映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 初日舞台挨拶
2007年4月14日、200万人以上が涙を流したリリー・フランキー原作の『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』が初日を迎え、舞台挨拶が行われた。明日がリリー・フランキーのオカンの七回忌にあたるという今日は劇場にオトンが来ていたという。
松岡錠司監督:やっと長い旅が終わると思うと、肩の荷がおりる気分です。皆さんの反応を感じて、すごく嬉しいです。手応えがあります。観客のみなさんがご自身の人生を重ね合わせて観られたのではないでしょうか?そのように、みなさん自身が遠い人を思い返したり、大切な人を思うとか、そういった作品になってよかったと思います。小さな奇跡がいっぱい積み重なってこの映画がいい方向にいったんです。リリーさんが、最初「大失敗してもかまわないですよ」って言ってくれて励みになりました。それで自分らしくていいんだと。
オダギリジョー:大変な作品に出会いまして、最初は受ける事すら自分にはいい事だと思えず、半年くらい断り続けてて、結果作品が公開となってこの作品に関わられてよかったなと思います。半年もオファーを断り続けてたのは、原作があって、それがリリー・フランキーさんで、みんながイメージして読んだだろう作品を演じるのがすごく考えました。リリーさんに合わせるべきか、自分が台本を読んで感じたものを演じるべきか。結局はリリーさんではなく、ただの男を演じました。(ー樹木希林さんとの久々の再会でどんな会話が?)それは、ナイショです。(ーオダギリさん自身、お母さんとの関係は?)最近はすごくいいボクだと思いますよ。
内田也哉子:初めての本格的な演技だったのですが、私にはいい演技をしろとは求められてないと思って、スタッフや共演者の中にどさくさに混ざった感じです。私の周りにはこういう世界の人が多いため、踏み込めないと思っていました。でも、いい経験ができました。(ー普段は2児のお母さんですが、何か反映されました?)3人の子役たちと、すっとオカンにならせてもらえる環境があって、子どものもつ魂の純度とかオーラに包み込まれて、助けられました。
松たか子:オカンとボクと一緒にいるのがとても楽しかったです。楽しいとおもってそこにいればいい存在だったと思います。終わって今思うのは、2人にとって気にならない存在だったのかなと思います。それが役に立てたのかなと。気にならない存在だからこそ、「抗がん剤をしよう」の一言が大きい意味を持ったと思います。(ー改めて、この作品を通じて家族との関係は?)一生、子は子なので親が幸せをなんとするかはわからないけど、自分が心身共に元気でいることでしか、親孝行できないかなと思います。
小林薫:時々、オトンの小林です。今日はホンマモンのオトンは来てるそうで、この場を借りて、だらしのないオトンになってすいませんでした。オカンとボクの中に唯一親近感がある人物なんだけど、あんま立派なオトンというか、本当のオトンが来てるから・・・お金儲けの才能があるとか、そういう人は一部分で、世の中の大部分の男は当てはまると思います。オトンにとってはやっぱりオカンが一番大切だったのかな。也哉子さんと希林さんと共演して、内田裕也さんと本木くんの気持ちがわかったかなと。
樹木希林:”おもしろーて、やがて悲しきオカン”です。おもしろーて、やがて悲しきオカンのはずだったのですが、癌で苦しんで病院でのたうち回っている部分が多くて、むしろオカンの持ってる”情けなくておかしい””みじめだけどおかしい””かわいくておかしい”、おもしろーての部分がそのまま出せなくて樹木希林としては忸怩たる思い出立っております。
(にいざわ あきこ)