本作は、『狂い咲きサンダーロード』や『逆噴射家族』などジャンルを超越した世界観で、世界中で熱狂的な支持を受ける石井聰亙改め、石井岳龍監督、10年ぶりの最新作です。
主演に第68回ベネチア国際映画祭で最優秀新人賞を受賞した主演・染谷将太(『ヒミズ』主演)を迎え、小説家としても芥川賞候補作を持つ新鋭劇作家・前田司郎氏の同名戯曲を完全映画化。
怪しい都市伝説が囁かれる大学を舞台に次々と謎の最期を迎える18人の人間たち。
くだらない日常がある日突然断ち切られ、理由なき【死】が世界を覆うとき、私たちは何を思うのか。
【生】と地続きの【死】を、軽妙な会話と斬新な映像で描く、石井岳龍監督最新作です。

この度本作の公開を記念して、石井岳龍監督、そして舞台版と映画版の両方に出演する師岡広明さんを迎え、特別試写会の後にティーチインを行ないました。
制作から宣伝期間、そして来月2/18の公開に向けて、監督から「今度はお客さんと共に闘って行きたい」という熱いメッセージに会場内に詰めかけた熱いファンとの間に強い絆が生まれたティーチインとなりました。

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月日 1/26(木)
会場 アキバシアター(秋葉原)
出演 石井岳龍(監督)、師岡広明(俳優/「カツオ」役)
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(師岡)前田司郎さんの戯曲を映画化しようと思われたのですか。最初に台本を頂いた時に、厚さにびっくりしました。染谷君もビックリしていましたね。

(監督)まず原作を読んで圧倒され、テーマの深さに感動しました。現代的な大学生の一見くだらない会話の進行が、面白い世界を作り出していると思いました。テーマは自分のやりたい物に近いけれど、全然違う表現方法に創作意欲に火をつけられました。振り返ってみると私自身が好きな映画にも会話劇が多かったです。ただ今回の作品はそれらとも違っていて、独自の撮り方をしなければならなかったんです。普通だと3時間くらい必要な脚本だったので関係者は不安がっていましたが、自分の中では会話のスピードが見えていたので問題ありませんでした。全く新しい領域にチャレンジができました。

(師岡さん)監督がブログで「真理はシンプルだ」と書かれていたのですが、(原作・脚本の)前田司郎さんの中に含まれているものと一緒だと思いました。会話の文章だけだと男女の差がなくなり、ある意味色がなくなるということなのですが、逆に俳優の個性が浮かび上がります。前田さん特有の戯曲と監督の哲学がミックスされて素晴らしいハーモニーを奏でていると思います。

(監督)諸岡さんは、演劇と映画という、両方の『生きてるものはいないのか』に出演していますが、何か表現など顕著に感じたことはありますか?

(師岡)演じる側からしたら、前田さんと石井監督の意図は一致していたので演じやすかったです。あえて違いを挙げるとすれば、舞台では死んだふりをしているだけであって本当は生きているから、死んでいるはずなのに息をしていたり、他の役者の演技に思わず笑ってしまったりと、死ぬふりをしている姿がお客さんに笑いを生み出します。映画では一度死んでしまうとそのとおりになる。笑いがそぎ落とされたことで、本当に伝えたいことが、シンプルに伝えられるものになっていると思いました。

ーー登場人物が18人と多いのですが、誰が主人公だと思って見たらいいですか?
(石井監督)登場人物全員が主人公です。これは元々の戯曲の時から思っていましたが、おもしろい仕掛けですよね。ただ染谷君に演じてもらった喫茶店員というのは、お客さん目線に近いから、自分の立場でもありお客さんの立場でもある人物にしたいと思って撮っていました。この作品はある意味、鏡みたいな映画だと思っていて、18人が死ぬ直前に生きるその姿が乱反射するように存在しているので、自分がどの視点で、何をみるかによって違うと思います。だからこの映画から何を観たのかを聞くのが楽しいです。主人公はあなた自身です、ということですね。

ーー冒頭からの音楽が印象的でした。音楽で意識したことはありますか?
(石井監督)撮影中は美空ひばりの『慕情』を聞いていました。撮影中の心のテーマソングですね。撮影が終わってから、田渕ひさ子さんの攻撃的じゃない透明感のある激しさに惹かれて、音楽への参加をお願いして快諾していただきました。録音は編集がし終わった段階でスタジオで映画を流しながら演出していきました。

ーー最後にひとこと。
(石井監督)今回は若い俳優たとが私の意図に賛同してくれて、厳しい条件にもかかわらず一緒に作り上げてくれました。今度は、お客さん皆さんと盛り上げて共闘していきたいと切に願っています。応援のほどよろしくお願いします。今日はありがとうございました。