今から25年前大林宣彦監督は尾道を舞台に転校してきた一夫と、老舗蕎麦屋の娘・一美がある日突然心と体が入れ替わってしまうとういおかしく切ない青春ファァンタジー映画『転校生』を手掛けた。この映画をきっかけに撮影地である尾道の名は全国に知られ『時をかける少女』『さびしんぼ』とともに、“尾道三部作”として伝説を築き上げた。そして2007年、25年月日が経過し時代や子供たちの生活の変化を取り込んだ新たな映画『転校生—さよならあなた—』が大林監督自身の手によってスクリーンへと甦った。23日公開初日を迎え、監督・出演俳優による舞台挨拶が都内劇場で行われた。登壇したのは、大林宣彦監督、蓮佛美沙子、森田直幸、厚木拓郎、寺島咲。

監督は公開初日最初の上映を鑑賞し終えたばかりの観客を前に「朝からありがとうございます。皆さんが映画を観ている間空が青くて真っ白な入道雲が出ていましたよ。まるで夏休み初日みたい。こういう空を見ると日本が戦争に負けた日のことを思い出します。」と話し戦争中から今現在へかけてどれだけ幸せな社会になったかと語ってくれた。
本作は長野県が50年後に残せるような映画を作りたいという企画で作り始め、今の時代を伝えることの出来る作品にしょうと製作した想いを語り、本当のお客さんは50年後の孫達で“戦争”って何って聞いてきてくれるような平和な世の中であることを願っていると話した。
今回登壇した俳優陣を見つめ、4人の若者たちと一緒に未来へ向かって行って欲しい映画であると作品に込めた想いを話した。
そして最後に「楽しい映画を観た後は何か1つ大切なことを思ってください。そのこと1つ一生懸命に考えてみると50年後の平和な日本に繋がると思います。」平和を願う監督からの温かいメッセージを観客に残し挨拶を締めくくった。

今回初めて大林組で主演を演じたの蓮佛美沙子は「今回女の子と男の子2役という事で自分自身が男の子役を出来るかどうか不安でした。悩みを監督に相談したら目線が変るだけで気にしなくていいといわれそれからは気が楽になり楽しんで演じられました。スクリーンの中で楽しんでいる私が皆さんに伝われば良いなと思います。監督が言ったように、何か1つ大切なものを見つけてそれをまた大切な人に伝えて欲しいと思います。」と爽やかに挨拶した。

森田直幸は「女の子の役は初めてで、自分に女の子の素質があるのか悩みましたが、監督から助言を頂いて無事に演じきれました。女と男が入れ替わって相手の立場なんだけど、自分自身を改めて見直せる映画で、家族や人への思いやりが入れ替わったことで改めて実感できると思います。」と自身が演じた役から得た想いを観客に語った。

2度目の大林組となった寺島咲は「2回目という事で初めてとは違った緊張感があり現場に入るまで緊張はありましたが、不安が吹き飛ぶくらい和やかな雰囲気で撮影できました。最近私も完成した作品を観たのですが客観的に観て面白かったし心にくるものがあって感動しました。」と撮影現場の雰囲気を振り返りながら挨拶した。

今作に出演するため高校を転校し本当の意味で“転校生”となった厚木拓郎は「僕が演じた山本弘の観察好きという設定は撮影の途中から加わった設定で難しくもあり楽しかったです。」と自身の演じた役柄の内容を踏まえて挨拶した。

挨拶の後には司会者から出演者たちへ監督のイメージは?といった質問がされた。それぞれ出した出演者の答えに対して監督自らもコメントしてくれた。
蓮佛:「“優しい”ですね。監督といると自然体になれて一緒にいると居心地がいいです。」
大林監督:「優しくしようとしているからです。優しくしようとするとなれます。」
森田:「“大らかで偉大な人”なぜかというと監督が以前“僕たちが撮影してきて今スクリーンに映っているのはまだ1つの映像で、心のスクリーンに映したとき映画になる。”と言った名言にあぁと思ったからです。」
大林監督:「私たちはここに映し出すまでが仕事でした。今日は皆さんが映画にしてくれました。ありがとうございます。」
寺島:「漢字で現すと“深い”です。1つの事に対して色々意見や考えを持っているから深いにしました。」
厚木:「1つになろうという雰囲気を作れる人。現場作りが素晴らしいです。」
それぞれの監督への想いを語った。監督と出演者がお互いに良い関係が築き上げられた上で今作が完成し、その温かな空気が作品にも入っているのが伝わってきた。

監督の50年後への想いが詰まった作品映画『転校生—さよならあなた—』は6月23日より新宿ガーデンシネマ他全国公開中!!長野で撮影された自然豊かな映像にも是非注目して観て欲しいです!!
また舞台挨拶の様子はムービーレポートでもご覧いただけます。大林監督の熱い想いを観てください!!
(Report:大野恵理)