和歌山を舞台に父と姉妹の絆を描いたハートウォーミングストーリーの『幸福のスイッチ』の初日舞台挨拶がテアトル新宿にて行われ、監督の安田真奈と上野樹里他キャスト達が登場した!

東京のデザイン会社で働く怜(上野樹里)は、お客様第一で儲けは二の次の電器屋の父・誠一郎(沢田研二)に反発して上京。しかし東京では自身の望む仕事ができず、さらに上司と衝突して会社を辞めてしまう。和歌山の実家に帰省した怜は家業の電器屋を手伝うはめになり、怜の不機嫌は募るばかり。しかし、手伝ううちに父の仕事に対する想いや、父が家族や町の人たちに注ぐ愛情の深さなどを知り、家族の絆の大切さ、仕事の喜びを発見していく。

監督はこの作品の構想に10年、脚本に3年をかけ、やっとのことでこの作品を実現したとのこと。なぜ電器屋という仕事を作品の設定にしたのか?との問いに「私自身電器メーカーで10年間働いていまして、働くうちに地元の電気店というものが見えてきました。そこにはお客さんとの関係が濃厚であり、熱い人間関係がありました。そして、これは題材にするしかない!と思ったのです。」と自身の体験が強く活かされた内容となっていると説明した。さらに「友達に話したら『電器屋って…、その映画こけるんじゃない?』と言われましたが…(笑)。」とも話した。

主演の上野樹里は「怜は表面上はきつい性格で、ひねくれていますが実は良い子なんです。性格もそうですが、私と重なる部分がありますね。私の父も精密機械の仕事をしていまして、さらに同じ関西出身というところなど共感できる部分が多かったです。」と話した。また舞台となった和歌山県の田辺市について、「地元の人たちがミカンを持ってきて下さったり、『今日も寒いけど頑張りーや!』って声をかけてくれたり本当に温かく、いい所でした。」と作品のなかの町の暖かい雰囲気が現実の地方の人々を下敷きにしていることを示した。この作品を観た後の暖かい感動が、ストーリーや演技だけでなく、現実に裏付けられたリアリティーにもよることがわかる。

さらに舞台挨拶では、今日来られなかった沢田研二、本上まなみからメッセージが届き、本上は「この映画はほっこり心が温まる作品です。小さな物語ですが観た後に兄弟や家族、友人のことを想ってくれたら嬉しいです。」と述べ、沢田は「5日間でしたが楽しい現場でした。お父さん頑張れ!子供たち、親父を大事にせーよ!!」と満面の笑みで話した。

なお、この映画では全てのキャストを関西や中部などの出身者で揃え、方言に違和感を持たせず、これもまた作品にリアリティーと厚みを持たせている。ただの感動作とは一味違うこの作品で今一度、家族や友人を見つめ直してはどうだろうか。幸福のスイッチは身近にあるのかもしれない!

(oki)