映画『ATM』爽快な不快感、救いの無さが良い!テレンス・リー流の言葉で映画を絶賛!
この度、10月20日(土)よりシネクイントにてレイトショー公開される映画『ATM』。今回、公開に先駆け“自分の身は自分で守れ!”をテーマに危機管理セミナー付試写会を10月4日(木)に開催致しました。
本作は、ただ現金を引き出すためだけに立ち寄ったATMで、様々な災難に巻き込まれ、壮絶な脱出劇を強いられる男女三人が主人公のシチュエーション・スリラーです。安全を守るはずの防犯カメラに、予測不能のトラップが仕組まれ、当たり前の日常の安全神話に警告を鳴らしています。
試写会では、シークレットゲストとして、危機管理コーディーネーターの肩書きを持つテレンス・リーさんをお迎えし、日常の危機管理について、また、映画についてのお話を伺いました。
【危機管理セミナー付き『ATM』試写会】
◆日時:10月4日(木)19:00開演
◆場所:アキバシアター(千代田区神田連塀町 富士ソフト アキバプラザ2F )
◆登壇者:テレンス・リー氏
◆MC:森直人
◆MC・森直人(以下、MC):
「リミット」脚本家の最新作『ATM』を、ご覧になった感想からお伺いできますでしょうか?
◆テレンス・リー(以下、リー):
今日は、金子哲雄のお通夜があったのですが、こちらに来てしまいました(苦笑)。
映画の率直な感想としては、本当に不愉快な映画ですね。後味の悪い映画でした(笑)。
◆MC:
危機管理コーディーネーターの肩書きを持つ、テレンス・リーさんからみて、映画の中にも登場する防犯カメラ等のシステムや安全について、どのように感じられましたか?
◆リー:
この作品で描かれているのは、ほぼ正確ですね。まぁ、ツッコミどころはあるのですが、日米の違いの差が出ていて、「そこで警戒するの?」と日本人には思う場面もあって、それがひとつこの作品の見所ですね。
◆MC:
防犯カメラが重要なアイテムになるわけですが、テレンス・リーさんは相互監視社会の恐怖を警告もされていますよね。例えば、オウムの高橋容疑者を追い詰めたのは、あの防犯カメラの映像と言っても過言ではないですよね。
◆リー:
そうですね間違いないですね。それでも警察関係者に言わせると、防犯カメラが足りないと言われています。もっと防犯カメラを増やせと。増えるとか抑止力になりますし、捕まえやすいんですよね。
◆相互監視社会だと、秩序が保たれるというのと、皆が見張られてしまうという、諸刃の剣ではないかと思うのですが…
昔、『1984』、『プリズナーNo.6』と言う怖い作品もありましけど、監視社会というのは、突き詰めると国民全体を囚人にすることですからね。イギリスなどでも反対運動がありましたけど、
犯罪の抑止力になる、また、犯人が逮捕されるのであれば良いという世論も多くて、結果的に防犯カメラが増えましたからね。
◆MC:
日常における恐怖の話で行くと、映画のように気をつけないと行けない事はありますか?
◆リー:
実は、私のところで働いているスタッフが、昔銀行に務めていたのですが、ATMのガラスのところに防犯カメラが仕込まれています。安全の為、並んでいるお客さんが何をしているかを確認する為に、撮影しているのですが、多くの人がカメラに向かって、髪を直したり、メイクしたりしているらしいですね。撮影しているカメラに向かって。これは怖いですよね(笑)元銀行員からの内部情報ですから(笑)。
◆MC:
映画評論家としての側面も持っていて映画に詳しく、また、危機管理コーディネーターでもあるテレンス・リーさんですが、今回のシチュエーションはいかがでしたか?
◆リー:
この手の映画は、身も蓋もないところが良いと思うので、この映画はオススメです!
中途半端に救いがあると、かえって面白くないので、この映画の救いの無さがいいし、後味の悪さが、良さになってるね。
◆MC:
こんなシチュエーション・スリラーが見てみたい!という密室のシチュエーションはありますか?
◆リー:
『ATM』に対抗できるとしたら、“ボットン便所”でしょうね(会場爆笑)。
“ボットン便所”に、夜中一人で閉じ込められたら。その状況自体が怖いじゃないですか(笑)
妖怪にも通じる、日本的な怖さがあるよね。もののけに通じる小泉八雲の世界ですよ。
そんな作品あれば、せひ出演したいですね。脚本から参加しますよ(笑)
◆最後に、テレンス・リーさんより一言皆さんへ:
この映画観終わると、皆さんきっと「ばかだなぁ〜」と感じると思います。寅さんの恋をみている寅屋のおいちゃんみたいに、「ばかだなぁ〜」と…(笑)
皆さん最後まで、お楽しみ下さい!
*以下、囲み取材より
◆レポーター:
この映画の感想を改めて、お聞かせ下さい。
◆リー:
“爽快な不快感!”これですね。
非常に不愉快な映画でしたね。不愉快というのは褒め言葉ですが、この手の映画は、愉快であってはいけない。
不愉快さ加減によって映画のクオリティーがわかると思うので、その点、この映画のクオリティーは高いし、救いの無さが良いです。人間、便利なものに慣れてしまうと、自分でどうにかしないといけない場面で、人がフリーズしてしまう。そういったところも、上手に表現している。この映画は、シチュエーションが(自身の身に起こりえないことは)無いとは言えないし、日本でも起こる可能性があるかもしれない。
(先日亡くなられた金子哲雄さんと)一緒にこの映画を観たかったね。この映画の不愉快さ加減を味合わせたかったよ。