春の『アナと雪の女王』、夏の『マレフィセント』。ファンタジー映画が席巻した2014年。そしてこの冬、ハローキティの生みの親<サンリオ>が、その最後を飾ります。チャイコフスキー作曲による世界三大バレエのひとつ「くるみ割り人形」。大切なものを守るため、自らの“いのち”をかけて奮闘する少女の姿は、200年の時を超えてなお人々の心を魅了します。そんな世界中で愛され続ける名作古典童話であり、バレエの代表的演目が【極彩色ミュージカル・ファンタジー】として11月29日(土)に劇場公開が決定。ハローキティ40周年記念作品の本作を手がけるのは、“Kawaiiカルチャー”火付け役であり第一人者の国際的アーティスト・増田セバスチャン氏。“カワイイ”にこだわり続け、世界へ発信している同氏が自身初となる監督に挑みます。ボイスキャストには、有村架純さんや松坂桃李さん、市村正親さん、広末涼子さんといった各界のトップスターが夢のアンサンブルを披露。極彩色の臨場感溢れる未体験空間を華やかに彩ります。

 そしてこの度、本作の完成を記念して、マスコミ完成披露試写会を行いました。上映前には、増田セバスチャン監督に加え、サンリオの創業者で現在も代表取締役社長を務め、本作の生みの親である辻信太郎社長、2Dの世界観を立体的な3Dへと昇華させた三田邦彦氏らが舞台挨拶を行い、更には、今年40周年を迎え、今、世界を騒がせているハローキティが、本作の主人公でもある少女クララとコラボレーションを果たした「くるみ割りキティ」として、この舞台で初めてお披露目致しました。

■登壇者/増田セバスチャン監督、辻信太郎、三田邦彦3D監督、谷島正之プロデューサーくるみ割りキティ

谷島プロデューサー:本日は一般の方やマスコミの方に加えて、日本やアジア圏における3Dのパイオニア「清水崇監督」や、保坂大輔さんなど、著名なクリエイターの方もご来場くださり、クリエイターの方にとても気にしていただけるような映画になったんじゃないかと思います。35年前、1日にたった3秒しか撮影できず、完成まで実に5年もかかったそのアナログ最高峰の映像を使い、脚本や構成、色、さらにはCGや 3Dなどの加工を行い作り上げる試みとなりました。デジタルの最先端とアナログの最高峰がぶつかり合う瞬間を是非ご覧ください。豪華キャストが声で登場し、きゃりーぱみゅぱみゅの素晴らしいテーマ曲が最後に魔法をふりかける。果たしてどんな映画になっているのか、3Dを体感して頂ければと思います。

三田監督:立体感や演出によって、どんな風に3Dを楽しんでいただこうか、それを考えるのが私の役目でした。コマ撮りの人形アニメーションを3D変換するのは私にとって今回が初めて。実写でもあり、アニメでもある、2つの要素が詰まっている本作は、背景のセット含め非常に緻密につくられていて、2Dから3Dの変換が難しかったです。人形を使って新しいカットを追撮したり、CGを使って新しい要素を35年前のフィルムに融合させるなど、新たなチャレンジをしました。80分のコンパクトな作品ですが、体感に近い立体感の3D仕掛けを、始めから終わりまで随所に施していますので是非楽しんでください。

辻社長:増田セバスチャン監督の演出と三田監督の3Dの立体映像で、『くるみ割り人形』が再現されたことは本当に嬉しいです。1979年に、1コマずつ手で動かして作ったのが『くるみ割り人形』。そしてその5年前、今から40年前には「やなせたかしさん」が私のところに『ちいさなジャンボ』というメルヘン作品を書いて持ってきて「これで映画つくろうよ」と言い、それで作ったアニメがサンリオ映画の始めでした。それから、スヌーピーで有名なチャールズ・M・シュルツさんと二人で作り上げた『愛のファミリー』という映画が1977年にアカデミー賞を受賞。そして手塚治虫さんも一緒に作ったのが『ユニコ』という長編アニメーションです。その後、『キタキツネ物語』や、ロックミュージックの王者ローリング・ストーンのミック・ジャガーと一緒につくった映画をアメリカの一流館で上映でき、そしてディズニーが「火と水の映画はつくれない」と言っていた当時、サンリオはじゃあ火と水の映画を作ろう、ということで『シリウスの伝説』が完成しました。

こうしてサンリオはこれまで長編を30本、短編を60本つくりました。その中からこの昔の映画が増田監督の演出により新しい映画が出来たことは本当に素晴らしいと思っています。『アナと雪の女王』が日本で大ヒットしていますが、私は昔から「日本の文化や映画、歌を何とかアメリカに届けたい」と思っていました。今度はこの『くるみ割り人形』を、東南アジア版や、英語版をつくり、“『アナと雪の女王』=アメリカ映画が日本で成功した”ように、“日本映画がアメリカで成功する”ように是非みなさんに応援してもらえたらと思います。アメリカで、素晴らしい日本文化があるんだな、と思ってもらえるように、この人形アニメーションがアメリカで成功してくれれば良いなと思っています。

ここで増田監督と【くるみ割りキティ】が登場

増田監督:まさか世界が誇るヒロイン「キティちゃん」の横に並べるなんて思ってもみませんでした。今世界では「キティちゃんは実は何ものなのか?」と騒がれていますが、キティちゃんがいて、そしてこの映画に携わることが出来てとても嬉しく、僕にとってキティちゃんはミューズだと思います。
僕は、サンリオの劇場があった松戸の出身で、小学二年生のころに旧作を観ていて、そのストーリーはとても強烈でずっと心にひっかかり大人になりました。35年の時を経て、本作をリクリエイトすることは大変なプレッシャーでしたが、向こうにいるディズニーの知り合いの方が、あのサンリオがキティを連れてアメリカへ乗り込んでくる、と戦々恐々していると聞き、今はオールジャパンで乗り込もう、という気持ちです。先人達の作り上げてきたもののメッセージは失われないように気をつけながら、次の未来の子供達に最大限につなげ、「過去から未来への接続」が僕の重大なテーマであり、クララが少女から大人へ成長して変わっていくさまを、現代の子に体験してその世界を一緒に旅してもらえたらとつくりました。自分のストーリーとして感じてほしいですね。東京国際映画祭でもワールドプレミアが決まり、辻社長の「日本の文化や映画を世界に広げる」という意志を引継いで、日本オリジナルのポップカルチャーを世界に発信出来たらと思っています。僕にとって、すごく魂を込めた作品で、参加いただいた豪華な役者さんには、「一緒に舞台をつくるような気持ちで」とつくった作品です。3D作品ということで、随所に様々な仕掛けをいっぱいいれていますので是非楽しんでください。

辻社長:キティちゃんは猫じゃないんですよ。「キティが猫」ということは、「ミッキーはネズミなのか」という話になってしまいます。そういうことではなく、キティはキティ、ミッキーはミッキー。キティもミッキーもみんなのアイドルなのだから。『くるみ割り人形』は『アナと雪の女王』と同じように、「自己犠牲」がテーマにあります。「自分を捨てても良いから人のために尽くしたい」という35年前のテーマを上手に活かしてくれた増田監督の今回の作品を、是非観てほしいです。