映画『母と暮せば』二宮和也、“母”吉永小百合へ感謝の手紙「本当に幸せな時間でした」
映画『母と暮せば』初日舞台挨拶が12日、都内・丸の内ピカデリーにて行われ、主演の吉永小百合、二宮和也をはじめ、黒木華、浅野忠信、山田洋次監督ら豪華キャストが出席。サプライズで“息子”二宮から“母”吉永へ感謝の手紙と花束がプレゼントされた。
松竹120周年記念作品にあたる本作。終戦3年後の長崎を舞台に、原爆で一瞬にして人生を失い、亡霊として現れる息子と残された母親や恋人との奇妙で特別な時間を描く。
公開初日を迎えた山田監督は「この映画の準備が始まった日から、この日をずっと心待ちにしていました。こうして映画を観終わった人たちの前に立つことは、法廷で判決を聞くような気持ちで胸がドキドキしています」とあいさつ。山田組5度目の参加となった吉永は「“山田丸”という大きな船に乗って、キャスト・スタッフ全員で力を合わせてきました。長崎を出航して、今日ようやく東京に着港いたしました」と感無量の表情をみせた。
また、山田組初参加となる二宮は「歌を歌うシーンがあるんですが、その撮影中に監督とのやりとりで段差を感じることがあった」と吐露。「監督の前で何度も何度も『もうちょっと優しくがいい』、『もうちょっと伸びやかに歌って』と言われては挑戦して」と山田監督からの要望に苦戦した様子だが「その歌が息子の浩二を象徴しているシーンのひとつになったのでよかったなと思いますね」と笑顔を浮かべた。
公開直前まで様々なプロモーション活動などに専念し、座長として作品を引っ張ってきた吉永へ、二宮がキャスト・スタッフからの感謝の気持ちを綴った手紙を代読した。「ちょうど昨年の今頃に映画の制作発表会見があり、それから1年間、小百合さんのそばで本当に楽しくて充実した日々を過ごさせていただきました」と読み始め、「自分のことだけでも大変なはずなのに、誰よりも気遣いの人でした。一人一人の名前をちゃんと呼び、いつも山田監督の体調を気にされていましたね」と吉永の優しさを称賛した。
さらに「ご自身が座長として作品を背負っているんだという覚悟と潔さは、現場を明るく和やかにし、関わる人全員が過ごしやすい空気を作って下さいました」と感謝の気持ちを伝え、「小百合さんと一緒の船に乗って、本当に幸せな時間を過ごせました。そして先頭を走り続ける小百合さんはとても格好良かったです。その姿をいつも思いながら、一人一人が今よりももっと頼れる存在になり、小百合さんとまた一緒に素晴らしい作品を作りたい。それが今日からの我々の目標です」と締めくくり、会場からは拍手が巻き起こった。
感動のあまり、涙を浮かべる吉永は「嬉しいです。皆さんのおかげでなんとかやり遂げることが出来ました」とコメントし、「しばらく皆さんとお別れになるのは辛いなという気持ちがあります。またみんなでお芝居をしたりご飯を食べたりと、そういう機会をぜひ監督にお願いしたいです」と再会を願った。
映画『母と暮せば』は全国公開中
(Report:小宮駿貴)