3月16日(金)赤坂プリンスホテルにて、映画「Watch with Me〜卒業写真〜」の完成記者会件が行なわれ、監督、出演者が登壇した。
本作は、久留米を舞台に、がんを患い、余命半年と宣告された元報道カメラマンが故郷に戻り、失いかけた自身の思い出を辿る道程とそれを見守る妻や友人を暖かく描いた懐かしく、切ないヒューマンストーリー。「地域」をテーマにした作品を多く手掛ける瀬木監督が、今回は歴史ある町並みと田園風景が美しい筑後地方を舞台にして、本作を作り上げた。ドラマでも共演経験のある津田寛治と羽田美智子が、抜群の呼吸でがんに直面した夫婦を演じている。少年時代の主人公・一馬役を、新人の中野大地が、一馬が淡い恋心を抱く同級生役を、同じく新人の?木古都が演じ、瑞々しい演技を見せている。
 各登壇者のコメントは以下の通り。

瀬木直貴監督「私は今まで、オールロケをモットーに映画を撮ってきました。今回も、福岡の筑後地域で撮影しました。地域を掘り下げていけばどこかで普遍性に繋がると云う事で、地域で撮った映画の全国公開が決まり、非常に嬉しく思います。僕の映画作りは自分の足で街をくまなく歩いて、自分の好きな風景を集める、非常に地道で手間のかかる作業です。久留米は昭和54年の回想シーンで出てくる当時の風景がそのまま残っている地域で、昭和の懐かしい風景に惚れ込みました。」
津田寛治「この作品は、一言では語り尽くせないくらい、沢山の自分の思いを懸けた映画です。人の生き死にが描かれているんですが、この映画が扱っている死の在り方は今までに見たこのなかった。人が死でいく中で、周りの人とどう関わっていくのかが、セッションになっている。それは羽田さんとのやり取りの中に顕著に出ています。ホスピスは看取る人と、亡くなっていく人のセッションの場なんだなと思った。死ぬと云う事は惜しまれるでも同情される事でもなく、次のステージへの旅立ちなんだと。これをどう観客に伝えるかを第一に考えました。監督からは、がん患者よりも、報道カメラマンでいて下さいと言われました。」
羽田美智子「去年の夏に脚本をいただいて、読んだら涙が止まりませんでした。脚本に一目惚れするって云うのはこう云う事なんだなと思いました。この役は絶対自分がやりたいと云う思いでした。撮影期間はたったの二週間でしたが、その中で、自分自身のプライベートも何もない状態で、没頭して演じることができで幸せでした。30代を飾る大きな意味を持つ作品になりました。仕事で集まったと云うよりも、それぞれの人生を抱えて集まって一つのドラマを生きたと云う印象がありました。」
中野大地(新人)「こんなに大きな役をいただいたのは初めてです。台本をもらう前は、不安があったけど、台本をいただいて読んだら、一馬と自分が似てるなって思えてきて、役を意識しないで、撮影に望めました。」
?木古都(新人)「初めての大きな役で、すごく緊張しました。何をすればいいかも分かりませんでしたが、ひとみ役を大切に演じました。部活中にオーディションの結果の連絡が来て、その時はケータイを握り締めて泣きました。」