SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007:映画『マリアのへそ』野澤和之監督Q&A!
Q、この作品はドキュメンタリードラマという珍しい手法で作られていますね。
A、出演している子供たちは本当に路上生活をしているので、彼らの日常を追いかけつつドラマにしていきました。子供たちにはある程度キーワードなどを与えたり、試行錯誤しながら撮影を進めました。
Q、ブッチ先生とはどうやって知り合ったのですか?
A、スラム街を歩いていて、登場人物を探していた時に偶然出会いました。子供たちはオーディションで路上生活をしている人の中から、映画などに理解のある人たちを選びました。
Q、子供たちの目が凄く輝いていますね。
A、演技であるけれど、演技ではない。演技であると同時に日常の生活なので。
Q、今後はどういう形で上映していくのですか? 川の水をペットボトルに入れて飲むシーンがありましたが?
A、彼らは川の水を飲んでも平気なのです。しかし、時々子供たちは赤痢などで入院したりします。
この映画のために資金を応援してくれた方々が500人いるので、今後は色々な人に見て頂くために頑張りたいと思っています。
Q、子供たちの演技がとても自然でしたが。
A、路上生活で学校にも行っていないので、台本の文字が読めないので、説明は全て口頭で行いました。一日2、3シーンを撮影しましたが、撮影時には野次馬などが多く、物凄い状況で撮影しました。残念ながら予算がなく、メイキングが撮れず残念です。
Q、続編はあるのですか?
A、子供たちには出演して頂いたし、それぞれ学校に行きたいと言っているので援助もしていきたいと思っていますし、追いかけていきたいと思います。
Q、現在主人公である3人の子供は路上生活はしていないのですか?
A、現在は施設に入ったりしていて、路上生活はしていません。特にマリア役の子は実生活が大変悲惨なのですが、映画にはそれは出してはいません。
Q、映画の中で、お父さんがこれから一歩を踏み出そうとしたところで死んでしまいますが、あの最後は将来子供たちにとって希望がある最後なのでしょうか?
A、これが普通のドキュメンタリーならば、政治などに悪を追求できますが、私がこの映画で描きたかったのは、路上生活をしている彼らが自分で覚醒する意識を持たないと変わらない、与えられたものに頼っていては何も変わらない、という事なのです。自分から変えることが希望であり、たやすくはありませんが、そう見出しました。そして、家族がいて一人ぼっちではないという事が、サブテーマでもあります。
Q、死体を献体すると、お金になるという事がこの映画の中で描かれていますが、スラム街のフィリピン人のとってお葬式をしない事が恥であるという意識はあるのでしょうか?
A、撮影中に、川に3歳くらいの子供がかわに落ちて亡くなりましたが、家族は寄付を集め、葬式に出していました。どんな状況にあっても、葬式はしたいというのが彼らの思いのようです。しかし、お墓などは別問題であり、献体という選択肢があるのは事実です。
最後に野澤監督は、「今年3月に完成したばかりで、今日が初公開で緊張しています。」と公開の喜びを語った。
(池田祐里枝)
★『マリアのへそ』は7月19日(木)にも上映があります!