2006年9月2日(土)有楽町スバル座にて、ポン・ジュノ監督と主演ソン・ガンホの初日舞台挨拶が行われた。
初回上映後、300席の劇場に立ち見でも溢れるほどの観客に、割れんばかりの拍手で観客に迎えられたふたり。女性ファンからの「ガンホシー!」という黄色い悲鳴が会場いっぱいに飛び交うほか、舞台に上がりかけたソン・ガンホに、一部の観客が殺到したために会場は一時騒然となった。

——『グエムル』が韓国でここまでの歴史的ヒットになると予想していましたか?
監督「韓国でここまでヒットするとは予想外です。日本ではこれからのスタートで、緊張しています。『グエムル』をぜひ応援してください」
——『グエムル』がここまでヒットした理由は?
ガンホ「(黙って、隣にいる監督を指差す。)なんと言っても、ポン・ジュノ監督への国民の期待が大きかったです。監督は本当に素晴らしい演出をしました」
——撮影中のエピソードを。
監督「この映画に出てくる怪物は、当然、実在しないわけです。撮影現場で俳優たちの演技を撮影したあとで、画面上でCGの怪物を付け足すんです。現場で俳優たちの演技を見ると、何もない場所に向かって叫んだりして、これはかなり大変なことだと思います。だけどよくよく考えてみれば、滑稽ですよね」
ガンホ「実際にはいない相手に向かって演技することには慣れていて、技術的にも問題はないのですが、その相手が怪物だということで、感情の流れを作っていくのに苦労しました」
——監督から見た俳優ソン・ガンホさんとは?
監督「世界で一番演技の上手い俳優です。独創性のある芸術家です」
——逆に、ソン・ガンホさんから見た監督ポン・ジュノとは?
ガンホ「(照笑い)。お互いに誉めあっているような感じがしますが(笑)、ポン・ジュノ監督は、韓国でもこれからの活動が有望視されている監督です。『グエムル』を観ると、監督の新鮮な創造力を感じます」
——最後に日本の観客に向けてメッセージを。
監督「日本は怪獣映画、怪物映画の本場です。日本の方が満足してくれれば、他の国々の方もきっと満足してくれるでしょう。ありがとうございます」
ガンホ「私が日本に来るのは今回で9回目です。どれも映画のPRのための来日なんですが、今日ほどエキサイトした日、緊張した日はありません。韓国の観客も大変情熱的ですが・・・これは昔から非常に印象的に感じていたことなんですが・・・映画を娯楽として観るだけでなく、作り手側の考えや情熱を真摯に受け止めようとしてくれる方が、日本の観客の方々の中にも多いと思います。」

『グエムル -漢江の怪物-』は有楽町スバル座ほか全国各地で絶好調の滑り出しで、大ヒット上映中。
なお、ちょうど日本公開初日のこの日中に、『グエムル』は『王の男』(2006年12月に日本公開/角川ヘラルド映画 配給)が保持していた1230万人という韓国歴代動員記録を塗り替える見通し。