アスミック・エース配給にて2016年1月9日(土)公開となります、芸能界の嘘とリアルを現役アイドル加藤シゲアキが描いた問題作を、初主演・中島裕翔を迎え、『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督が映画化した『ピンクとグレー』。

この度、映画の公開を記念して行定勲監督が、トークショーつき試写会に登壇。
監督が本作に込めた想い、魅力や、見所について熱く語っていただきました。
またお客さんとのQ&Aも実施し、多くの質問が寄せられました。

『ピンクとグレー』試写会付きトークショー 概要
【日程】12月13日(日) 
【場所】アスミック・エース試写室(港区六本木6−1−24 ラピロス六本木3F)
【登壇者】行定勲監督

<イベントの様子>

本作を観たばかりで会場の温度が高まる中、行定監督が登場すると、大きな拍手で迎えられました。
勢力的に映画のプロモーションで全国を回っている監督、各地での作品に対する反応を聞かれると、「本当に皆さん、“驚いた”とおっしゃるんですけど、たぶんそれは、予想していた展開と違ったからなんじゃないかな。
前半はよくある青春映画っぽく見えると思うんですよね、でも実はそうじゃないから。」と嬉そうに振り返っていました。

加藤シゲアキさん原作の「ピンクとグレー」を映画化している本作。
芸能界の嘘とリアルが描かれている同作について聞かれた監督は、「きれいごとばかりじゃだめだと思ったんですよね。
もちろんそういうのもあっていいと思うんだけど、きれいな部分と汚い部分の両方を表現したいと思ったんです。
加藤くんは本の中で、耽美的な表現も使っているけど、彼自身も経験したであろう
芸能界の恨みつらみみたいなものも原作には読み取れて。
それを映画の中で表現できればなと。」と想いを明かしました。

また、本作の“62分後に世界を変える仕掛け”が生まれた裏話に話が及ぶと、「今回、脚本は舞台界の実力派である蓬莱竜太さんが携わっているんですが、彼の脚本は、人の痛い、いやな部分を描くのが上手いんですね。だから、美しい部分は僕自身書けるので、(人間の)嫌な部分は彼に頼もうと思っていました。それで、脚本を半分くらい書き上がった頃、できている部分は“良質な青春映画”に仕上がっていたんですがそこで筆が止まり、彼から話し合いたいと連絡が来たんですよね。
でも打ち合わせの当日、蓬莱くんが40分くらい遅刻したんです。
その待っている間に、ふっと(仕掛けを)ひらめいたんですね。」と蓬莱さんの遅刻によって“仕掛け”が生まれるきっかけになったことが判明し、お客さんは驚いている様子でした。

出演キャストの話になり、白木蓮吾を演じた中島裕翔さんの印象を聞かれた監督は、「(自身の役を演じることに)たくさん試練があったと思うけど、頑張っていた。
それにすごく素直で何に対してもぶつかってきてくれるからやりやすかった。」といい、河田大貴を演じた菅田将暉さんについて「衝動を役に活かせるし、こっちの意図することを理解できる俳優。
彼はワンテイク目の演技が本当に素晴らしくて、何をしてくるかハラハラドキドキしだんですよ。
日本の映画界に必要な存在だと思う。」と2人を大絶賛。

さらに「2人が急速に仲良くなったんですよ。お互いにもたれかかって一方がギターもう一方が鼻歌をうたったり。
本当のカップルのようでしたよ。(笑)結果、映画にも2人の仲の良さが映し出されていると思いますよ。」と撮影現場での中島さんと菅田さんのラブラブっぷりを暴露し、会場からはクスクスと笑い声が聞こえてきました。

最後に監督は、「僕自身、毎回、今にないものをと作品を作ってきました。
大ヒットしたら、同じような作品が作られる。でも僕はここだ!と自分で思ったポイントで映画を作っているし、だからこそ、『ピンクとグレー』のような映画もありだと思ってほしいんですよね。
お客さんにも新しい扉を開いてほしいと思います。もし今日、気に入ってくれたら声を100倍にして周りの人に広めてほしいです。」と熱くメッセージを伝えました。

普段聞くことのできない撮影裏話や、監督の作品込めた想いに真剣に耳を傾けていただいたお客さんからの温かい拍手でしめくくられトークショーは終了となりました。

<会場とのQ&A>

Q.映画に登場する夏帆さんや柳楽優弥さんとても印象的でした。監督から見て2人はどうでしたか?

行定監督:夏帆さんとはお仕事をしてみたかったんですよね。
今回、彼女には映画に参加するうえで、フラストレーションなく、無防備になってほしくて。
それが彼女の魅力を引き出すことにもつながると思ったんです。
だから彼女に関しては、衣装あわせからこだわりました。衣装合わせを4回くらいして、自分たちが彼女に似合うと思っても、彼女自身が「自分に似合わないんじゃないかな」と思う衣装は排除していきました。
夏帆さんも“こんなに衣装合わせてに時間をかけてもらったことはないです。”と言ってましたね。

柳楽くんについては、直感で彼に決めていて、どうしても柳楽優弥だと思っていました。
僕は彼が13歳くらいの時から知っていたけど、仕事を一緒にしたことはなかったんです。でも、彼が出演した「金閣寺」という舞台を見た時、彼の表情がすごく良くて。
小さい頃から芸能界にいて色々なことを経験して、でも今なお、役者を続けている。
そんな彼だからこそできる役だと思ったんです。

Q.原作がある作品を映画化する際、何か基準にしていることはありますか?

行定監督:あまりないですね。ただ(映画化したいと)誰か強く思っている人がいるかは気にしますね。
あまりやりませんが漫画が原作のものは、漫画を一度文章に起こしてみて、余白や自分が訴えたいことが重なったらやろうと思います。でももしやるなら、漫画のファンから文句を言われる覚悟を持たなければなりませんが。(笑)

Q.監督が考える映画のタイトルにもある“ピンク”と“グレー”とは?

行定監督:映画の中で、1人は栄光をつかんだようみ見える人間、もう1人は堕ちていくようにみえる人間ですよね。
だから多くの人は対立しあっていると感じるかもしれませんが、僕はそうは思っていなくて。
ピンクとグレーという色は、対立しているのではなくて組み合わせると実はすごく相性が良いんです。
2人で1つの美しさがある。だから映画では、いかに絡み合わせるかだけを考えていました。

以上