映画『凶悪』が9月21日に初日を迎え、主演の山田孝之をはじめ、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、白石和彌監督による舞台挨拶が新宿ピカデリーにて行われた。

映画『凶悪』初日舞台挨拶
【日程】9月21日(土)
【場所】新宿ピカデリー
【登壇者】山田孝之(29)、ピエール瀧46)、リリー・フランキー(49)、池脇千鶴(31)、白石和彌監督(38)

本作は、死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴き、真犯人逮捕への道筋をつけた異例の事件を活写し、日本を驚愕させたベストセラー・ノンフィクション新潮45編集部編『凶悪ーある死刑囚の告発ー』の映画化。中でも、凶悪な二人に対峙するジャーナリスト・藤井を演じた山田孝之の圧倒的な存在感、事件を告白する死刑囚・須藤を演じたピエール瀧と首謀者である“先生”を演じたリリー・フランキーのヒールぶりに話題が沸騰!実際にあった事件を題材にした本作が映画化になり初日を迎えられたことに対して、「半端な気持ちではできない、自分自身が凶悪にならないといけないと思い創りました。見に来ていただきありがとうございます」と監督は感無量。人間の二面性を浮き彫りにした脚本に惚れ込んだキャストは、「藤井の気持ちに変化があり、やりがいがありそうで、すぐにやりたいと思った」(山田)、「モデルの死刑囚と遺族の方と間接的に関係を持つのは、それは嫌でしたよ。しかし、監督の堅い決意、リリーさんの誘いもあり悪に引き込まれました」(瀧)、「まずやりたいなと思った。けど、ひとりは嫌だなと思って、瀧を道連れにしました。僕と瀧を選んだということはシリアスな犯人像ではないので、二人でぶっこんじゃお!って思ったら普段通りの俺らでしたね」(リリー)、「難しくてやりがいがありそうと思いこの役を引き受けました。すでにキャストが決まっていたのですごいことになりそうだなと思いました」(池脇)と、それぞれの本作への出演経緯を語った。

本作は重厚なドラマにも関わらず、撮影はたったの3週間。しかし、キャストは「辛かった」と口を揃える。瀧は「極寒の日に一晩中撮影で、一度上着を脱いだことで着れなくなって失敗した」と半笑い。観客も半笑いだったため、すかさずリリーが「こんな映画を見て大笑いできないよね。楽しいシーンがまったくないからね」とツッコミが!瀧は本作で初濡れ場に挑戦しているが、「横に子供をおいて撮影した。監督の凶悪さを感じましたね」というエピソードを語ると、「様は見えないように気を遣いました」と笑顔で応える監督に対し、全員が「そういうもんだいじゃねーだろ!」とツッコミに、会場からはまたも笑いが起こった。今回被害者役を演じた一人のピン芸人ジジ・ぶぅはリリーたっての希望で決まったこともあり、リリー自身ジジ・ぶぅとのシーンを振り返る。「アルコール度95℃のスピリタスを飲ませるシーンで、ずっと飲み続けているので、なかなか喉が通らない、疲弊してお腹がでてくるのがわらるんですよ。それをまた監督は隣で大笑いしてるんです。さらに4Lのスピリタスに変わる水を飲むジジ・ぶぅに対して撮影終了後、スタッフが『お水飲みますか?』って聞いていて、『飲むわけないじゃん!』って」とエピソードを語るとようやく会場がどっと笑いが起こった。池脇は「撮影2日間で何にも楽しくなかった。息が詰まりました。でも山田くんは楽しそうでしたよ」と言うと、山田は「池脇さんとの面会シーンがすごい楽しかったです。芝居っていいなって」との返しに、池脇も「いじめられてたみたいで。。。」と笑いながらコメント。本作の雰囲気とは打って変わって和気あいあいとしたキャストのトークで会場を沸かせた。

今回、公開初日を祝して、原作者の著者であり主人公・藤井のモデルとなった宮本太一氏の<記者からの手紙>を紹介。山田に対しては「殺気迫るものがありました。最初と最後で同じ人とは思えない」、瀧に対しては「実際の死刑囚よりはるかに凶暴で迫力があったことを保証」、リリーに対しては「得体のしれない怖さを垣間見せる絶妙の演技には感服しました。ラストは圧巻でした」、池脇に対しては「『楽しかったんでしょ?』の一言で不謹慎にも楽しんでいたという事実を再認識させられました」とキャスト陣ベタ褒め。最後に監督に「演技力、想像力には何度も唸りました。監督のオリジナリティに満ち溢れている」と絶賛コメントを寄せた。熱いメッセージを受け、山田は「いい意味でも悪い意味でも原作があると比べられるが、純粋に映画として見てもらえてよかった」とコメントし、感謝の言葉が綴られた手紙であった。

最後に「こういう映画が作りづらくなっているので、本作がヒットすると色々な作品を作れると思います。日本映画に元気を取り戻してほしい」と白石監督が本作のため、日本映画の未来のためにという言葉を残し、舞台挨拶は終了した。