始まりは、6年前のコミケ(コミックマーケットの略、同人誌即売会の意)で販売された、作者・竜騎士07/07th ExpansionによるPC用サウンドノベルゲームだった。
名前は「ひぐらしのなく頃に」、当初の販売枚数はわずか50枚数。
しかし、サスペンス、ミステリー、美少女などの要素を含んだ本格的なシナリオで、段々とファンは増えていき、コミック連載、TVアニメ化、DVD、ビジュアルブック、小説、PSP2ソフトにととどまる所を知らない勢いで“ひぐらしブーム”は加速。原作ゲームシリーズの累計販売数は50万本、コミックスは470万部以上という、同人界から飛び出した脅威の怪物サウンドノベルゲームが、いよいよ映画化された。

原作者である竜騎士07は、もともと演劇用に書かれたもので、映画化するという事は原点回帰と言えると語る。物語のモチーフとして考えたのは閉鎖的な寒村、おかしな風習、奇妙な小話といった要素を含んだ『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『八つ墓村』であったという。
メディアミックスの集大成でありがらも、原点回帰という待望の実写化という訳だ。

10日(土)に行われた初日舞台挨拶には、『富江』(99)、『吉兆天女』(07)の及川中監督、原作者の竜騎士07、松山愛里、小野恵令奈(AKB48)、あいか、前田公輝、飛鳥凛。
会場は、立ち見が出るほどの大盛況ぶりで、初々しいキャストたちは思わず緊張して言葉に詰まってしまうという一幕も。
昨夜はお客さんが入らなかったらどうしようという心配で眠れなかったという及川中監督は、初日を迎えた感想に「おはぎを投げつけないで下さい。」と、ファンにはわかるネタで答え、笑いが起こった。
以下、コメント。

・及川中監督:「とても新鮮なキャストの皆さんと、原作を中心に話し合いながら作れたので、とにかく多くの方に見て頂いて感無量です。」

・竜騎士07:「今、キャストの皆さんはこんなに初々しいですが、スクリーンの中で堂々と演じていて、素晴らしい作品に巡り会えて良かったなと思っています。

・松山愛里(竜宮レナ役):「映画初出演で緊張しましたが、二面性がある役で、ガラッ豹変して怖くなるシーンは差をつけるのが難しかったけれど、やってみて気持ちがよかったです。」

・小野恵令奈(北条沙都子役):「ひぐらしファンの皆さんのイメージと違うと思われないように、漫画などを読んだりして勉強しました。自分なりの沙都子ちゃんを演じられたと思います。

・あいか(古手梨花役):「アゴを動かさず、目で表情を作るように監督から言われましたが、何度かうまくいかずNGを出してしまったりしました。今は緊張しすぎてウルウルしています(笑)」

・前田公輝(前原圭一役):「映画初主演なのですが、プレッシャーもあまりなく、監督たちが現場を楽しくしてくれたので、とてものびのびと演技ができました。」

・飛鳥凛(園崎魅音役):「普段の私は、おっとりとマイペースなので、活発な女の子を演じるというのは不安がありましたが、やってみるとハイテンションに明るくできて楽しかったです。」

怪物サウンドノベルゲームがたどり着いた最終形態にして原点、見れば謎解きにハマッてしまうかもしれない。

(池田祐里枝)