“まるで猫の視点で描かれたような”温かなホームドラマ 映画『ねこのひげ』初日舞台挨拶
そこは世田谷区松原の閑静な住宅街。狭い路地があり、短い階段があり、日向ぼっこをしている猫がいる。
この地に住み、互いを愛し合う女38歳と男39歳は、出会った時には、別の相手と結婚していた。
3年前にそれぞれの家族と別れて同棲を始めるも、仕事のこと、相手の別居している妻子のこと——二人の間には様々な悩みがあり、微妙な距離感が生まれていたのだった。
映画『ねこのひげ』は、思い悩む男女と、それを温かく見守る人々や、家族との絆を優しく描いたホームドラマ。
主演女優には、2007年のカンヌ国際映画祭審査員特別大賞受賞作品『殯の森』(川瀬直美監督)と、ロカルノ国際映画祭金豹賞受賞作品『愛の予感』(小林政広監督)で、主演・準主演を演じた渡辺真起子。
主演男優には、本作の製作・脚本も手がけた大城英司。その二人を見守る人々に、蛍雪次朗、藤田朋子、中原丈雄、根岸季衣、川上麻衣子、馬渕春子ら実力派が揃う。
さらに北野武などの個性的な監督の助監督をつとめた矢城潤一監督がメガホンを取り、“現代の小津作品”と評される世界を作り出している。
本日、その初日舞台挨拶が行われ、登壇したのは矢城潤一監督、渡辺真起子、大城英司、川上麻衣子、原田佳奈、根岸季衣、中原丈雄。
主演のほか、プロデューサーもつとめる大城英司は、「この作品のチケットの半券を持って東松原駅に行くと、何店舗かのお店で特製のエコバッグをプレゼントさせて頂きます。この映画を見て松原がいいなぁと思った方は是非訪れてみて下さい。」とアピール。
さらに、この作品はもともと“母の日×2”というタイトルの予定だったということもあり、「映画を観て、母親のことを思って何かアクションを起こして頂ければと思ってシナリオを書きました。」と、自身が去年の母の日には特に何もできなかったことを振り返りつつコメントした。
舞台挨拶には仁科貴、モロ師岡、蛍雪次朗から連名で祝電メールも届き、「今日という日をとても楽しみにしていました。我々は今、東映映画『劔岳 点の記』のために、撮影・監督は木村大作氏のもと、浅野忠信さん、香川照之さん、松田龍平さん、蟹江一平さんらとともに、立山・標高2310mに軟禁されながら、大自然を相手に日々サバイバルな撮影の真っ最中です。5月には三人のひげ面を揃え、上映イベントにも参加させて頂きたいと思っています。まるで猫の視点で描かれたような、優しさ溢れる作品です。どうぞ肩の力を抜いて楽しんで下さい。」というメッセージが披露された。
最後に、代表として主演の渡辺真起子に花束が贈呈され、観客からの拍手に包まれながら舞台挨拶は終了した。
(池田祐里枝)