『ツイン・ピークス 完全なる謎』の発売を記念して、特典映像として収録されている『削除シーン集 もうひとつのシーン集(The Missing Pieces)』のワールドプレミアがロサンゼルスで行われた。『削除シーン集 もうひとつのシーン集(The Missing Pieces)』とは、劇場版『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』でカットされた場面や別テイクをデイヴィッド・リンチ監督自らが編集を担当し、約90分の映像作品としてまとめたファン垂涎のフッテージ集である。

ワールドプレミアの会場となったのは、ロサンゼルスのロス・フェリス地区にあるヴィスタ・シアター。1923年のオープン以来、往年のハリウッドの雰囲気を湛えた劇場前には、レッドカーペットならぬ、白と黒のジグザグ模様カーペットが敷き詰められた。

会場にはつぎつぎと懐かしのキャストが集結。それぞれ『ツイン・ピークス』の思い出を語った。

『ツイン・ピークス 完全なる謎』Blu-ray BOX発売イベント
Twin Peaks: The Entire Mystery and the Missing Pieces
Text by Mirai Konishi

開催日時:7月16日(水)
開催場所:ヴィスタ・シアター
Vista Theater 4473c Sunset Dr, Los Angeles, CA 90027

出席者:
デイヴィッド・リンチ監督
シェリル・リー(ローラ・パーマー)
レイ・ワイズ(リーランド・パーマー)、グレイス・ザブリスキー(セーラ・パーマー)、
シェリル・リー(ローラ・パーマー)
ミゲル・フェラー(アルバート・ローゼンフィールド)、
ペギー・リプトン(ノーマ・ジェニングス)、
ジェームズ・マーシャル(ジェームズ・ハーリー)、
メッチェン・エイミック(シェリー・ジョンソン)、キミー・ロバートソン(ルーシー・モラン)、ラス・タンブリン(ローレンス・ジャコビー)、ら

レイ・ワイズ(リーランド・パーマー)
「デイヴィッド・リンチがクリエイターというおかげで、脚本は他のドラマよりもすぐれていたし、演出を手がけたのも映画監督ばかりだった。キャストもみんなすぐに打ち解けたし、特別な作品に関わっているという感覚を共有していた。こうした要素が合わさって、歴史に残るドラマが出来たんじゃないかな」

グレイス・ザブリスキー(セーラ・パーマー)
「わたしたちはいまでも『ツイン・ピークス』の余波を生きている。いまでは『ツイン・ピークス』で育ったファンによって、わたしたちは演出され、脚本が書かれているといってもいいほどね。デイヴィッドとの思い出はいつも同じ。現場にやってくると、なにか問題に気づく。彼はじっくりと考える。それについて不平不満を言うのではなく、その問題を、さらにイケナイことで解決しようとする。最終的には、予定していたどんなものよりも素晴らしいものに仕上がるの」

キャサリン・E・コールソン(丸太おばさん)
「このようにフッテージをまとめたのは、本当に素敵なことだと思うわ。デイヴィッドが(映画版から)なにをカットしたのか、ファンは知りたいと思っていたから。今夜はじめてそれが提供されるのはエキサイティングね」
「ファンから一番多く訊かれる質問は『丸太はどうなったのか?』なの。そのたびに、『安全で秘密の場所に保管されている』と答えることにしている。安全で、加湿器のある場所にね(笑)」
 
メッチェン・エイミック(シェリー・ジョンソン)
「当時のテレビとしてはものすごく革新的で、デイヴィッドとマークはそれまで常識を壊してみせた。当時の視聴者はそういうものを求めていたんだと思うの。手続きを踏むだけのありきたりの刑事ドラマに見飽きていた。このドラマはそれまで眠っていた視聴者の欲求に答えたからこそ、ここまで大きな反響を得たんだと思う」
「当時は16か17だったけど、デイヴィッドの仕事は知っていたの。だから、デイヴィッドがテレビをやると聞いて、なんてクレイジーなアイデアなんだろうと驚いた。大失敗になるか、偉大な作品になるかのどちらかだと思っていたわ」

デイヴィッド・リンチ監督はいつものように黒のスーツを着て会場に登場。集まったカメラマンたちの前に、キャストやスタッフたちとポーズを取ったのちに、会場内に入った。

 『削除シーン集 もうひとつのシーン集(The Missing Pieces)』の上映開始前に、デイヴィッド・リンチ監督が登壇。
「今日はお集まりありがとうございます」と挨拶すると、おもむろにメモを取り出し、詩の朗読をはじめた。

「海には魚が溢れている
 だが、今夜は木材について語りたい
 この世では、電話が鳴り、木材について問い合わせを受けることがある
 たいていは、材木置き場で起きる
 もちろん、電話が設置されていなければならないが
 樹木は成長し、当然のことながら木材となる
 樹木を観察することで幸せを見いだすことができるように
 木材で作られたさまざまな形を観察することからも幸せを得ることができる
 つまり、美についてわれわれが語るとき、
 だいたいの場合、われわれは木材について語っているのだ」

(原文)
There is an abundance of fish in the sea.
But tonight, I would like to speak about wood. There are many times in the world when the phone rings and someone is inquiring about wood.
This happens primarily at lumber yards and in this case, it’s necessary to have a phone. It is only natural that trees are growing and that they are made of wood.
Much happiness can come from observing a tree and the same can be said about observing the many shapes fashioned out of wood. Quite often when we are talking about beauty, we are talking about wood.
   
 デイヴィッド・リンチ監督は不条理な詩を読み上げると、「どうもありがとう」と言い残して、舞台を降りた。
 『ツイン・ピークス』の思い出や『削除シーン集 もうひとつのシーン集(The Missing Pieces)』の成り立ちについて話を聞くことができると期待していた観客たちがあっけに取られているうちに、館内照明が落ち、上映がはじまった。

約90分に及ぶフッテージ上映が終わり、エンドクレジットの後、サプライズとしてモノクロのインタビュー映像が上映された。デイヴィッド・リンチ監督が、レイ・ワイズ(リーランド・パーマー)、グレイス・ザブリスキー(セーラ・パーマー)、シェリル・リー(ローラ・パーマー)のパーマー一家にインタビューを行うという内容だが、それぞれの俳優は登場人物として答えているのだ。インタビューは、まだ設定上は生存しているセーラ・パーマーから開始。いまの生活やかつての思い出などを質問したあとに、すでに死亡しているローラ・パーマーやリーランド・パーマーにも、同じ質問をぶつけるというシュールな展開になる。やがて、上映終了の明確な合図がないままインタビュー映像が終了したため、観客はなにも映らないスクリーンをしばらく見つめつづけることになった。会場に詰めかけたファンは、またも鬼才リンチに振り回される結果となった。

 なお、上映後、招待客はカクテルバーのThe Bigfoot Lodgeにおいてアフターパーティーに
参加。さながら『ツイン・ピークス』同窓会となった。

『ツイン・ピークス 完全なる謎 Blu-ray BOX』数量限定生産 
パラマウント・ジャパン 
7月29日発売¥29,000+税

★イベント動画
YouTubeチャンネル http://youtu.be/ixekfonVbC4

★作品予告編
YouTubeチャンネル http://youtu.be/bFd4BTDVqz0

日本版DVD公式サイト:http://dvd.paramount.jp/search/detail.php?id=9002
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