『コーリャ 愛のプラハ』(96)でアカデミー賞®を受賞したヤン・スヴェラーク監督作『クーキー』が8月より全国順次公開いたします。本作は、チェコのアカデミー賞といわれるチェコ・ライオン賞で4部門を受賞。本国では2010年5月に公開され、初登場1位を記録するだけでなく、年間でも『トイ・ストーリー3』などのハリウッド大作を抑えての大ヒットとなりました。この度、『クーキー』のプレミア上映を記念し、「コンタック」「ドコモダケ」等のCMを手掛けた人形アニメーター・演出家の真賀里文子さんと、2010年に公開された『チェブラーシカ』の監督を務めた中村誠さんをゲストに迎え、トークショーを行いました。

『クーキー』プレミア上映&トークショー
■日時:5月17日(日) 
■場所:新宿シネマカリテ(新宿区新宿3丁目37-12新宿NOWAビルB1F)
■ゲスト:真賀里文子(人形アニメーター、演出家)、中村誠(脚本家、アニメ監督)

5/16(土)より新宿シネカリテで開催されている「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」でチェコのパペットアニメ「クーキー」(8月公開)が先行プレミア作品として上映された。今回の上映を記念し、「コンタック」「ドコモダケ」等のCMを手掛けた人形アニメーター・演出家の真賀里文子氏と2010年に公開された『チェブラーシカ』の監督を務めた中村誠氏をゲストに迎え、上映後にトークショーを行い、会場を盛り上げた。

作品の感想について聞かれると、真賀里は、大ヒット映画トイ・ストーリーを比較に出し、真賀里は「50年仕事をしてきましたが、こんな形で人形が活躍する映画は初めてです。クーキーが呼吸しているし、体温があるし。びっくりしました。チェコの森がとても綺麗。トイ・ストーリーとは全然違いますね。クーキーの方が少年の暮らしの中にいる感じがします。」

中村もトイ・ストーリーを例に出し「トイ・ストーリーシリーズも大好きなんですが、おもちゃが人間の見えてない所では、動いているのは一緒なんですが、さらにクーキーだと少年の祈りや想いが仮託されていて、非常に詩的な表現をされていて、最後のシーンで僕は泣いてしまいました。」と本作への熱い感想を語っていた。監督の演出について話が及ぶと真賀里は「なんでこんな大変な思いをするのかな(笑)、自分もこういう仕事していて分かるのですが、非常に手間が掛かるんですよね。でもどんな精巧なセットの中に精霊はいないけど、チェコの美しい森にはきっと精霊が住んでいると思う。この映画を観て自分も実際の森を使って何かを作りたいと少し思いました。クーキーは顔が変わらないけど、映画の中で相当な感情表現をしていますね。これは人形が動くことの原点なんです。観る人の気持ちによって人形たちの表情が変わるんです。」

中村は「表情が変わらないからこそ、効いてくるセリフも結構あって、その辺が非常に監督は上手に演出されているなと思いました。」と監督の演出に興味津津の様子だった。そして、一般のお客さんから、「なぜ日本でパペットアニメをあまりやらいのか?」という質問に対し、真賀里は「時間が掛かるので作っている所が少ないんです。手間も掛かるし。一日で10秒ぐらいしか作れないんです。増えるには条件があって皆さんが大好きになってもらうしかないですね。」対して中村は「日本だとCGもそれほど多くなくて、アニメはセル画のものが多いので立体のものは根づきにくいのではないでしょうか。」と各々の見解を語った。最後に真賀里は「この映画は1回だけでなく2回、3回観ても楽しめるので何度も足を運んで欲しい。」と締めくくった。『クーキー』は、8月より全国順次公開。