「食べるということこそ、生きること」。 『食』への関心と共感は、世界共通!

現在開催中の第33回モントリオール世界映画祭<ドキュメンタリー・オブ・ザ・ワールド部門>に出品中の浅野忠信、UAらが出演する映画『eatrip (イートリップ)』が現地で上映され、大絶賛を受けました!

8月29日会場のカルチェ・ラタンには、土曜日の朝、しかも雨という悪条件のなか入場前から長蛇の列が出来、
監督の野村友里自らが食材をコーディネートした色鮮やかなポスター・デザインの素晴らしさに感嘆の声があがった。満席の観客を前に野村友里監督が「本業は料理ですが、モントリオールは食がとてもおいしい街と聞いています。このドキュメンタリーは、日本で撮影しましたが、きっとみなさんの周りにいる方たちに置き換えてみることができると思います。私がなにかを伝えたいということよりも、一緒になにかを感じてもらえれば嬉しいです」と挨拶。上映中は、ひとりの退場者も出ず、観客はスクリーンに釘付けとなり、息をひそめて一生懸命字幕を読んでいた。浅野忠信、UA、内田也哉子らをはじめ、バレエダンサー、ミュージシャン、イラストレーター、自給自足をめざす主婦などなど年齢も職業も様々な人々に食についての問いを投げかける本作で、特に鰹節問屋のおばあちゃんの鰹節をおしゃぶり代りにする話や、池上本門寺のご住職の親しみやすく説得力のあるお話には、関心が集まっていた。本作に出てくるお茶室でのやりとりや、ご住職のお話など、海外からみれば形式や格式を重んじる日本の独自文化が、実は生活に根ざしたものであることに、フランスの食文化の強い影響を受けているモントリオールの観客も新鮮さを感じ、大きな感酩を受けている様子だった。上映後には、監督に駆け寄り「ありがとう!」と伝える人がたくさんいて、“食”というこの映画のテーマが、万国共通の気持ちや言葉となって多くの方々に伝わったことが証明された。 日本では、食糧問題など食についてのタブーが描かれるドキュメンタリー映画の公開が多い中、食を通じてシンプルに生きることの素晴らしさを伝える本作が、多くの人々の心に届き、監督とのQ&Aの慣例がないモントリオールでQ&Aが2回の上映でともに行われたことも異例のことである。

<野村友里監督の上映後のコメント>
「料理や音楽って、手を伸ばしたときに、さっとその手をつないでくれるような、身近な存在なんだという共通感覚を、海外の人と持てたのが嬉しかった。個人主義と言われている外国人でも、I think…ではなくて、We think….といった感覚を共有できたのが、一番の収穫です。人に対しての希望が持てました」

〝人″ と〝食″がつながる美しい瞬間の記録 『eatrip (イートリップ)』
フードクリエイティブ・チーム「eatrip」を主宰し、テレビ、ラジオ、雑誌などで幅広く活躍するフードディレクター野村友里が初めて監督した本作は、食のプロである異業種監督と、映画制作のプロ集団・青山組常連スタッフたちとのコラボレーションにより全編フィルム撮影を敢行しました。誰もが共有できる“食べる“ということを通して、複雑な時代をシンプルに生きる人達と出会い、生きるということを知るための旅で年齢や職業、環境を問わず、毎日を生き生きと生きる人々の“食“との向き合い方についてのインタビューを通して、過去と未来をつないでいる今の時代性や日々の生活を描き、 “人“と“食“とがつながるはかなくも尊い瞬間を見つめています。