豪華キャストで贈る、笑いあり、涙ありの傑作ファンタジー映画『椿山課長の七日間』の製作発表記者会見が都内で行なわれた。この映画は朝日新聞の夕刊で2001年夏から新聞小説として連載され話題を呼んだ、浅田次朗原作の同名小説が原作になっている。椿山課長にちなんで”椿荘”で行なわれたこの会見では主演の西田敏行さん、伊東美咲さん、河野圭太監督、原作者の浅田次朗さん、プロデューサーの若杉正明さんがクランクアップしたばかりの本作について話を聞かせてくれた。

脳溢血のために突然死してしまう椿山課長を演じたのは西田敏行さん。「私が心筋梗塞を患って覚悟を決めた時、やり残したことは何だろう?とずっと考えていました。突然死というのは心の準備がないまま逝ってしまうということで、そういう人の気持ちを代弁している作品だと思います。浅田さん原作の作品は4本目ですが、役者のウエットな思いを持たせてくれるものばかりで、役者としての幸せを感じていますね。」と語った。

また、椿山課長がこの世に美女として甦った七日間を演じた伊東さんは「中年のサラリーマンの役ということで楽しみながら演じました。私が原作を読んだ時のように、この映画を観た後に優しい気持ちになってもらえるよう丁寧に作りました。浅田さん原作の作品は心に残る作品が多いので、この映画も自分の歴史に残る作品になるだろうと思っています。」と語った。

原作者の浅田さんは小説を書いている時から映像化した時の力を感じていたそうだ。連載当時に読者から届いたのは”死ぬのが怖くなくなった”という言葉。「一生懸命に生きていれば死ぬことを考えなくなりますよね。私は原稿用紙の前でぽっくり逝けたら幸せだと思います。この話は運転免許所でいろんな人が列を作っているのを見て思いつきました。」その運転免許所の列から生まれた中陰役所のシーンを撮って、西田さんは”許す人”になろうと思ったと言う。「中陰役所で許す人がいるのを見て、自分も許す人になろうという優しい気持ちになったんです。私は映画を観ることで多くのものをもらってきました。恐ろしい事件が起こる世の中になっていますが、この映画を観て人間の本来持っている優しさを取り戻して欲しいです。」と本作に込めた熱い想いを語った。

監督も「絶対におもしろくなければならない!」と強い意気込みを見せてくれた本作の公開が待ち遠しい!

(umemoto)