東京国際映画祭:コンペティション 「激情」記者会見
肉体労働者と住み込みのメイドの関係は、男の起こした事件で終わったかに見えた。しかし、男は女の側にいることを決意する。想像を超えた方法で…。卓越した映画技法と役者の渾身の演技が光る激情的ラブストーリー。
監督とスタッフをお迎えして、ムービーカフェにて記者会見が行われました。
質問: 今回は小説が原作ですが、映画は原作通りですか?
セバスチャン・コルデロ監督: 映画の主な要素は原作の本質的なものと限りなく近いです。しかし、原作から2点ほど変えている箇所があります。ひとつは主人公のホセ・マリアが隠れている期間が違うことです。あと、最大の変更は舞台をアルゼンチンからスペインに住むラテンアメリカ系の移民したことです。
質問: 主人公役のグスタボ・サンチェスが突然痩せて出てきますが、どれくらいの期間で何キロくらいやせたのですか?
セバスチャン・コルデロ監督: 実は時間をさかのぼって撮影をしました。撮影開始前の4ヶ月間でダイエットをしてもらい、撮影中に少しずつ元の体重に戻しました。俳優は役によって様々な役作りをしますがグスタボは非常に真面目な俳優で彼自身のつらい実体験を思い出しながら演じたそうです。電話で話す時間が長く、孤独になっていく役を演じていますから外見的にもそれを表現していく必要を感じ、1日に2時間くらいの睡眠を続けて表情にギスギスした感じや虚ろな目つきを作っていました
質問: 主人公のホセ・マリア以外にも家が主役だと感じますが、この家はセットですか?
セバスチャン・コルデロ監督: セットではなく、実際の家を使いました。原作を読んだ時点で絶対本物の家を使おうと思いました。なぜならホセ・マリアがロサに電話をかけるとき、ロサが電話を取るまでに家の中をカメラがずっとお互いの電話を追っていくシーンがあります。このようなシーンをセットで表現するのは難しいと思い、一軒家にこだわりました。幸い良い家が見つかりました。あと、カメラが映し出す奥のほうの廊下や小部屋を見ているだけで、そこにいる人の住み方や生き方を垣間見ることができます。このようは家で撮影が出来たということはストーリー的にプラスだったと思います。
質問: 監督はエクアドル出身ですが、この映画はエクアドルから資本金がでていますか?
セバスチャン・コルデロ監督: 今回の映画はエクアドルの政府から助成金は出ていません。エクアドルの映画業界はとても小さいですが、数年前から政府から助成金が出るようになりました。しかしまだ大きく発展してはいません。この映画にエクアドルの政府が資金提供をするのであれば、20%を負担しなくてはならないのです。
質問: 映画作りの拠点はどこですか?
セバスチャン・コルデロ監督: 私は首都のキト出身で現在もキトに住んでいますが、映画を作るにあたって必要な場所に移動します。子供が二人いるので、出来る限り一緒に過ごす時間を作るようにしています。
質問: 映画の公開予定はいつですか?
セバスチャン・コルデロ監督: 来年の1月から4月の間にコロンビア、メキシコ、エクアドルで公開される予定です。スペインでの公開は来年の後半です。
* 『激情』は10月22日(木)19:25〜 TOHOシネマズ六本木ヒルズ Screen 6 にてQ&Aが行われます。