物語の舞台は、いくつかの大戦を経てつかの間の平和を手に入れた、今とよく似た時代。かりそめの平和を実感するために、人々は「ショーとしての戦争」を求め、大人にならない子供たち≪キルドレ≫たちが戦闘機のパイロットとして戦う。彼らは空で死なない限り、永遠に生き続ける運命を背負っていた──。

押井守最新作!! この夏話題の『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の8月2日(土)公開に先駆け、7月3日(木)に東京国際フォーラム・ホールAにてジャパンプレミアが開催された。
5000人の観客が監督とキャストの登場を待ちわびる中、突然の空襲警報にどよめきが。しかし、スモークの中から突如として散香(本作に登場する戦闘機の1/2サイズ)が押井守監督と共に姿をあらわせると観客たちも大興奮、大きな拍手で迎え入れた。続いて、空をイメージさせたブルーカーペットの上を歩いてキャストたちも登壇。

監督は「(この演出)めちゃくちゃ恥ずかしかった……」とうつむくと、会場からは大きな笑い声がこだまし、主人公の声を担当した菊地凛子も「大きいなぁーここ。こんなに多くの人が集まってくれて感謝しています」と会場を見渡した。そして押井守と仕事をした感想を「ずっと押井監督と一緒に仕事がしたかったので、最初にスタジオ入りしたときはとても緊張してしまって、何度もテイクを重ねてしまいました。だから無事に完成してうれしく思います」と笑顔で語った。

加瀬も「すごくすてきな映画が完成しました」と自信を持って答え、散香をまじまじと見てから「今日のこと何も聞いていなかったので、こんな豪華なことになっているなんて思わなかった」と驚きの表情を浮かべた。そんな加瀬は、役にいい意味で執着することで有名だが、それは本作でも変わらなかったようだ。
「予定では7時間のアフレコだったんですが、大幅にオーバーしてしまい連続17時間アフレコをさせていただきました。なかなか監督の言うとおりにできなくて、夜中まで時間をとっていただいたんです。でも楽しいスタッフに支えられ、本当に参加できてよかったと心から思える作品に出会えたと思っています」。
監督も「彼はひたすらまじめな男。とにかく粘る。僕も初めてスタジオの仮眠室で寝ました」と脱帽した様子だ。

これまで俳優に声の出演を依頼することはあまりなかった監督だが、他のキャストに関しても「菊地さんにはクールで謎の多い<草薙水素>を演じていただきました。菊地さん自身が持つ不安定さや時おり見せる幼さを役に反映させていただければと思いました。谷原章介さんは、もう言うことなしです! 栗山千明さんは脚本の段階から“この役は彼女にしよう”と決めていたんです。以前からぜひ一度お仕事したいと思っていて、今度は実写でお願いできればと思っています。今回のキャスティングはとても自信を持っていますよ」と大絶賛した。

その後、現在全国ツアーのリハーサル中で舞台には駆けつけることができなかった、主題歌「今夜も星に抱かれて…」を歌う絢香から応援メッセージがスクリーンに映し出された。
<絢香コメント>
「生きていくこと、大人になることとは何だろう……と考えさせられ、深く心に染みました。私の歌うこの歌も、本作と共に皆さんに伝わればと思います」

メッセージを聞き終えた監督は「僕は音楽とかあまり聞かないんですが、(スタッフから)“聞いてくれないか?”と渡されたこの絢香さんの曲を本作の絵と合わせて聴いてみたら、見事にハマっているなと感じたんです。偶然ではあるけれどいい曲に出会えた」と満足げ。
最後に「これはたぶん僕自身の、そしてあなたたちの映画です」とコメントを残し、会場を後にした。

(Report:Naomi Kanno)