短編コンペティション部門4『ミリモ・センチモ』『金魚』の2本が上映され、各作品の監督や出演者が登壇した。

『ミリモ・センチモ』は離婚して別れて暮らす父と息子の心の交流をマラソン計測を通して温かく描いた作品。
耳井啓明監督、 出演のかねちくけんじさん、安達勇人さん、福田英史さんが登壇し観客からの質問に答えた。

マラソン計測を映画の題材にした理由を耳井監督は「高校生の時実際に2日間マラソン計測に参加した体験から、いつかこの体験を題材に映画を撮りたいと考えていました。」と語った。また作品を制作する上で心がけている事は?という質問に対して「脚本を制作する時から、大勢の方に理解して頂けるような作品に仕上がるように心がけています。」と述べた。

本作の中で、印象深い父親役を演じたかねちくさんは演じる側からの映画制作に対して気をつけている事として「撮影前は映画に関連した資料や本を読み役作りに臨みますが、撮影が始まると全てを捨て、後は監督に演出して貰うようにしています。」と自己流の役作りを語った。

昨年の夏香川県にて10日間合宿して撮影された本作、撮影中は香川名物のうどんを堪能したりと満喫していた様子。登壇した監督や役者からは合宿を通して生まれた一体感が窺がえた。

『金魚』は少女と少年の、ひと夏のせつない思い出を、モノクロームとカラーの移り変わりで描いた作品。
岡田茂監督が登壇し観客からの質問に答えた。

撮影で苦労した事として岡田監督は「撮影仲間のスケジュール上、3日間で撮影し終えなければならず、撮影はばたばたと大変でしたが、柔軟に対応しました。お祭りのシーンで雨が降っていたのはたまたまで、当初は花火が小さく上がりラストへという流れを想定していましたが、当日は雨だったので急遽変更しました。結果的には少女の心情と上手くマッチし効果的な印象を与えてくれたので良かったです。」と述べた。

また本作の演出としてモノクロ映像とカラーを意図的に変えた理由を「”予感”をキーワードに制作しようと決めたときに、少女の心情の移り変わりをステレオタイプですがモノクローム映像とカラー映像の使い分けで表現しようと決めました。」と述べた。

(Report:大野恵理)