東京フィルメックス2005:コンペティション『結果』
『沈む街』(96)『週末の出来事』(02)で数々の映画祭で上映され、高い評価を受けているチャン・監督の様々な謎がちりばめられた野心作。
中国南部の海辺のリゾート・ホテルに、ある男を探しに来た中年男は、若い女と出会い、同じ男を待ちながら時間をすごすことになるが…
Q.前半と後半で同じような内容で、男性が変わって繰り返されるということについては、撮影は同時にされたんですか。
監督「前半と後半では同時に撮影しました。お金をもらって人を探すという前半から変化してゆく後半は話的には繋がるようになっています」
脚本「妊娠にまつわる話で、内容的、構成的には一致する話です」
Q前半で、トミー・ウォンが出演していますが、どういう経緯で決まったのですか。
監督「トミー・ウォンは香港でチョウ・ユンファの作品に良く登場していた人です。初めは出演予定はありませんでしたが、資金を出してくれた所の手配で、出演が決定しました。彼は、妊娠にまつわる話ということで、コメディだと思い、出演を決めたようでした。(笑)なので、はじめ私の演出にはとまどっていましたが、徐々にアートムービーというものに慣れていったようです」
Q.一人っ子政策と、この作品は関係はあるのでしょうか。
監督「直接的には関係ありませんが、この作品の脚本、主演者達はみんな一人っ子です。儒学の倫理というのが以前のの伝統でしたが、この政策によって中国は大きく変化しています。叔父さん、叔母さんなど親戚がいないこの世代は今までとは雰囲気が全く異なり、この世代がこれからの中心となろうとしています。前作も今作も中国の経済状況を考えて撮っています。西洋で100年位かけてきた変貌を、今の中国は数十年で遂げようとしています。その中で、庶民がどのように生きてきたのかということに私は興味があります」
(t.suzuki)