宮崎駿監督「米林は、1+1=5の男だ。」『思い出のマーニー』完成披露記者会見
7月2日、東京国際フォーラムにて映画『思い出のマーニー』の完成披露記者会見が行われた。
登壇者は、高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、黒木瞳、プリシラ・アーン、米林宏昌監督、西村義明プロデューサー、以上の10名だ。
一言ずつ挨拶。
西村プロデューサー:スタジオジブリの新しい挑戦ということで不安と期待が入り混じっていますが、力強い、自信が持てる作品となりました。
米林監督:製作が遅れ、ご迷惑をおかけしましたが、なんとか完成しました。
高月さん:小さな頃から大好きなジブリ作品に声優として参加することができ嬉しいです。声優初挑戦でしたが、周りの方々に支えられ誇りの持てる作品にすることが出来ました。
有村さん:オーディションに受かったとマネージャーに聞いたときは本当に信じられませんでした。こうして記者会見の場にいられることが夢のようです。やっと実感してきました。
松嶋さん:女の子に共感していただける作品だと思います。私自身も母親なので、そのまま役に入り込めました。
寺島さん:様々な映画作品に関わっていますが、初めて娘孝行できる作品となったと思います。
根岸さん:いつも作品を観に来ない子供達が来て、ジブリなら来るのかと思いました。笑
森山さん」:出演が決まり楽しみにしていたら、老婆役と言われて「どうにかならないか」と申しましたら、老婦人になりました。でも今はいろんなものを背負いながら生きていく、綺麗な老婦人役でよかったと思っています。
プリシラ:10年前に映画『ハウルの動く城』を観てジブリ作品に魅了されたあの頃、まさか自分が主題歌を任されるなんて夢にも思っていませんでした。
次にMCによる代表質問が行われた。
通称、麻呂こと米林監督は前作の映画『借りぐらしのアリエッティ』でやり残したことをやり切ろうと思い挑んだという。今から2年前、鈴木敏夫プロデューサーに一冊の本「思い出のマーニー」を渡され、映画にするのは難しそうだと一度お断りしたが、イメージ画を何枚か描いてるうちに、この映画に挑戦することを決めたそうだ。
「豪華キャストの声はいかがでしたか?」と尋ねられると、米林監督は「声が吹き込まれるまで1年間丹念に絵を描きました。声を収録していくうちに、それぞれのキャラクターに命が吹き込まれていくのをひしひしと感じました。」とコメントした。
松嶋菜々子はひとつの台詞を何度も撮り直したという。普段女優として活躍しているので、声だけで演じる難しさを痛感したそうだ。どれだけ感情を込めても表情に出せても、声に感情を乗せなければ伝わらない。スタジオジブリが声優を女優や俳優に任せる理由は、身体中で役に入り切ってもらえるからなのだろうかとふと思った。
黒木瞳は観ている人が自分の顔を浮かべないように工夫して挑んだという。自分自身が異なる人物を演じている女優が、キャラクターにも精一杯なりきろうとする姿勢は素晴らしい。
最後に本作を観た、宮崎駿さん、高畑勲さんの感想が明らかになった。
宮崎駿さん
「米林は、1+1=5の男だ。」
高畑勲さん
「この作品を持って、米林監督はじじいが去ったあとのスタジオジブリを代表する顔となった。」
この偉大なるお二方の感想から、本作がいかに素晴らしき芸術作品であるかということが伺える。
「子どもを持ち、親になったからこそ創り出せたこの作品を、親子で観て欲しい。」と力強く西村プロデューサーは語る、一方の米林監督は「不安でしたが、自信を持って全国にPR出来そうです。」
と安堵の表情を浮かべ、記者会見は終了した。
(Report:浜野真里)