映画業界で圧倒的実績を誇る映画学校 ニューシネマワークショップは、2012年4月に15周年を迎えました。
それを記念して、5/13(日)にNCWクリエイティブセミナー「映画監督をめざそう!」を開催いたしました。
どうすれば映画監督になれるか!? 答えはひとつ。才能さえあれば、監督になれるのだ。それを実証したのが、今や20人近くに及ぶNCW出身の映画監督たち。その中でもトップを走る2人のOB、深川栄洋監督と森義隆監督。奇しくも2012年5月、『宇宙兄弟』『ガール』という超話題作2本が東宝系全国公開という、まさに日本映画界のメインストリームを走る2人を迎え、「映画監督になるには!」をたっぷり語って頂きました。

NCWに入校したきっかけについて、深川監督は「最初は脚本を書いていたんですが、自分で映画を作ってみたくなり、NCWの“トータルプロデュース”という言葉に惹かれて、学んでみたいと思った」と語り、もともとは俳優をしていた森監督は「最初は演劇で俳優をやっていました。自分で演劇の脚本、演出、主演をやっていた中で映画にも興味がわいてきて、映画の演出について学ぼうとNCWに入りました。」と当時を振り返った。

NCW在学中に制作した、深川監督の「ジャイアントナキムシ」(PFFアワード2000入選)、森監督の「畳の桃源郷」(第4回水戸短編映画祭審査員奨励賞受賞)のダイジェスト映像が流され、森監督は「この作品を撮った際、役者の資質をどれだけ役に引っ張ってこられるか?を常に考えていた。現場で起こる“生モノを大事にしたい”という考えは今につながっている」と語り、深川監督も「役者をどう動かすか?を常に意識していましたね。」と、演出について学ぶことが多かった様子。

20代で長編劇場用映画デビュー、30代前半でメジャー配給映画を監督したお二人。

NCW卒業後、実家の稼業を継ぎながらも、自分で制作費を集めるなどプロデューサー的な動きをしながら監督として映画制作にチャレンジし続けてきた深川監督は、5月26日より公開となる映画『ガール』の撮影について、日本版『SEX AND THE CITY』を作りたいと聞き、男の自分には向いていない作品ではないかと一度オファーを断った」ことを告白。しかし、プロデューサーから「そう思っているのは君だけ」と言われた言葉に納得し、監督する決意ができたと言う。主人公4人の衣装を選ぶ作業のために女性誌を熟読したり、女子会に参加したなどの監督裏話を披露。『ガール』撮影中にはストレスで肺気腫になりながらも現場に出て最後まで監督をやり遂げた苦労を語った。

一方で、NCW卒業後はテレビ番組制作会社に入りドキュメンタリーを制作してきた森監督は、NCW時代の映画に主演した友人との再会をきっかけに、2007年『ひゃくはち』の撮影をスタート。この作品が『宇宙兄弟』の原作者や編集者の目に留まり、「森監督だったら『宇宙兄弟』を撮ってもらいたい」と言われたとか。そして他にも約7本の依頼が舞い込んだという。現在大ヒット上映中の『宇宙兄弟』については、小栗旬演じるムッタの面接シーンで異例の40分の長回しを2回実施し、実際の企業面接のように質問を投げ続け、アドリブの撮影をした裏話を披露。NCW時代から現場での“生モノ”を大事にしてきた森監督ならではの演出に、小栗旬も撮影終了後には「楽しかった、監督のやりたいことが分かった」と納得した様子だったという。

監督お二人の今後の活動について尋ねられると、森監督「まだ詳細は発表できませんが、次回作の制作がほぼ決定しています。これまではマイルドな描写で間口の広い作品を作ってきたので、次は自分の照れをとっぱらって(登場人物の)人格を、より深いところまで掘り下げられるような作品を目指したい」と語り、深川監督は「男性が観に行ける女性映画として制作した『ガール』は新しい軸の作品になると思う。今後は少し充電期間に入りますが、5年計画くらいでまた新たなチャレンジをしていくつもり。」と、それぞれの心境を語った。

今後、深川監督、森監督がどのような作品を生み出していくのか?これからの日本映画界を背負って立つ二人から、ますます目が離せない。