作家、歌手、パーソナリティーとして幅広く活躍するドリアン助川の著書「あん」が遂に映画化、5 月 30 日(土)より全国公開します。小さなどら焼き屋を舞台に、一人の老女とその周りの人々が、人生とは——を問いかけるいつまでも胸を去らない魂の物語。
このたび、『あん』が第 68 回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニングフィルムに選出され、河瀬直美監督、主演の樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、そして原作者のドリアン助川がカンヌに登場しました!

映画『あん』カンヌ国際映画祭 記者会見
■日程:現地5月14日(木) 10:00〜11:00 ※日本時間 5月14日(木)17:00〜18:00
■場所:カンヌ 「ジャパン・パビリオン」(Village International Pantero/ no223)
■登壇者:河瀬直美監督(45)、樹木希林(72)、永瀬正敏(48)、内田伽羅(読み:きゃら)(15)、ドリアン助川(52) *敬称略

<樹木希林、日本映画史上、“最高齢女優”で、孫の伽羅とカンヌ初参加!!初づくしのカンヌでも、緊張する孫に“超絶演技”指導!「こういうときは泣いちゃえばいいのよ!」>

日本人女性監督として最多のカンヌ出品(今回で7度目)を誇る河瀬直美監督の最新作『あん』が、栄えある「ある視点」部門のオープニングフィルムに選出、公式上映前に記者会見が開かれた。

河瀬監督、カンヌ初参加にして日本映画史上“最高齢女優”としての参加の樹木希林、主演作『ミステリー・トレイン』(89/ジム・ジャームッシュ監督)がカンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞したこともある永瀬正敏、祖母である樹木と本格的に初共演し自身も初の海外映画祭参加となる内田伽羅、原作者のドリアン助川が登場。
カンヌ 1 日目ということもあって、「映画祭が楽しみです!」とみんな笑顔で現れた。

ずらりと集まったメディアを前に、最多参加数を誇る河瀬監督は落ち着いた様子で、記者から、日本と海外の批評家の違いは?と問われると、「同じ人間なので変わらないけれど、カンヌはデビュー作から観てくれていて育ててくれている、成長を評価してくれていると思う。今回の『あん』も上映できて嬉しい」と、カンヌを再び訪れた喜びをかみしめていた。樹木は初カンヌでも相変わらずのマイペースぶりを発揮、緊張してうまく答えられない孫の内田に「こういうときは泣いちゃえばいいのよ〜」と、“超絶演技指導”をおこない、笑いを誘っていた。また、出演シーンがバッサリカットされたことも暴露し、「あそこもここも切られちゃったのよね〜」とユーモアたっぷりに話していた。永瀬は「(内田は)海外生活が長いから、日本語がうまく話せないんだよね」とフォローする優しさをみせ、「カンヌは2回目ですが、楽しみにしています」と、これからの上映に期待している様子。原作者のドリアン助川からは、「フランス版で原作本の出版のオファーがきている」ことが明かされた。また会場には、ドリアンさんの小説のモデルの 1 人である、元ハンセン病患者の森元夫妻も姿を見せており、ドリアン助川から「たくさんのことを教えていただきました。本当に感謝しています」と紹介があり、会場からは拍手が起こった。

『あん』は、同日14日(木)19:30(※日本時間15日(金)午前2時半頃〜)より、「ある視点」部門のオープニングフィルムとして公式上映され、レッドカーペットを監督&キャストが歩く予定。
「ある視点」部門の授賞式は、クロージングセレモニーがある、5月23(土)に実施。『あん』にも受賞の期待が寄せられている。
日本では、5月30日(土)より全国公開される。

【コメントまとめ】
●河瀬:「キャストの皆様にもギリギリのタイミング(カンヌ決定が)でスケジュールを調整していただくのも大変だったと思いますが幸せに思っております。原作者のドリアンさんに来てもらったことは本当に嬉しい。(ある視点オープニングにに選ばれて)錚々たるメンバーがカンヌに出品する中で特別枠に招待していただけたのは光栄です。たくさんの映画を愛する人がいて、日本文化を敬意をもって評価をしてもらえてるという思いを胸にレッドカーペットに上がらせていただきたいなと思います。

●樹木:「一応トップタイトルになってるけど、本当は永瀬さんの担当する、世界から囲われる男の役が宣伝活動をしないといけないのに、シニアの私がやってるのよ(笑)河瀬監督の賑やかしのためにやってきました(カンヌに)。この芸能界に60年前後いる市原さんとも、監督としてもすごいけど、私たち以上に女優ねといっていました(笑)(Q:今年は女性監督の活躍が目立ちますが?)河瀬さんを女性監督といいますけど、こんなに男性的にばさっと処分する力強さ、判断には参りましたね。カンヌに登場するときもこの押しの強さ、日本人の女性はこうじゃない。中身は燃えたぎっている。女性監督と括られるとちょっとなと。。(笑) (Q:裕也さんに見せましたか?)夫に見せましたら、アンドゥトロワーのあんかとあんことは関係ないことをいってました(笑)

●永瀬:「幸せな撮影の日々でした。女性に囲まれて(まわりみながら)。朝入ったところから帰りまで、千太郎としてその時期を過ごしました。千太郎として空気をすったり吐いたりしていた。女性ということは意識しなかった。希林さんは、現場でもずっと徳江さんだったので、ほとんど徳江さんと過ごしている感じでした。すごく感謝しています。ただ役者としても大先輩なのに、お疲れ様ですとも声をかけられない(あいさつしたい)という気持ちだったのですが、できなかったのが心苦しかった。」

●内田:「わたしも昨日ついたばかり、カンヌは初めてで楽しみです。この映画に参加できて、その上カンヌに来られて河瀬監督に感謝です。(Q:祖母である樹木と共演してみて?)普通のおばあちゃんでした。普段の感じともあまり変わらなかった。撮影中はわからない漢字を教えてもらった」

●ドリアン:「ハンセン病の療養所が舞台ですが、生きるってなんだろう、生きる意味とはなんだろうという意味を問いかける作品です。
カンヌにきて多くの方に見てもらうのが一つのゴールであると思っていたけれど同時に、この映画が世界にひろがっていく記念、スタートなんだという思いでおります。」