第2回本屋大賞受賞作、恩田陸の『夜のピクニック』を原作とした長澤雅彦監督『夜のピクニック』が、9月30日初日を迎えた。劇場は丸の内ピカデリー1という大規模な映画館で、昨日までは『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』が上映されていた場所。そんな大きな劇場を埋め尽くした観客の前で、長澤雅彦監督、主演の多部未華子、石田卓也ら総勢11名が舞台挨拶を行った。

去年の夏休みをフルに撮影に費やしたこの映画だが、主演の多部未華子にとって高校2年の夏休みをすべて捧げたこの映画は、非常に思い入れの強い作品になったようだ。
「ちょうど去年の5月ころに貴子役のお話をいただいて、話題のあるベストセラーの本の主役ということと、同世代の子の中での主役ということで、すごい不安でした。でも、美和子役の西原亜紀ちゃんをはじめスタッフの方々にいろいろ話を聞いてもらって、今では撮影中本当に充実した一日一日を過ごせたんだなって思います。出来上がったものをみて、すごく私の中で一番の青春映画だなって思っているので、私ももっと青春しなきゃなと思いました。」

戸田忍役を演じた郭智博も、この映画の初日を無事に迎えられたことに感慨深い様子。
「初日を迎えることができてとても嬉しくて、ホッとしていますが、なんか作品が自分たちの元から離れていくような感じがして、・・・ちょっと寂しい気持ちもします。」

キャストたちをここまで『夜のピクニック』の世界に浸らせた長澤雅彦監督。『ココニイルコト』など多くの名作を産み出してきた監督にとってもこの作品は少し特別なものになったようだ。
「本日は、きれいでかわいい長澤さん(同じ日にすぐ向かいの劇場で公開された『涙そうそう』)のほうじゃなくて、むさくるしい長澤さんのほうに来ていただいて本当にありがとうございます(笑)。普段ここは洋画の劇場で、昨日までジョニー・デップが走り回っていたのに、急に駄々歩きする映画をお送りするんですけど(笑)、ほんとにこの大きな大きな劇場にたくさんの方が来ていただいて、非常にうれしいです。キャストの子達も久しぶりに今日会ったんですが、みんなちょっとだけ大人になっていて。
普段僕は出来上がった映画を見に行くことはあまりないんですが、この映画に関しては、何度も劇場に行って観たいと思っています。本当にそう思える作品です。」
(林田健二)