6月25日(土)より『デンデラ』(東映配給)が全国公開となる運びとなりました。本作は姥捨山に捨てられた50人の老女たちが、懸命に生きる姿を描いた衝撃作。浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子、草笛光子という日本映画界を代表する豪華女優陣が生きるか死ぬかの瀬戸際で驚異的な生命力を発揮する老女たちを演じ、冬の寒さ厳しい山形庄内で、熱い女優魂を迸らせています。

本日6月6日(月)、丸の内TOEI②にて行われた完成披露試写会にて、浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子、天願大介監督が登壇し、マイナス11度にもなる極寒の撮影現場を再現すべく、会場に雪を降らし、白銀の世界へ誘いました。また、劇中に登場した体長2mのクマも登場し、キャストに襲いかかり、場を賑わせました。挨拶中では、過酷だった撮影秘話や映画のテーマである「生き抜く」という話題で、それぞれの想いをお伝えしました。

6月6日(月) 12:50〜13:20
登壇者:浅丘ルリ子(70)、倍賞美津子(64)、山本陽子(67)、天願大介監督
場所:丸の内TOEI② (中央区銀座3-2-17)

【登壇者コメント】
浅丘「長い準備期間と45日間の撮影で、大変ではありましたが、地元の方、スタッフの方等、沢山の皆様から温かい気持ちを頂き、あまり寒さは感じませんでした。クランクインの1月10日はマイナス11度でした。本当に寒いというより痛かったです。
こういう素晴らしい自然の中で、大変素敵な100人近いスタッフの皆さんと役者は50人の女ばかりという撮影に参加できたことは、私にとってとても幸せなことでした。『あぁ、この作品に参加してよかった』と、今しみじみ思っております。」

山本「私は、完成披露試写会という場でご挨拶させて頂いたのは、今日が初めてでございます。50人という女性達の中でどのように自分の立場をいかしたら良いのか、久しぶりの映画なのでとまどいもありました。でも先輩の浅丘さんと色々お話ができて、気持ちがリラックスして撮影にのぞめました。スタッフの方々のエネルギーにもまた感動をもらいました。」

監督「豪雪の中の撮影も初めてのことですし、出演者のほとんどが女性であり、しかも自分よりも年上だったので、どうなるのかと思っていました。しかし、このロケーションでこの俳優達で撮って本当に良かったなと、終わってからつくづく思いました。
ロケ地である山形県・庄内は、今年は48年ぶりの大雪で、地元の方には『そんな時期に撮影するなんておかしい。帰れ!』と言われました。しかし帰らないでここで撮影をして良かったと思いました。地元の方を含め、多くの人の協力を得て、力強い作品になったと思います。」

★舞台挨拶欠席のキャスト、草笛光子からのお手紙
この映画は、今年の1月・2月の豪雪の中、スタッフとキャストあわせて150人ほどの撮影隊が一丸となって挑んだ作品です。今になってみますと、遠い夢を見ていたような体験でした。50名ほどの日本の女優の底力を御覧ください。沢山の方々に観て頂きたいと思っています。

★寒さをどうやってしのいで、演技に入っていきましたか
浅丘「寒いと感じる間もなくスタッフに温めてもらいました。『カット!』という声がかかると、すぐに5,6名の方々が私の周りに集まり、温めてくれました。撮影中ずっと、毎回本当に体も心も温めてもらいました。
倍賞「寒いという感じがしませんでした。みなさんのホカロンの貼り方がすごかったですよ。最高が草笛さんで、20枚くらいを使用していました。(笑)」
浅丘「ちなみにすべて合わせて25,000個のカイロを使いました。」
山本「私は寒さに強いので、カイロをあまり使用せず、5,6枚貼る程度でした。わりと寒さには耐えられました。浅丘さんがおっしゃったようにスタッフの方々があたためてくれましたし。確かに寒いと言われれば寒いのですが、さほど寒くて何も出来ないということはなかったですね。」

★撮影現場で皆さんに気を使いながらカメラを回すということは大変だったのではないでしょうか?
監督「女の人はすごいと思いましたね。僕は寒かったです。(笑)」
浅丘「監督はほとんど立ちっぱなしだったので、お疲れになったと思います。」

★アクションシーンを体験してどうでしたか?怪我はしませんでしたか?
浅丘「自分でやりますといって自分でやりました。劇中ポーンと飛ぶところがあり、そこは首の骨を折る危険もあったので、周りからも止められたのでそこはやめました。
足を痛めて、膝に水が溜まってしまいました。20人の男性スタッフの方に毎回おぶさっていただき、山に登って行きました。それもとても温かかったです。」
山本「アクションシーンはそんなにないですね。ただ雪の上をすごい勢いで転げたり走ったりするのですが、浅丘さんは軽いので新雪の中をすんなりと行ってしまうんですね。ところが私は一歩ふむときにドスッと入ってしまうので、それを距離感をおいてはいけないので、ある程度距離を保たないとカメラに入らなくなってしまうのでそこは大変でした。
ルリ子さんは少女が走っているようでした。私は転んでしまったりと大変だったのですが…。」

★実際に演じてみて、どのように感じられましたか?
浅丘「昔の70歳は畑仕事などいろいろなことをして年を重ねて、よれよれに近く、それで捨てられてしまう。
今の70歳と比べて全く違うけれども、私は今の私で演じさせていただきました。まっすぐに立ち、元気いっぱいに演じました。
70歳というとまだ新参者です。顔だけ汚して撮影しました。本当に皆さん、元気でパワーがあって。誰かが病気になると思いましたが、誰も風邪をひきませんでした。」
倍賞「すごく雪がきれいで、そういう時間が過ごせたということが私は嬉しかったです。しばらくぶりにプロフェッショナルな女優さんがたくさんいて、とても嬉しかったです。」
山本「撮影は過酷でしたが、幻想的な風景のなかで、みんなで撮影とは関係ない話をしていたところから、エネルギーをいただけました。浅丘さんが現場を楽しませてくれたので、過酷というよりも束の間の喜びがありました。見られない世界を見られて大満足です。」

★撮り終えてみて、どんな思いがこみあげていますか?
監督「(父親である今村昌平監督が撮影した)楢山節考の続編というわけではないですし、どちらかというと表と裏のような話しですね。楢山節考は捨てられるまでを描いた作品で、こちらは捨てられたあとの話です。どちらも一種の寓話ですが、あまり楢山を意識せずに撮りました。
捨てられて雪の中で置いて行かれたあと、どうやって生き残り、どう感じて、何故それでも生き続けようと思うのか、そういったところを皆さんと一緒に模索していた感じですね。
大雪の中をすごい女優さんたちがすごい格好をして、客観的に見て、立っているだけで何か面白そうだなという気がしていました。だから途中からは楢山のことは考えずにわりと自由にやらせてもらいました。」