らしい演技をされていますので、そこにもぜひご注目いただきたく思います。今日はよろしくお願いいたします。

黒木瞳監督:おはようございます。初日、初回の劇場に足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。本当にありがとうございます!キャストの皆さんのご挨拶を聞いているだけで感無量です。「嫌な女」という原作をいただいたのはちょうど5年前の今頃で、本当に何度も諦めようとしました。撮影に入ってからも帰ろうかなと思ったことも正直1回あります(笑)。(竹内)まりやさんに弱音を吐いたこともありました。背中を押してくれたのは、イメージを形にしようと頑張ってくれたスタッフ、現場ではキャストの皆さんのキラキラした演技やオーラ、そして観てくれたお客様がきっと笑顔になってくれるだろうと信じたことが私を奮い立たせてくれたことです。私の尊敬する人が、「一人の人を笑顔にできないで大勢の人を笑顔にはできない。だからもしあなたが悲しいなら、あなたをまず笑顔にさせてあげたい。」とおっしゃっていて、人ってちょっとしたことで勇気をもらったり、前向きになったりするんだな、と思いました。この映画もちょっとした勇気や笑顔を与えられるようなものにしたいと思って作りました。今日これからごゆっくりご覧になってください。

<質疑応答>
MC:この映画の中で一番印象に残っていること、演出で驚かれたことはありますか?

吉田羊:女優が女優を撮るということで、演出にも瞳さんのお芝居の要素が入ってくるのですが、その中の一つに音がありました。ナレーションの時に「羊ちゃん、今の音は“ミレミミ”じゃなくて“ドレドド”でお願い」って言われて分かるような分からないような…(笑)。 でも、そういった所も、宝塚で培われた実績ですし、ご自身がお芝居をされるからこそ音にこだわっていらっしゃるんだろうなと感じました。

黒木瞳監督:「受け入れるようになってきた」という言葉も「ド」ではなく「ソ」から入ると全然違ったりするので…。

ラサール石井:ごめんなさい、全然わからないや…(笑)

中村蒼:僕も楽譜を一切読めないので…(笑)

ラサール石井:分かるのは古川くんくらいかな?

古川雄大:僕ミュージカルやっているんですけど…ちょっとわからないです(笑)

黒木瞳監督:(笑) でもエリザベートでも歌っているよね?

古川雄大:僕、楽譜読めなくて、耳で聞いて覚えているので…(笑)

MC:木村さんは撮影中印象に残ったことはありますか?

木村佳乃:瞳さんってとても素敵で隙がないようにみえますが、実はおっちょこちょいなところがありまして、去年の8月19日に竹内まりやさんの「元気を出して」を歌うシーンが曲あったのですが、ある日、瞳さんが「19日、まりやさんいらっしゃるから!」とおっしゃっていて(笑)。他のスタッフの方に聞いても「あるわけないじゃないですか。」と言われたので、瞳さんに何度も確認したんですけどごまかされて…。それを先日の完成披露のときにお話ししたら、瞳さんすっかり忘れていらっしゃったんです!

黒木瞳監督:てっきり佳乃ちゃんにサプライズのつもりでいたので、言ったことも忘れておりまして…すみません。

木村佳乃:瞳さんのチャーミングな一面を見ることができた出来事なんです。私はちょうどお仕事して20年になりますが、3本の指に入るくらい緊張した日になりました(笑)

ラサール石井:本人が隠れて聞いているのを知っていて歌わなくちゃならないなんて、緊張しちゃいますよね。

木村佳乃:知らないフリをしつつ、でも、まりやさんがいらっしゃるのも知っているしで…(笑)。でも瞳さんのような素敵な女性のお茶目な一面を見ることができてとても思い出に残っています。一応大人なので当日は驚いたフリはしたんですけど、挙動不審になってしまいました(笑)

MC:この映画は本日から公開となりますが、この度、本作が本年10月6日より開催される「第21回釜山国際映画祭」に正式出品されることが決定致しました!アジアの才能のある映画製作者の話題作を紹介する「アジア映画の窓」部門の招待とのことですが、大きな知らせを受けて、改めてどのようなお気持ちですか?

黒木瞳監督:多くの方に観ていただくのは本当に嬉しいですので、日本のたくさんの方に観ていただきたいのと、海外の方にも観ていただきたいので、嬉しい限りです。

吉田羊:国によって嫌な女の捉え方も違う気がするので、反応が気になります。

木村佳乃:文化が違うと感動したり笑ったりが違う気がするので、反応が楽しみです。

MC:そしてここでお客様からも皆さまにメッセージがあるようです。
<お客様よりお祝いの言葉と向日葵のうちわを掲げるサプライズ>

黒木瞳監督:私たちが皆さまを笑顔・元気にしたいと思っていたのに、皆さまから笑顔にさせていただきました。本当にありがとうございました。作品を観ていただけるというこんなに嬉しいことはございません。こんな素敵なキャストの皆さまも、作品の中ではかっこいい男やかっこいい女としては出てきません。みんな傷ついたり挫けたり、悩んだり、人生いいことばかりではないけれど、それでも受け止めて前に行こうとしていて、かっこよくないのにスクリーンの中ではキラキラ輝いて生きています。その姿を是非、ご堪能いただきたく思います。思いはあるのですが…言葉にならないです。
今日は、本当にありがとうございます。ぜひ映画をお楽しみいただければと思います。よろしくお願いいたします。