1982年に初公開されたリドリー・スコット監督の『ブレードランナー』。その後、監督が自らの手で再編集され、92年に『ディレクターズカット/最終版』を公開、いまなおファンの間で語られる作品であり、SF映画の金字塔再編集やデジタル修正を行い、美しいビジュアルで甦らせた最新版「ブレードランナー ファイナル・カット」がといえる。今回は、第64回ベネチア国際映画祭でワールドプレミア上映された、『ブレードランナー ファイナル・カット』を完成、監督が92年公開の『ディレクターズカット/最終版』をベースに再編集やデジタル修正を行ったもの。
日本では、17日より東京と大阪で限定で公開されることが決定し、その前夜祭・カウントダウンイベントが行われた。ゲストには、『ブレードランナー』のファンである押井守監督を招いてトークイベントを行った。
当時を振り返り押井監督は、
「『ブレードランナー』公開当時、初の劇場作品『うる星やつら オンリー・ユー』の制作最中で、こっそりとではなく、見に行くぞという気持ちで劇場に行きましたね。観終わったあとは、しばらくは放心状態でした。」
−−−『ブレードランナー』は、映画を作る上でのだれもが通らなければならない通過点
「世界観を出すために、そのリアリティを出すために、あえて現在の生活観のあるものを置くんです。SF映画なのに、アジアの様々なものをおいている、ハリソン・フォード演じるデッカードが、うどんを食べるとか、自分もパトレイバーで近未来なのに、踏み切りにレイバーをおいてみたりとか。また、雨とかもそうだけど、降らしたくなってしまうんですよ。スタッフには、この作品だけは見るなといっても(いってないと思うけど)観てしまうんですよ。だから降らしたくなくても『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』でなぜか雨が降ってしまうし、続編(『機動警察パトレイバー2 the Movie』)では雪が降っている。誰もがこの作品を超えることができないんですよ。」
−−−リドリー・スコーット監督は3割の監督
「リドリー・スコーット監督は大好きな監督で、私は、世界中の監督でこの監督にはかなわない監督って二人しかいないと思うんです。リドリー・スコット監督とデヴィッド・リンチ監督の二人だけ。リドリー・スコーット監督は、3本に1本の当たりがあるけど、3割の監督って凄いことですよ。」
熱く作品を語る押井監督のトークは、予定時間をはるかにオーバーし、カウントダウンイベントが終了した、チケットが完売し、満員の観客には、プレゼント抽選会も行われDVD-BOX「ブレードランナー・アルティメット・コレクターズ・エディション」などをプレゼントされた、また来場者全員には、リドリー・スコット監督が気に入って本編に印象的に残るわかもと製薬の「強力わかもと」がプレゼントされた。
公開は、17日から2週間限定。

(Report:Yasuhiro Togawa)