アンコール上映中!渋谷ユーロスペースにて、歴史大作『セデック・バレ』トークイベント
8月4日(日)渋谷ユーロスペースにて、歴史大作『セデック・バレ』のトークイベントが行われました。非常に多くのお客様から「もう一度劇場で観たい」「見逃してしまった」という声を頂き、その熱い声に応え一週間限定でのアンコール上映が決定した本作。日曜の夜の上映にも関わらず多くの方々にご来場いただき、場内は活気にあふれていました。この日は別冊映画秘宝の編集長である田野辺尚人氏とアートディレクターの高橋ヨシキ氏にご登壇頂き、お二人ならではの感想や映画の見かたについて放送コードギリギリの発言も飛び出すトークを繰り広げていただきました。
田野辺:文明と野蛮の激突ということで本作をくくってしまうのは申し訳ないんですけども、高橋君は映画をご覧になっていかがでしたか?
高橋:『セデック・バレ』は文明化が進んでいく中で、野蛮の血が途絶えてしまうことへの反発を描いた作品だと思うんです。完全未開の地に踏み込んでいく映画とはちょっと違うなと思いましたね。
田野辺:僕は別冊映画秘宝で述べている通り、この霧社事件は「台湾が日本人化していくことに関して起こった悲劇である」と思っています。スペクタクルな演出がふんだんに盛り込まれている本作を観て、メル・ギブソン監督の『アポカリプト』を連想した方もいるかと思いますが、ウェイ・ダーション監督の手腕について高橋君はどう思いましたか?
高橋:本当にすごいと思いますよ。撮影に向けてかなり入念に準備しているはずですし、非常に多くの人たちを仕切らなきゃいけないですからね。これだけの現場を仕切ることは相当大変なことですから、マイケル・ベイ監督を褒めるのと一緒で「たくさんの人がいる現場を仕切れる人は偉い」と僕は思うんです。
田野辺:『食人族』のルッジェロ・デオダート監督もすごいですよね。この『食人族』も文明と野蛮の対決を描いていますが、『セデック・バレ』で描かれている首狩りとはセデック族にとって相手を成仏させる意味だったり、相手に対して敬意を示しているんです。首狩りは野蛮だと言われていますが、彼らにとっては礼儀にかなった殺し方だったんです。
高橋:僕は『セデック・バレ』を観ていて、こんな凄い内容はフィクションでも思いつかないと思いましたね。「こんな文化があるんだ」と知らされた上に、「原住民族から勧められたものは絶対断るな」ということを学びました。『食人族』や『インディー・ジョーンズ 魔宮の伝説』でも、勧められたものを断ったヤツは大体痛い目に会ってますから、本当に大事なことなんだと思いました(笑)。
高橋:主人公のモーナ・ルダオって見た目は『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフなんですけど、やっていることはアラゴルンですよね!?「指輪物語」のおいしいところが全部詰まったような人物で、究極にかっこいいです!他にも、第一部で「俺も戦士になりたい!」と言っていた子供のバワン・ナウイは、第二部では「子供ランボー」になって機関銃を乱射して、殺しまくってるじゃないですか。もしかしたら彼が最強なのかもしれないですよ(笑)。