第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、阿部寛、樹木希林、真木よう子、是枝裕和監督が現地入りし、5月19日(日本時間)に行われた公式上映では、約7分間にもわたるスタンディングオベーションを受けたことでも話題の映画『海よりもまだ深く』(ギャガ配給)が現在公開中です。
  
今回、是枝監督が送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語です。
今や国民的名優となったの阿部寛を主演に、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功、樹木希林と豪華キャストが揃い、“海よりもまだ深い”人生の愛し方を教えてくれる、心に沁みる感動作がここに誕生しました!

この度、カンヌ国際映画祭から、帰国したばかりの興奮冷めやらぬキャストたちによる初日舞台挨拶を実施いたしました。

日本の観客よりひと足早く、本作をご覧いただいたカンヌでの反応や、世界最大の映画祭に参加した感想やエピソードをお話いただきました。

『海よりもまだ深く』 初日舞台挨拶イベントレポート

◆日程:5月21日(土) 
◆登壇者:阿部寛、真木よう子、樹木希林
◆場所:新宿ピカデリー

満席の会場に、阿部さん、真木さん、樹木さんが現れる中、
まだカンヌにいるため、この場には来れなった是枝監督は等身大パネルで登場!
カンヌ国際映画祭から帰国したばかりキャストたちはそれぞれに挨拶。
是枝監督は、音声のみでメッセージを寄せました。

「ようやく皆さんのお目にかかることができます。フランスでは良い評価をいただき、
充実した日々を過ごせました。」(阿部)
「この作品が大好きで、早く観てもらいたいと思っていったので、
この日を迎えられたことを嬉しく思っています。」(真木)
「なんとかカンヌへ行って、ヨレヨレになりながら戻ってきました」(樹木)

「僕はまだカンヌに残っております。一足早く、阿部さん、真木さん、希林さんは
帰られてしまいまして、ちょっと寂しい気持ちもいっぱいですけれども、
皆さん帰られた後もたくさんの取材を受けたり、この映画を買ってくれた
各国の配給会社の方にご挨拶をしたり、セールスマンとしての活動を続けております。
日本の国内でも本当にたくさんの人にこの映画を届けたいと思って、
スタッフ・キャスト一丸となって、いろんなキャンペーンを続けてきましたけれども、
今日無事に公開を迎えられたということで、ここからまだ新たなスタートということで、
本当に気に入っていただけたら2度3度劇場で見ていただければ本望です。
僕もあと2日後には日本に戻って、また公開後のキャンペーンに奔走するつもりですので、
応援宜しくお願いします。是枝でした。いい天気です、今日も。」(是枝監督)

初のカンヌ参加となった阿部さんですが、カンヌの印象について「街中が活気に溢れていました。
天気も良く、3日間でしたけど、夢のような日々を過ごせました。たぶん一生忘れないと思います。」
と感慨深けにコメント。
2度目の参加となった真木さんは「前回『そして父になる』のときに行ったときは
連日ドシャ降りだったので観光ができなかったんですが、今回は晴天に恵まれ、
歴史ある街々を見られたので嬉しかったです。」
同じく2度目の参加となった樹木さんは「バアさんよりも若いひとが経験しておくべき場所よね。」
とそれぞれに振り返りました。

カンヌでは、海と鶴の柄をあしらった振袖に真っ赤な鯉がデザインされた帯をしめていた姿が
印象的だった樹木さん。実はこの着物は、樹木さんの娘さんが結婚式のお色直しにきていた
着物をリメイクしたものだといい、会場を驚かせました。
また、カンヌでの阿部さんの様子を尋ねられると「この風体がカンヌにピッタリなんですよ!
団地よりもよく馴染んでいました。」と答えると会場からは笑いが起こりました、

レッドカーペットを揃って歩き、公式上映も共に鑑賞したキャストたち。
上映後の約7分間にもわたるスタンディングオベーションは話題となりました。

「レッドカーペットは距離的にはあまりなかったんですけど、忘れられない経験をさせていただきました。
あと、観客の方たちと一緒に上映を観れて、笑いどころが日本と変わらなかったりと、反応を直に知れて、
とても面白かったです。スタンディングオベーションは本当に嬉しくて、僕はもっといたかったんですけど、
樹木さんが早く行こうというので、仕方なく帰りました(笑)」(阿部)
「レッドカーペットは前回歩いたときはまた違う雰囲気で楽しめました。スタンディングオベーションは、
自分の予想をはるかに超えていた反応だったので、とても嬉しかったです」(真木)
「私の知り合いの作品が、去年ブーイングが起きたらしくて、もし今日この場でブーイングが起きたら
気絶しちゃうって思ってたの!だから舞台挨拶したときに、上映が終わったらすぐに逃げられるようにするって
っていっていたんだけど、ああやってたくさん拍手がいただけて本当によかったと思います。
カンヌは、出品したからって評価されているとは限らないと思ったわね。」(樹木)

夢見がちで、息子としても夫としてもダメダメな男を演じた阿部さん。演じての感想を尋ねられると
「是枝監督作品で、こんなダメ男を演じてもいいものかと思ったけど、楽しんで演じられました。」といい
役との共通点を尋ねられると、「自分もダメなときありましたから共感するところもありましたよ」と明かしました。
そんな阿部さん演じる良多に厳しい現実をつきつけながらも、ちょっとした優しさもみせる響子を演じた真木さんは、
演じる際に気を付けた点について「息子役の太陽くんと本当の親子にみえるよう遊んだりしました。」といい、
樹木さんは「初号で観て、カンヌでもう一度観ましたけど、別れても夫やその母親も気にかけたりと、
良い夫婦だと思ったわね。うちのケースに比べたら、全然大丈夫なのに!と思いましたけど。」
と自身の家庭と比較し、会場の笑いを誘いました、

また、是枝監督についての印象を尋ねられたキャストたちは、カンヌでの監督の人気についても含め
それぞれにコメント。

「本当に優しいです。カンヌで驚いたのはカンヌでとても人気があることです。
歩いているとたくさんの人に握手を求められていました、」(阿部)
「これだけの映画をつくる方なので、人が好きで人のことをよくみいている方なんだと思います。
いつも温かな目を向けてくださるので心地よいです。」(真木)
「カンヌで私たちの名前が呼ばれた後に、監督の名前が呼ばれると、わーっと歓声があがってすごいんです。
監督が取材を受けているとき、海外の記者にいわれていたのが、毎回カンヌに来ているから
間をあけて来た方がもっと盛り上がるんじゃないの?と言われていて面白かったですね。」(樹木)

フォトセッションでは、『海よりもまだ深く』のときに”海”にちなみ、観客に海の一部になってもらうという演出も施され、
「大ヒット!」という掛け声の基にヒットを祈願しました。

最後に阿部さんから「是枝監督の描く作品は、家族の何気ない会話のやりとりとささやかなな日常を切り取った
繊細作品なかりで他の映画にはないものがあります。多くの方に観ていただきたいと思っていますので、
応援どうぞ宜しくお願いいたします。と挨拶があり、イベントは終了しました。

以上。