西田敏行さんが安土城築城に精魂込めた宮大工を演じた映画「火天の城」完成披露会見が行われた。
原作は直木賞作家、山本兼一の傑作歴史小説で「山まるごと一つ城にする!」という信長より厳命された前代未聞、空前絶後のプロジェクトに挑んだ男たちのドラマ、その中で交わされる信頼関係を描く。
これが時代劇初作品になるという田中光敏監督は、この作品で冒険できたことについて記者から聞かれると「一番冒険したのは役者の配置位置ですね。例えば、人物をわざとフラットな位置に置くと、その場の関係はどうなるか、など話し合いました。実際に我々はこの安土城建築の場面を見ていないわけだから、だからこそイメージを壊して人物の感情をもっと前に出すにはどうしたらいいかについて考えました。」と語った。主人公、岡部又右衛門を演じた西田敏行さんはこの作品の見どころについて聞かれると「何でもすぐにできてしまう現代と違って全てが人間の手によって作られていた時代に「一つの山を城にする」というプロジェクトの責任を担った宮大工の力というものを感じてほしい。」と語り、織田信長役を演じた椎名桔平さんは「いつも破壊と死という世界がつきまとっていた時代、しかも信長の命令を断ったら死という状況の中で、人間がお互いを信じあって誰一人欠けることなく一丸となって一つのものを作り上げていく姿というのを見てほしい。」と語った。また、岡部又右衛門の妻である田鶴を演じた大竹しのぶさんは「便利すぎる現代では余計なものなど何もないけれど、この時代ではその余計なものが大切で、例えば刃物の研ぎ方一つにしても大切なものがある、それを感じてもらえたらいい」と語った。撮影中のエピソードについて、今回時代劇初出演という岡部又右衛門の娘、凛を演じる福田沙紀さんは「私は西田さんを娘という視点から見たのですが、みんなが父を筆頭について行くという姿勢は、撮影中も同じで、みんな西田さんについていって良い作品を作ろうと頑張りました。」と語った。また会見終盤には本作品主題歌を歌う中孝介さんがテーマ曲「空が空」を歌い、フィナーレを飾った。
田中監督が描いた安土城の建築現場はどのようなものなのか、その世界で活躍する岡部又右衛門とその男たちの奮闘、そしてそれを支える家族たちは?初秋「火天の城」から目が離せない!!

(Report:樋口綾)