渋谷アップリンクにて始まった『リアル!未公開映画祭』、クリスマスの12/25『ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜』のトークショーが開催された。
コラムニストの辛酸なめ子さんが宗教に関する疑問を宗教学者の島田裕巳さんに投げかけ、2人の絶妙なトークに会場は笑いが絶えなかった。

中学、高校とプロテスタント系の学校に通った辛酸さんは映画の中のようなトランス状態に陥ったことはないが、自分の善行を話す会の中で涙を流し悩みを話す学生を見たことはあると話した。
「キリスト教でいいなと思うところは?」と島田さんに聞かれ、「罪を犯しても許されるところ」と答え、学校内で盗みなどがあっても、聖書によると神様は許してくれるので、うやむやになったりしたとの話に会場は笑いの渦に。

アメリカの東海岸と西海岸の都市部は日本人と同じような無宗教の人が多く、貧困層が多い中部や西部は福音派の勢力が強いという。メガチャーチやテレビ協会が台頭し、テレビでも多くの宗教番組が放送され献金を募っている。映画にもでてくるクリスチャンロックについては、アメリカは伝統がなく新しい文化を積極的に取り入れながら、聖書に忠実であれという教えを伝えていると話した。

「島田先生が注目する刺激的な宗教は?」と辛酸さんに聞かれ、最近は刺激的な宗教は少なくなっている。法的にも規制が厳しくなっており、経済的に伸びているときにしか新宗教は伸びず、デフレ時代には宗教もデフレ化すると語り、パワースポット、神社ブームもその流れからではないかと話した。
「新興宗教のサイトで、教祖がヒーリングや占いに手をだしているのを見ると邪教じゃないかと疑う」と辛酸さんが話すと、島田さんは「その感覚はミッションスクールに行っていたからですね。普通の日本人は邪教など言わない。キリスト教が正しい宗教であると6年間教育され、洗脳された結果ですね。」と応えた。
最後に「宗教をひらく予定は?」と聞かれた辛酸さんは「税金対策と信者がいると老後も寂しくないからいいなと思う」と締めくくった。

【作品情報】
『ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜』
監督:ハイディ・ユーイング、レイチェル・グラディ
製作スタッフ:ナンシー・ダダック、モーリー・トンプソン
(2006年 / アメリカ / 87分)
キリスト教福音宣教会のフィッシャー女史が主催する、子供のサマーキャンプを追う。全米・全世界の福音宣教会信者の家庭から子供たちが参加するキャンプでは、子供たちに原罪を懺悔させ、中絶反対を解き、キリスト教を推進するブッシュを奉っていた。