SKIPシティ国際Dシネマ映画祭『メイキング・ウェーブズ』Q&A
イギリス発のラブコメディ『メイキング・ウェーブズ』でプロデューサーと音楽監督を務めたデイビッド・バーンズさんがQ&Aを行った。
アマチュア無線を通じて知り合った6人。それぞれが夢や憧れを持ちながら交信しているのだが、ふとしたキッカケでビデオ屋の店長ロバートと歯科衛生士のレイチェルは恋に落ちる。自分を偽りながらもお互い惹かれていく2人は、ついに会う約束をするのだが・・。
本作は1990年代初頭に起こった実際の出来事を元にして作られた作品。当時、ロシアの宇宙船・ミーラが9ヶ月も地上に下りてこれなくなったことがあったのだ。宇宙船は2時間で地球を1周していたためスコットランドの地と2時間に一度、無線機で交信することができたのだそう。乗組員は地上にいる人間と話すことで勇気をもらい、生き延びることができたのだ。そして地上に戻ってきた後、感謝の気持ちを伝えにスコットランドを訪れたという一連の出来事のニュースが監督に映画化へのインスピレーションを与えたのだ。
今回話を聞かせてくれたデイビッドさんは建築の仕事をやりながらも音楽に目覚め、作曲するようになったのだそうだ。そのつながりでテレビの仕事をするようになり、ニコラス・バン・パラント監督と出合ったという。監督はオランダ生まれイギリス育ちの貴族。子供向けの絵本を書いたりSFを書いたりするうち、才能を認められてテレビやドラマの脚本の仕事をするようになった。そんな彼らが作った本作はストーリーはもちろん、音楽も楽しめる作品となっている。
Q:今はネットで話すことができる時代になりましたが、なぜアマチュア無線を媒体にしたのですか?
デイビッド:「監督はコンピュータが嫌いなんです。ネット上で知り合うことを信頼していないんです。」
Q:監督はデジタル作品の経験があるんですか?
デイビッド:「監督にとっては初のデジタル作品です。今までは35ミリフィルムで撮っていました。ニューヨークのスペシャリストにデジタルと35ミリフィルムの比較をしてもらったんですが、デジタルの方が高画質を撮ることができるという結果が出ました。」
Q:本編中に折り紙が出てきますが、イギリスではポピュラーなんですか?
デイビッド:「知られてはいますが、日本ほどはポピュラーではないですね。折り紙の鶴は300羽用意したんですが、クルーや俳優たちが10日かけて折りました。」
Q:女性運動をジョークにしているように感じたのですが。
デイビッド:「その通りです。監督は姉妹ばかりの大家族の中で育った一人息子なんです。あれは彼の姉達をからかう方法だったんです(笑)。」
Q:イギリスのどこらへんで撮られたんですか?
デイビッド:「デジタル技術のおかげで美しい映像を撮ることができましたが、私達には予算がありませんでした。実はロバートの家は私の家なんですよ(笑)。私は仕事のために遠くへ行くのがイヤだったので手短な場所を探しました。あれは全てロンドンのブラックヒースという場所なんです。」
Q:イギリスにはたくさんの素晴らしいラブコメ作品がありますが、イギリスが得意な理由は何だと思いますか?
デイビッド:「イギリス人は一般的に恋愛が下手なんです。人間関係も得意じゃないし。もうそれを笑うしかないからだと思います。」
Q:「あなたはそのままで美しいんだよ。」というメッセージが心に響きました。
デイビッド:「監督も私も人間が最も美しいのは、その人が背伸びをせずに最もその人自身に近い状態の時だと信じています。その時が一番輝いているんですよ。」
(umemoto)
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2006 公式HP
http://www.skipcity-dcf.jp/