日本初公開、未配給の新作韓国映画を上映しているシネマコリア2006。東京会場二日目最初の上映は『まぶしい一日』。韓国若手監督と韓国、日本の若い俳優によって作り上げられたオムニバス映画で『宝島』、『母をたずねて三千里』、『空港男女』の三つのエピソードから成り立っている。済州島、ソウル、東京、仁川国際空港を舞台にして、若者たちに起きるたった一日のさまざまなドラマには感動、夢、後悔など、たくさんの感情が盛り込まれ、生き生きと描かれている。

上映時には『宝島』、『空港男女』の監督、出演者らによる舞台挨拶とティーチインが行われた。
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『宝島』:戦時中に祖父が残してきた宝物を探すため、若い日本人女性ミエ(森透江)とエイコ(杉野希妃)は済州島を訪れる。彼女達が体験するできごとを描くロードムービー。

Q:2人が見つけたオートバイの持ち主がオートバイを見つけたお礼に仮装して歌をプレゼントするシーンで観客の笑いがドッと沸いたシーンがあったが、その歌の意図は?
キム・ソンホ監督:一種のファンタジー的な部分ですが、それ以前にエイコとミエの2人の葛藤、エイコが在日韓国人であることを告白したことに対するプレゼントの意味合いがあります。

Q:韓国と日本の撮影スタイルの違いは?
森:今回の作品に限っていえば、アットホームな雰囲気で監督さんとの距離がすごく近いというのが印象でした。
杉野:家族の中でアットホームな雰囲気の中で撮影ができてうれしかったです。エピソードとしては撮影が残っているにも関わらずバスに乗ってご飯を食べに行くのがすごくうれしくて、撮影で汗をいっぱいかいてもそれで回復できて、いい撮影現場でした。

Q:オーディションのエピソードは?
森:遅刻していったオーディションで偶然杉野さんと一緒の組み合わせになって、その組み合わせがよかったということで選んでいただきました。

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『空港男女』:雑誌記者の石田(塩田貞治)は韓国発の帰国便に乗り損ねてしまうが、ひょんなことから空港の書店で働く韓国人女性オ・ゴニ(イ・ソヨン)と知り合う。言葉が通じない者同士がコミュニケーションを取ろうとする姿をコミカルに描いている。

Q:塩田貞治が演じる石田はとても情けない役を演じていましたが、それが観客にとってはバカうけでした。日本男性はひ弱に見えているのでしょうか?
ミン・ドンヒョン監督:この映画を作る理由として、韓国と日本がお互いあまりにも分からな過ぎるという状況がありました。映画の提案があった時に塩田さんに初めてお会いした時の印象がそれでした。映画の中ではかなりデフォルメしていますが、以前の日本人感が映画に現れていると思います。大切なのはお互いが分からないままではなく対話していくことだと思います。対話を重ねることイコール人と人、国家間の問題にも発展するのではないかと思います。この映画を撮ることで以前の日本観が変わりましたし、韓国人の女の子にも問題がありましたし、日本人の男の子にも問題がありました。それはこれから直していけばいいと思います。
塩田:空港男女に出てくる石田のような体験をしたことがあります。韓国の田舎に2ヶ月半滞在し、韓国語も文化も分からない状況でおどおどしていたことを思い出しながら演技しました。

Q:韓国と日本の撮影スタイルの違いは?
塩田:現場では撮影がどんなに遅れていても必ず食事を取りました。差し入れなど食べてばっかりのイメージがありました。

Q:映画の中のセリフ『宝島』と『母をたずねて三千里』はどういう意図で盛り込んだのか?
ミン・ドンヒョン監督:『空港男女』は先輩2人の素晴らしい映画のデザート映画としての意味づけを自分の中でしていました。つながりをもたせるため、ギャグのつもりで『宝島』と『母をたずねて三千里』のセリフを入れました。

Q:韓国の反応は?
ミン・ドンヒョン監督:韓国より日本の方が笑いも多くて反応が良いです。韓国では塩田さんが出るたびにかわいいという声が上がっていました。
塩田:毎回年を聞かれて、本当の年を言うと驚かれました。29歳で監督、音楽担当のハリムさんと同い年です。
(M.NIBE)