ここ数年、派手なハリウッド大作が映画祭の目玉であったが、世界的経済危機の真っ最中にある今年はいささかトーク・ダウン。メジャースタジオのイベントも激減したが、唯一、気を吐いたのが文豪チャールズ・ディケンズの古典的名作を映画化した『Disney’s クリスマス・キャロル』のプロモーションだった。何とクロワゼット通りに面する豪華ホテル、カールトンの正面が一面の雪景色に変えられ、監督のロバート・ゼメキス、主演のジム・キャリーらがクラシックな馬車で登場! 沿道を埋めた大勢のファンの歓声を浴びていた。

◆イベントに続いて行われたのは、映像マジック・ファンタジーの3Dフッテージ上映と記者会見

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』で知られるハリウッドのヒットメーカー、ロバート・ゼメキス監督最新作『Disney’s クリスマス・キャロル』(11月公開予定)の原作は、1843年に出版され、今なお世界中で愛され続けている”世界で最も有名な”クリスマス・ストーリー。ロンドンに暮らす守銭奴のスクルージが、クリスマスの不可思議な体験を経て、これまでの人生を見つめ直し、人にとって本当の幸福とは何かを悟る物語で、今回の映画化にあたり、俳優の実際の演技をデジタル的にとりこむ<パフォーマンス・キャプチャー>の技術を駆使し、実写でもアニメーションでもない、全く新しい映像世界を構築。主演は『トゥルーマン・ショー』『マン・オン・ザ・ムーン』で2年連続ゴールデン・グローブ主演男優賞に輝いたジム・キャリー。本作では彼の驚異的な表現能力が<パフォーマンス・キャプチャー>によって増幅され、主役のスクルージをはじめ7役ものキャラクターを演じきっている。
 降雪イベントに続き、カールトンホテルではロバート・ゼメキス監督自身が解説する3Dフッテージが独占初公開上映され、世界中から集まったプレス向けの記者会見が行われた。登壇者は監督、ジム・キャリー、フレッド役を演じた英国俳優のコリン・ファース、プロデューサーのスティーヴ・スキーターとジャック・ラプキーの5名。また、出席したジャーナリストに昼食が振る舞われたジャンケット会場には19世紀当時の衣装をまとった人々が行き交って映画をアピール。お土産としてディケンズの「クリスマス・キャロル」他を収めた英語版ペーパーバック本が配られた(嬉!)。

◆19日(火)にはジム・キャリーの主演作『アイ・ラブ・ユー フィリップ・モリス』が監督週間で上映!

 ジム・キャリーとユアン・マクレガーがゲイのカップル役で共演、サンダンス映画祭で大きな話題を集めた『アイ・ラブ・ユー フィリップ・モリス』(2010年公開予定)が19日、監督週間で上映された。この作品は実話を基にして描いたコメディで、『バッドサンタ』の脚本を手掛けた2人組、グレン・フィカーラ&ジョン・レクアの監督デビュー作だ。
 夜の正式上映時にゲストが舞台挨拶するのは通例だが、昼の上映回にゲストが登壇するのは珍しい。しかし『アイ・ラブ・ユー フィリップ・モリス』のマチネの上映時には、ジム・キャリーが監督2人を伴って登場。新人監督の映画に出演するのは冒険だったが、滅多に出会うことのない優れた脚本に惚れ込んで出演したと語り、会場の観客を多いに湧かせていた。
(記事構成:Y. KIKKA)