2005年に連載を開始以降これまで単行本37巻を既刊・累計400万部突破の高橋のぼるによる漫画『土竜の唄』(「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載中)を原作とし、監督・三池崇史×脚本・宮藤官九郎×主演・生田斗真という3つの才能の結集によって映画化した話題作「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」が、イタリアの首都ローマにて開催された、第8回ローマ国際映画祭(11月8日〜17日)のコンペティション部門にて、ワールド・プレミア上映されました。
ローマ国際映画祭は、ローマ市全面協力のもと開催される華やかな映画祭として、これまでニコール・キッドマンやジョージ・クルーニー、メリル・ストリープなど世界的な映画スターも参加。第7回からは、ヴェネチア国際映画祭をはじめ数々の国際映画祭でディレクターを務め、各映画祭にて日本をはじめとしたアジア映画のセレクションにも大きな影響を与えてきたマルコ・ミュラーがディレクターに就任し、世界からより一層の注目を集めている映画祭です。

主演・生田斗真と監督・三池崇史、原作・高橋のぼるは、11月15日の「土竜の唄」公式上映にあわせて現地ローマ入り。およそ20を超える海外マスコミが集まったフォトコール(写真撮影)を経て、現地マスコミに向けた公式記者会見を行い、その後イタリアをはじめロシア、フランス、イギリスなど約10媒体の単独取材を受けました。今回が国内外初の映画祭参加となる生田は、会見にて「海外の映画祭を夢みてきたので、この作品をイタリアに持ってくることができてうれしく思います」とコメント。期待に溢れた表情をのぞかせました。

三池崇史監督作の出品は、昨年の「悪の教典」に続き2回目ということもあり、三池ファンも多い当地。上映前のレッドカーペットアライバルにも、300人を超えるギャラリーがつめかけました。生田、三池、高橋の3名は、劇中に登場する阿湖義組(あこぎぐみ)の紋付袴姿で登場。3人の姿が見えるや否や、生田や三池の名前が口ぐちに呼ばれ、レッドカーペットは熱狂の渦に巻き込まれました。中には「生田ローマ」「イタリアに来てくれてありがとう」など、日本語のメッセージや似顔絵が描かれたうちわやプラカードを持ったイタリア人の生田ファンの姿も。詰めかけた報道陣や観客の呼び声に答える三池監督は、現地イタリアの映画ファン曰く、「日本の映画監督の枠を越えた、世界の三池崇史」としての貫録を垣間見せていました。

会場である文化複合施設『オーディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカ』内『シノポリホール』にて22時過ぎから行われたワールド・プレミア上映では、遅い時間にもかかわらず1000人を超える観客が鑑賞。現地での三池人気を伺わせる盛況ぶりでした。上映中は爆笑に次ぐ爆笑。場内では物語に合わせて、何度も拍手が起こりました。登場人物たちが歌い終わって拍手、“玲二”がピンチから救われて拍手、さらには「バッチ来〜い!」というキメ台詞の後に拍手と、会場は大盛り上がり。多くの観客が映画
と一体となって楽しんでいることがうかがえました。上映終了後は、場内で一緒に映画を鑑賞していた生田、三池、高橋にむけて、スタンディングオベーションが贈られ、エンドロールが終了した後もしばらく拍手が鳴りやみませんでした。鑑賞後、興奮冷めやらぬ様子の現地のマスコミや観客からは「ファンタスティック! 新しいアイディアがつまった作品」「ずっと笑っていて2時間があっという間に過ぎた」「革命的な映画。今までの日本映画へのパロディの要素も感じられた」「生田斗真はコミカルなシーンも表現豊かに演じていてよかった。弱い面と強い面を併せもつ人物を演じ、さらに笑いに転嫁している」「愛あり、正義あり、若い世代に共感を得る作品」など、数々の好意的なコメントが寄せられました。

翌日16日、映画祭の興奮が冷める間もなく、生田、三池、高橋の3名は、ローマの各所にて絵作りツアーを敢行。まず訪れたのは、“トーマの休日”ならぬ、「ローマの休日」の舞台にもなった『スペイン広場』。多くの観光客でごった返す超有名スポットにまさに潜入!観光客の注目を浴びつつ写真撮影を行いました。次に、美しいローマの眺望を堪能できる『ピンチョの丘』を経てから訪れたのは、古代ローマ時代の遺跡『フォロ・ロマーノ』。ローマ市内にぽっかりと開いた古代世界への入り口のようなこの場所で、ゆったりとした時間の流れにひと時リラックスした様子の3人。さらに、ローマ帝政時代の円形闘技場『コロッセオ』を訪れ、過去に多くの戦いが行われたこの場所で、男気溢れる「土竜の唄」の“菊川玲二”よろしく、ファイティングポーズでキメました。
以下、コメントになります。

ローマ国際映画祭ワールド・プレミア上映を終えたコメント
≪生田斗真≫
お客さんとこんな風に映画を一緒に観ることは、日本ではあまりありません。観客の反応を身近で感じることができて刺激になったし、たくさんの笑い声を聞くことができて、こちらも楽しかったです。エロは全世界共通なんだと感じました(笑)。三池監督は海外映画祭の常連ですし、海外からの反応を聞くと自分のことのように誇らしく思います。また、日本文化として海外に受け入れられている漫画というジャンルの、さらにその第一線で活躍されている高橋先生の「土竜の唄」で映画祭に来ることができて嬉しいです。また、イタリアの方々に知ってもらっていて、名前を呼んでもらえるとは予想もしていませんでした。海外映画祭の初夜、チョー気持ちよかったです!

≪監督:三池崇史≫
日本のお客さんも、生田ファンももちろん楽しめる、喜び、笑い、驚きがつまった今までにないタイプの映画です。
観客の反応がスクリーンに反射してひとつの作品になる。そういう経験は毎回得られるわけじゃないですが、今日は楽しんでもらえてほっとしたし、ぐったりもしました。

≪原作:高橋のぼる≫
この作品で海を渡ることになるなんて想像もしていませんでした。素晴らしい監督と主演に出会えたことに感謝しています。グラッチェ!

ローマ各所でのフォトセッションを終えたコメント
≪生田斗真≫
初めて来たローマは、歴史ある建造物が形を変えずに残っているのが羨ましく、またのんびりした懐かしい気分になれて素敵だなと思いました。
レッドカーペットが終わって一晩経ちましたが、本当に夢のような時間でした。あんなに喝采を浴びるとは思っていなかったので感無量です。イタリアの観客の笑いのツボは、意外と日本の笑いの感覚とずれていないと感じました。ここで笑いが起きたら嬉しいというところでちゃんと笑いが起きていましたし…。レッドカーペットでは僕を知っていてくれているイタリアの現地の若い女性たちがいて心強かったです。フランスや中国から来てくれたファンの方々もいました。
現地媒体取材では、僕の過去の出演作品を観てくださっている方もいて、すごくびっくりしました。それぞれの媒体の方が、作品と向き合った上で、きちんと自分の考えをもってインタビューをしてくれて、とても新鮮でした。
どこかで気を張っている部分はありますし、今も興奮状態は続いていると思います。ローマ国際映画祭を経験して、もっと日本の作品を海外にもっていきたい、と改めて感じましたし、僕も日本映画の間口を広げる歯車のひとつになりたいという思いがより強くなりました。劇場で、拍手の中、スポットライトを浴びた光景は本当に忘れられません。ただ、一番の目標はいい作品を作って多くの人に観てもらうことなので、映画祭は一種のご褒美だと思っています。

≪監督:三池崇史≫
「土竜の唄」っぽいすごい旅だった。映画一本もって世界に潜入。
僕の作品は、いつも映画祭の中で異質なんですよね。それも役割かなと。でもすごく楽しめました。
イタリアの観客はストレートだし、映画祭はお祭りだから楽しみ方を知っている分、敵にまわすとシビア。でも終わった後は、形式的なものではなく、一緒に楽しみを共有した御礼のような、すごく暖かい拍手をもらうことができました。
まったく違う時代に違う場所で生まれた人間が、監督と俳優として同じ作品を作ることで、盃を交わす以上の絆が生まれるように思っています。生田斗真の表現力、パワーは撮影の時点では自分の力にもなっていたと思うし、スタッフも若返っていく。学ぶことの方が多く、影響を受けています。そうでないと映画が年老いてしまう。それを引き止めてくれるのが「土竜の唄」における生田斗真の存在でした。