SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007:『私に関する独逸でのこと』チャオ・リャン監督Q&A
ドイツに留学した中国人学生の主人公が、さまざまな出来事を体験し、大人の男として自らのアイデンティティを確立させ成長してゆく姿を描く『私に関する独逸でのこと』のQ&Aが、チャオ・リャン監督をむかえて行われた。
海外に留学する学生について、中国国内ではどのように扱われているのかという質問について
「中国では数多くの学生が海外に留学していますが、その留学生活はあまり知られていません。私もこの作品の脚本を読んではじめて知り、実際に調査したことではじめて彼らの留学生活を知りました。映画の中で描かれていることはすべて真実に基づいています。中国では進学の競争が激しいので、自国ではなく海外の大学に進学する学生が多くいます。一人っ子政策で子供は大切に可愛がられて育てられているので、学生が独りで海外で生活することではじめて、厳しい現実に直面することになるのです。」
とリャン監督が説明。
徐々に成長していく主人公の青年を演じた主演のグォ・ジャミンさんの自然な演技に感動したと興奮ぎみに語るお客さんのコメントに、リャン監督も笑顔で彼について語った。
「実は、彼には私の前作に主演してもらいたかったんですが、当時彼はちょうど大学4年生で、卒業前で忙しかったので断念したんです。私は彼のセンスをとても認めているんですよ。」
ピアノの国際コンクールで受賞するほどの腕前をもっているということを知ってシナリオを書き換え、主人公がバーのアルバイトでピアノを弾くシーンをいれたという。演奏はすべて彼自身によるもので、1曲だけ作曲も手がけているのだとか。
「才能だけでなくとても努力家。主人公とは違って彼自身はとても活発で明るい人柄です。撮影中はホテルに閉じ込めて主人公の心情に近づくように指示しました。クランクアップしてはじめてバーに連れて行ってあげたらすごく喜んで、人前で踊ったりしてました。」
と素顔のジャミンさんについても明かしてくれた。
また、本格的な海外ロケでの苦労話をたずねられると
「ドイツ側がすごくサポートしてくれたので、ロケはとても順調でした。ただドイツは夜9時くらいにまで暗くならないので、夜のシーンの撮影などついつい0時近くまでやってしまうことがありました。あと飛行機を洗うバイトのシーンを入れたかったんですが交渉がうまくゆかず、撮影許可が下りなかったことです。これは残念でしたね。」
(Report:綿野かおり)
★『私に関する独逸でのこと』は7月21日(土)にも上映があり、チャオ・リャン監督のQ&Aを行う予定です!