『ハロウィン』(’79)、『遊星からの物体X』(’82)でホラー、SFの金字塔を打ちたてた鬼才ジョン・カーペンター監督10年ぶりの最新作『ザ・ウォード/監禁病棟』が9月17日より銀座シネパトス他全国順次公開致します。この度、公開を記念致しましてジョン・カーペンター監督の特集上映「ザ・ウォード/監禁オールナイト」をいました。シネパトスも10年ぶり、しかもパトスへの両入口シャッターを完全閉鎖の監禁オールナイト。(非常時以外は原則外出不可)この歴史的イベントに先日ロカルノ国際映画祭において『東京公園』で金豹賞審査員特別賞を受賞した青山真治監督、多くの監督に愛される邦画界の超名バイプレイヤーであり、ジョン・カーペンターを愛して止まない山本浩司氏(『マイ・バック・ページ』『リンダリンダリンダ』など多数出演)、日本で唯一のジョン・カーペンター研究家である鷲巣義明氏をお招きして『ザ・ウォード/監禁病棟』、ジョン・カーペンター監督について白熱のトークショーを行いました。トークショー中このイベント用にカーペンター監督が自ら編集したサプライズメッセージ映像も上映され、異様な熱気に包まれたイベントとなりました。

【日時】9月9日(金) 22:50〜23:20
【場所】銀座シネパトス2(中央区銀座4-8-7 先 三原橋地下街)
【登壇者】青山真治監督(47)、山本浩司(37)(俳優・監督)、鷲巣義明(49)(映画文筆家、ジョン・カーペンター研究家)

【登壇者コメント】
MC:『ザ・ウォード/監禁病棟』の感想、カーペンター映画についていかがですか?
青山:この劇場は暑いですね。『ザ・ウォード』はこのぬるーい暑さ、でもそれを嫌ということではなく、いとおしく感じるようなアナログさがただよう作品だと思います。
鷲巣:カーペンターは映画を撮るとき、精巧にシネスコの画角を考えていると思います。それくらい画が計算された映画です。シンプルな演出と映像美しさが素晴らしいですね。
山本:実は鷲巣さんの評論を読んでオチがわかってしまいました。でも、カーペンターの映画はストーリーで魅せるというよりも映像で魅せる監督ですよね。
青山:そうですね、オチを知っていても知らなくても関係ないですね。何回観てもこみ上げて来るものがある、それがカーペンターの映画です。

青山:カーペンターは映画を撮るにつれて成長していると思います。10年のブランクはあるけど、また新たな成長を見せてくれている。
鷲巣:カーペンターの映画は良い意味でいつも同じだと思います。
青山:そういえば『光る眼』にはカーペンターが出演してるの知ってる?
山本:え、知らなかったです!
鷲巣:彼はよく出演して自分の名前を遊びで変えてクレジットすることがあるんだよ。
山本:それは知ってます!噂で聞いたんですけどカーペンターって名前を変えてポルノを撮ったっていうの、本当ですか?
鷲巣:それは撮ってません!

ジョン・カーペンターコメント映像:(日本語で)ニホンノミナサン、コンニチハ。シネパトスヘヨウコソ。(英語で)今夜はご来場ありがとうございます。日本は美しい国です。なんといってもゴジラ、ラドン、キングギドラ、そしてAKB48が生まれた国です。皆さんの友情と応援に感謝しています。それでは私の作品を楽しんで下さい。また近いうちにお目にかかりましょう。

(コメントを受けて)
青山:感無量。なんて良い人なんだ。カット割のスピード感も良い。編集もご自分でしたのでしょう。素晴らしいですね。カーペンターが撮るAKB48のPV、素晴らしいものができるでしょう。
山本:良い人過ぎますね!ホラー、SFだけではなく、カーペンターってコメディセンスもありますよね。
鷲巣:インタビューで伺ったのですが息子さんの影響のようです。息子さん、日本に住んでらしたのですが今年帰国されて日本のカルチャーとしてカーペンター監督に渡したのがAKB48のCDとのことです。

青山:カーペンターの今の映像も観られて今日は本当に癒されました。良い夜です。最後までお楽しみ下さい。

トークショーの後青山監督、山本浩司さんはシネパトスの閉まりきったシャッターに「監禁完了」の文字を貼って「ザ・ウォード/監禁オールナイト」の幕がきって落とされた。