日活株式会社は、日本最古の映画会社として2012年9月10日に、創立100年を迎えます。
この日活創立100周年を記念し日本外国特派員協会にて、宍戸錠氏が登壇し、年内刊行決定した「シシド完結編 小説 日活撮影所」(仮題)に関して語り、ご本人が一番好きな映画『拳銃は俺のパスポート』の試写会と記者会見を行いました。昨年にはニューヨーク映画祭に招待され、サイン攻めにあうなど、現在も海外でファンが増殖中の宍戸錠氏。日活ニューフェイス第1期生として日活の黄金期を支えた【エースのジョー】に、外国特派員より歓声があがるなか、「Thank you」と英語で応じ、特にはジョークを交え、鈴木清順監督への思いなど語って頂きました。

【日 程】9月5日(水)
16時30分〜『拳銃は俺のパスポート』試写会
18時00分〜 記者会見
【場 所】日本外国特派員協会 (千代田区有楽町1−7−1 有楽町電気ビル北館20階)
【登壇者】宍戸錠

宍戸:日活は石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、和田浩治という4人のビッグスターを作った。
僕は1期生なので、彼らより先に入ったわけだけど、彼らはダイヤモンドラインと呼ばれていて、稼ぎ頭だった。そしたら裕次郎がスキーをしていて脚を折った。また、ある日、僕らが撮影所から食事に行こうとしていたら、真っ赤なジャンパーに白いヘルメットで青いゴーカートに乗っている男がいて、最初は誰だかわからず、こちらに向かってくる時になんとなく赤木かなと思った。
スピードが出ていたので、下手したら怪我するなと思っていたら、向こうから4人がかりで仰向けのトニー(赤木の愛称)を載せたボードを担いできて、そのトニーの顔があまりにも綺麗で「死んだなコイツ」って、その時は実際にはまだ死んでいなかったけど、そう思ったんだよね。

トップ(石原)と3番目(赤木)がいなくなったので、どうしようかと探していたところ、僕に白羽の矢が立った。僕は5番目の男として、主演をもらうようになり、立て続けにヒット、結局2人分を僕が稼いだ。「エースの錠」の名前の由来はただ単にカードが好きだったから(笑)。ワイズ ミラーの体を見てボディビルを始めたりして、早撃ちは日本ではゲイリー クーパー、アラン ラッド、次がジョー シシドかな(笑)。僕は何やっても3番目なんだよね。裕次郎、旭、錠とかね。

思い出のある監督といえば1番は鈴木清順監督。今は体を悪くしているけど、まだ映画やりたいと言っているよ。特に『肉体の門』は5回映像化されて、それぞれ日本でも5本の指に入るディレクターが撮っていると思うけれど、僕は鈴木の『肉体の門』が一番だと思っている。昨年(10月に)行われたニューヨーク映画祭で(鈴木監督の)『肉体の門』が上映されたとき、スタンディングオべーションですごく良い評価をもらった。鈴木は『殺しの烙印』という映画で、当時の日活の堀社長になんという映画だと叱られて8年間首になった。でも、その時撮影所には僕を含めたくさんの味方がいて、8年間食わしていたよ。今でも僕のことを「錠ちゃん」と呼んで、「また映画つくろうな」と話してる。(鈴木さんの他に思い出のある人は、)あとは死んだ人のことしか思いつかないです(笑)。

【宍戸錠プロフィール】54年 日活撮影所ニューフェイス第一期生。55年のデビュー以来、石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎 をサポートし、61年 初主演「ろくでなし稼業」以降、「早射ち野郎」「殺しの烙印」「野獣の青春」「拳銃(コルト)は俺のパスポート」等、 日活時代の主演作は54本!そして現在も多方面で活躍。これまでですでに、計500本近くの映画に出演している。

【書籍の情報】「シシド 小説 日活撮影所」の続編、「シシド 完結編 小説 日活撮影所」(仮題)
角川書店より年内刊行決定!

【拳銃(コルト)は俺のパスポート】(1967年/モノクロ/シネマスコープ/84分)
野村孝監督のハードボイルドアクション。エースのジョーこと宍戸錠のアクションが、最も繊細で、最もカッコイイと現在も 国内外で、高く評価されている和製ハードボイルド アクション映画の代表的傑作!!!

日活創立100周年 特別企画「日活映画 100年の青春」と銘うった特集上映 が、9月8日より公開!!
100周年記念事業の一環として、2011年10月に開催されたニューヨーク映画祭での「ベルベットの銃弾と鋼のキス−日活100周年を祝して」と題された日活回顧特集上映を皮切りに、現在、日活を代表する作品群がフランスのナント三大陸映画祭、パリ、香港と世界を巡回しています。
その世界巡回上映の凱旋帰国特集として創立月の9月に「日活映画 100年の青春」と題した特集上映を行います。28歳の若さで戦病死し、日本を代表する映画監督、黒澤明、小津安二郎が<天才>と認めた山中貞雄監督の『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』や、マキノ正博監督の日本初のミュージカル映画、オペレッタ時代劇として今も評価されつづける『鴛鴦歌合戦』などの戦前の作品にはじまり、裕次郎衝撃のデビュー作『太陽の季節』、日活史上最大のヒット作となる『愛と死をみつめて』、ジョン ウー監督が、リメイクを発表した鈴木清順監督の『野獣の青春』など、戦前戦後〜日活アクション黄金期、日本映画斜陽期、2000年代にいたる現在の作品まで、日本映画の歴史と等しい年月を歩んできた日活の100年をなぞることのできる厳選された全43作品。稀代のスターを生み育てた日本映画黄金期のパワー、エネルギーをスクリーンで体感できる特集上映です。

9月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町他、全国順次ロードショー